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第12回コンテスト運営ピックアップ

 

運営スタッフがネット小説大賞応募作品から、気になる作品をピックアップいたします。
原則選考とは無関係ですが、素敵な作品をたくさんの方の目に触れる機会をつくることを目的としています。
ぜひご期待ください。

 

作品情報

作品タイトル『Y、失われた記憶
著者名 湖灯

あらすじ

 目が覚めた私が見たものは、見知らぬ男の部屋。
 一糸まとわぬ自分の体と、脱ぎ散らかされた男の衣服。
 ビールと煙草の匂いに、強烈な異臭、湿ったシーツ。
 隠された自分の衣服と記憶。
 この部屋の主は、どこへ消えたのか?
 執拗に部屋を訪ねて来る男は、敵か味方か?
 タクシーの男は誰なのか?

 そして、私は誰なのか……

 

運営コメント
 

一糸まとわぬ姿で目覚めた主人公は、そこが見知らぬ部屋であること、誰かの存在を感じさせる物が点在していること、そして自分が誰なのかさえ思い出せないという緊迫感あふれる状況に直面していくミステリー作品です。
最初の違和感から部屋の異常性、そして自分が誰でどこにいるのか分からないという自分が置かれた状況に徐々に気付いていく様子が細かく描かれているため、読者もその不安を一緒に体験できます。特に濡れたシーツや異常な臭気などの詳細な描写は、彼女のパニックを増幅させる工夫がされています。
少しずつ散りばめられたヒントを頼りに部屋を出る決意をする主人公ですが、外には怪しい男が見張っていたりと謎が謎を呼ぶ展開に目が離せません。
冒頭はワンシチュエーションですが、物語が進むにつれ舞台も変化していきだんだん真実へと近づいていきます。
全体を通して不穏な空気が漂っており、恐怖感や緊張感など心理描写が非常にリアルです。
また最後まで読むと、そういうことだったのかと思わせてくれる伏線がたくさんあるので読み返したくなる作品です。

 

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