大人気のネット小説大賞受賞作『魔王様、リトライ!R』のアニメ化が決定しました! 『魔王様、リトライ!』のアニメ1期が放送されて、実に5年ぶりのアニメ化となります。
今回は著者の神埼 黒音先生に、アニメ化記念インタビューをさせていただきアニメの魅力や裏話について伺いつつ、明日から始める第12回ネット小説大賞の応募様に向けて激励の一言をいただきました!
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ぜひ最後までご覧ください!
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身ノ丈あまる/『魔王様、リトライ!R』
———『魔王様、リトライ!R』のアニメ化、おめでとうございます! 『魔王様、リトライ!』から5年ぶりのアニメ化について初めて耳にしたときのお気持ちと、関連するエピソードがあれば教えてください。
ありがとうございます!
2019年に放送が終了した後も、水面下でいろいろと動いてはいたんですよね。話が出たり、消えたり、前進したり、後退したり。
心が折れそうなときもありましたけど、もう一度、必ずリトライするんだって気持ちで書き続けていたので、双葉社さんから、スターリーキューブの藍沢さんがもう一度、一から座組を組んで立ち上げてくれると聞いたときは本当に嬉しかったですね。
止まっていた時が、ようやく動き出すんだなと。
Ⓒ神埼黒音・身ノ丈あまる/双葉社・「魔王様、リトライ!R」製作委員会
———アニメ化にあたっては、どのように制作に関わられていたのでしょうか?
脚本全般ですね。このご時勢なので、顔合わせの時を除いてはすべてオンライン会議で参加していました。まだ完結していない物語なので、大きく話が変わったりすると執筆に影響するので、その辺りも含めて、古賀監督やシリーズ構成の高山さん、藍沢Pと相談しながら進めていきました。
皆さんの熱意が凄かったので、私も毎回、背筋を伸ばして参加していましたね(笑)
———アニメは前回のアニメの続きから放送されるんでしょうか? 小説やコミックの『魔王様、リトライ!R』の1話からですかね……?
3話ぐらいまでは、前作と少し違う視点で、過去を振り返りながら話を進めていく感じになると思います。なので、5年前に前作を見ていただいた方も、新作から初めてご覧いただく方も、自然に「魔王様、リトライ!R」の世界に入り込んでもらえるような仕掛けになっています。
構成を手がけていただいた高山さんは、本当に大変だったと思いますので、とても感謝しています。
———声優さんも発表されていましたが、とっても豪華ですね! 実力派で人気のある方が揃っていて、お写真を見ても皆さま華やかで……。それに主人公の魔王は変わらず、津田健次郎さんが演じられるのですね!
本当に豪華でしたね! 津田さんは今、日本一忙しい方なので、正直またお引き受けいただけるとは思わなかったんですよね。
前回のアニメを見返していても津田さんの声に引き寄せられるというか。主役の声って作品そのものと結びついているので、今回も引き受けていただけて本当に嬉しかったです。
アフレコ現場にも一度、ご挨拶に伺ったのですが、一流の声優さんってやっぱり凄いなと感じました。OKが出ても、自分でリテイクを出して納得いくまで続けられてて。
———前回と、今回のアニメ化で、先生にとって違ったことはありましたか?
無印の時はずっとあたふたしてて、「プロの人に任せよう」「脚本以外は任せよう」みたいな感じでしたが、今回は落ち着いて関わることができていますね。
個人的にも藍沢Pとよく飲みに行ったりしているので、仲良くさせていただいてる中でいろいろと勉強させて貰っています。
———作品の魅力についても深堀りしていきたいのですが、『魔王様、リトライ!』の魅力は、やっぱり主人公の魔王様(九内伯斗)ですよね! 外見も性格も男前で格好よく、唯一無二のキャラクターだと思いますが、どうしてこのようなキャラ像になったのでしょうか?
執筆していた当時は、異世界に転生して若返る主人公が多かったんですよね。ブラック企業に勤めていたらいきなり死んで、16歳ぐらいの少年になるというのが王道のスタイルで。
だから逆に、おっさんになった方が珍しくて面白いんじゃないかな、というのがありましたね(笑)
あとは、昔から怖そうな見た目なのに中身は意外と普通のやつってのが、大好物なんですよね。大して強くもないのに、ハッタリだけで切り抜けるやつとかも。
―――ちなみに、魔王様がヘビースモーカーなのは先生が愛煙家なのとリンクしている部分があるんでしょうか?
私と魔王をリンクさせている数少ない部分としては、お酒が好きで、ヘビースモーカーなところですね。作中でも、魔王は頭を切り替えたいときとかに煙草を吸うんですが、私も小説を書いていて気分転換したいときとかに吸っているので……行動をリンクさせていると、執筆のときに一体感みたいなものを感じていろいろと便利で。
―――飛びぬけた知略とスキルがある魔王様はもちろん凄いんですけど、ツッコミキャラで面白いギャップもいいですよね。ギャグテイストでどんどん先を読めちゃう本作ですが、先生はもともと笑いの要素がある作品が好きなのでしょうか?
