「第3回なろうコン」の募集開始を知って、すぐにご応募されようと思ったのでしょうか?
その時点では、ああ、また「なろうコン」やってるのかー、という感じでしたね。ただ、興味がなかったわけではなく、人に読んでもらいたいという欲求や、作品に対する評価のような、怖いもの見たさ的な興味はありました。
「第3回なろうコン」に応募したきっかけや動機を教えてください。
上記の衝動に負けたのがきっかけですね。勿論、書籍化されたらいいなぁ、という願望もありましたけど、その時は『ただの高望み』程度にしか期待していなかったので、入賞が決定したときは喜びよりも混乱の方が大きかったです。テンションあがりすぎて、色々失敗しました……。
どんな失敗か非常に気になります(笑)。さて見事「なろうコン大賞」を受賞した『ダンジョンの魔王は最弱っ!?』(以下『ダン弱』)ですが、まずはストーリーの着想のきっかけを教えてください。
悪役っぽい主人公の小説を読んでいたら、悪役っぽいんじゃなくて、悪役が主人公の小説を書きたくなったんです。それから悪役が主人公の小説を書いてみたのですが、イマイチ主人公にインパクトが足りなかったので、最弱にしてみたというのがこの小説の始まりですかね。正直、この最弱という属性には四苦八苦しています。
『ダン弱』を執筆するにあたり、最初にどのようなシーンが思いつきましたか?
魔法を工夫して、反逆者を惨たらしく倒すシーン、でしょうか……? 主人公に最弱というキャラクター性を持たせた結果、なくなりましたけど。それからは、意地の悪い搦め手や、商売関連のシーンばかりです。
作品内にはさまざまなダンジョンが登場しますが、作者として一番お気に入りのダンジョンは?
好きなダンジョンは強欲の迷宮ですかね。メインのダンジョンじゃないんですけど、いいダンジョンだったのではないかと思います。設定的に一度しか小説内にしか出せないんですけど、人間の欲と、それを利用したトラップが、なんとも主人公らしいものだったのではないかと。
過去に出会った「ダンジョン」の中で一番お好きなものを教えてください。また日曜さんが考える「ダンジョン」の魅力とは?
『HUNTER×HUNTER』のトリックタワーは面白いですよね。多数決の道は秀逸すぎます。あと、子供の頃『グーニーズ』という映画が好きだったんですよね。『インディ・ジョーンズ』シリーズの冒険はどれも最高ですし、ダンジョンとは違うのですが、『アダムス・ファミリー』の地下金庫への道程は心躍るトラップばかりなので、あれも好きです。
自分の考えるダンジョンの魅力は、ダンジョンで試される人間の感情や、トラップに現れる製作者の人間性です。宝や名声を欲して命を懸ける男とたちと、それを挫く無慈悲なトラップ。そして、最終的に手に入った時の物と、それを守ろうとした者。主人公の成長と、最終的な決断。それらが上手く描けている物語は、見ていて満足感を覚えますよね。できれば、自分もそんな物語が書けたらいいなぁ、と思います。
作品内に登場する「キャラクター」で一番のお気に入りは誰ですか?
お気に入りのキャラクターはミュルです。可愛い容姿と口調でありながら、その内面は残忍にして無慈悲というのは、主人公にするうえでキアスから無くなっていった部分なのかもしれません。そういう意味では、ミュルとワンセットなマルコは、最弱というキャラクターによって削がれた部分だったのかも知れないです。意識してそれを書いていたわけではないですが。
書いていて最も楽しかったシーンを教えてください。
書いていて最も楽しかったのは、商売のシーンですね。商売における人間関係や、地域の特性や、商品価値と値段交渉が書いていて楽しかったです。主人公も商売でなら無双できますし。
書籍化にあたり、大幅な改稿、加筆があったそうですが、改稿のポイントやどういったあたりを加筆されたのでしょうか。
ネットで掲載していたときは、約二千字程度で話が切れていたのですが、そのまま書籍化すると話がぶつ切りになりそうだったので、繋がりを意識して直しました。あとは、設定の説明が長くなりがちだったので、ある程度削り、その分コミカルな成分を多くしました。あとは、ちゃんと1巻で一つの話にまとまるように直したつもりです。
書籍化にあたって、苦労したところや楽しかったところを教えてください。
書籍化が決まってすぐに、頭から書き直そうと思いました。それについては、あまり大変な作業だとは思いませんでした。ただ、その後の自分で書いた文章を削る作業はやっぱり大変でしたね。でも、全体的に楽しく書かせてもらいました。たぶん、編集者さんは大変だったんじゃないかと思います。自分が楽しんだ分、いろいろとご迷惑をおかけしました。
現在、どんなペースで執筆をしていますか?
最近は筆が乗らない事が多いです。ラストを意識して書いていると、止まる事が多いです。ただ、ここを乗り切れば大丈夫だと思うので、書いたらすぐあげていこうと思います。
好きな小説家や小説作品、小説のジャンルがあったら教えてください。
「小説家になろう」から書籍化された本はかなり買って読んでいます。『理想のヒモ生活』や『異世界転生騒動記』は、かなり好きな作品です。「なろう」からじゃなくても、ライトノベル全般が好きです。
小説を書き始めたのは何歳くらいのころからですか?
二十歳くらいからです。初めは漫画家になりたかったのですが、自分の画力に自信が持てなくて、そんなときに出会ったのが西尾維新先生の『クビキリサイクル』でした。本当に面白くて、それまで敬遠していたライトノベルにのめり込みました。
まぁ、書いてみたら漫画とは全然書き方も違っていて、色々と苦労させられました。すぐには、まともに読めるものにもなりませんでした。
なぜ「小説家になろう」に連載をしようと思ったのでしょうか? また、連載を始めて感じたことはありますか?
「小説家になろう」に出会って、そこで様々な小説を読んでいたら、自分で書いている小説がどのような評価がされるのか、気になってうずうずしてきたんです。あとは、勢いというか衝動です。
連載を始めてみて思ったのは、書き続けるにはやはり読者さんの声がなければ無理だという事です。感想をもらい、注意や誤字報告をもらい、自分の小説を誰かが読んでくれているという実感がなければ、自分は書き続けられないと思います。
次回の「なろうコン」応募者の方にアドバイスをお願いします!
偉そうな事は言えませんが、迷っているなら応募してみるべきだと思います。応募してみてどうなるか、なにを感じるかは人それぞれでしょうが、経験というものはどんなものでも、小説を書くうえで役に立つはずです。
最後に、いつも応援してくれている読者さんにメッセージをお願いします。
皆さんのおかげで書籍化できる事になりました。剣について、お金について、物語の内容について、投稿当初からずっと読者さんに支えられて書いてきました。この度の書籍化は、偏に読者さんのおかげだと思っております。前書きも後書きも書かない、活動報告も上げない、感想も返信しないようなダメな作者ではありますが、皆さんと作ってきたこの作品だけは自信を持ってお届けしようと思っております。ありがとうございました。ありがとうございます。よろしくお願いします。
ありがとうございました!