ギャグ漫画が昔から大好きだったので、影響を受けた作品は多いですね。
「エンジェル伝説」「カメレオン」「特攻の拓」「今日から俺は!」
この辺りのヤンキー漫画は先ほどの質問にも被るんですが、見た目のギャップとか勘違い要素が大好きでした。ときには熱い展開になるのも最高です。
―――素直でまっすぐな少女のアク、ツンデレ聖女のルナなど、女性キャラクターもそれぞれの持ち味があって素敵ですよね。
特に『魔王様、リトライ!』は、アクちゃんが幸せになっていく物語でもあると思っていて。魔王様との親子のような、特別な関係性のようなやり取りが微笑ましいです。
魔王はとかく詐術が多いやつなので、素の自分になってホッと一息付ける場所が必要だよなと思っていて。若いときは見た目が奇麗、可愛い、キラキラしてる、そんなタイプを求めると思うのですが、魔王はもう良い歳なんで、最終的には一緒にいて安堵できる、落ち着ける、飽きない、そんなタイプを求めそうだな、と。
アクちゃんは意識せずとも、自然とそこにすっぽり当てはまるキャラだと思っています。
▲アク(左)、ルナ(右)
身ノ丈あまる/『魔王様、リトライ!R』
―――先生から見て「読者さんから人気だな」と感じているキャラクターはいますか?
漫画ではオルガンがかなり強い印象ですね。原作で言えば、宮王子蓮ちゃんはウェブで書いていた当時でも一番、読者さんが沸いたぐらい強烈な反応でした。
▲宮王子蓮
飯野まこと/『魔王様、リトライ!』 小説7巻【完全版】
―――いち読者としても宮王子蓮ちゃんは、「ここにきて、こんな凄いヒロインが来るか……」という衝撃がすごかったです。男女ともにウケそうな作品ですが、読者層はどんな感じなのでしょう?
読者さんの割合は男性6:女性4といった感じですね。女性読者がかなり多いので、ラノベでは珍しいかも知れません。
―――本作は『小説家になろう』でも大人気の作品ですが、人気になり始めたきっかけは覚えていますか?
投降して3日目ぐらいに300位以内ぐらいのランキングに入ったんですが、そこからは一気にランキングを駆け上がって倍々ゲームでブクマとポイントが増えていきました。
マダムの温泉回から、感想も爆発的に増えましたね。
―――私もマダム……エビフライ・バタフライが大好きでして(笑)
藍沢さんも好きなキャラなんで「マダムは絶対に出したいです」って言ってくれて(笑)
WEB時代ではマダムがメインで出てくる温泉回から、感想が一気に5~6倍ぐらいになったので「みんなどんだけマダム好きやねん!」って思った記憶があります(笑) 彼女の凄さは老若男女、どの層からも嫌われずに好かれている点ですね。
―――マダムはビジュアルの引きもズルいですからね!(笑) 神埼先生って小説、漫画、アニメ化までのメディアミックスがかなりスムーズな印象がありますけど、実際にどんな感じだったんでしょうか?
小説が発売された日にコミカライズも決まって、最初のアニメ化の決定もかなり早かった記憶があります。『小説家になろう』に投稿をしていたのも10か月程度なので、作家としての蘊蓄が少なく、あまり為になるようなことが言えないんですよね。
―――え、そんなに短期間でいろいろと決まってたんですか……!? もちろん先生にしか分からない苦労もあったのだとは思いますが、そこだけ聞くと本当に夢がある話ですね……! メディアミックスを目指している方へのご助言っていただけますか?
作家は文章で戦うのですが、それが漫画になったとき、そのシーンは「映える」のか?面白いのか?可愛いのか?格好良いのか?笑えるのか?を常に意識して書くべきだと思っています。
昨今の出版事情に鑑みると、原作だけで戦うのはなかなか厳しいので、漫画も跳ねなければ商業の世界で生き残ることは難しいです。
自分だけでなく、それに携わる漫画家さんや、クリエイターさんを楽しませたり、刺激にもなるように意識して描けるようになれば、かなりのアドバンテージになるかな、なんて思っています。
―――ありがとうございます。「小説家になろう」から長年、ファンでいらっしゃる皆様へメッセージをお願いできますか?
新しいアニメ化企画を立ち上げることができたのは、原作や漫画の売り上げがまったく落ちず、増え続けたおかげです。
私はその恩に、新しく一から丁寧に積み上げていったアニメで読者さんにお返しできれば思っています。是非、楽しみにお待ち下さい!
―――そして明日、2024年5月1日からネット小説大賞が始まります! ネット小説大賞に応募する後進の皆様に向けて、ぜひアドバイスをいただけると嬉しいです。
商業化する、デビューすることになったときって、暴風雨のなかを船で出発するくらいの大変さが伴うので、ネット小説大賞に挑んで書いているときに自分の乗る船をいかに頑丈に、安全にできるかが勝負だと思います。受賞して、船を出してしまうとそういったことがもうできなくなるので、どれだけ入念に準備できるかですべてが決まってきます。
やはり挑む人というのは、デビュー後のことを考えて進めていった方がいいんじゃないかと思うんです。
いろんな作家さんがいますが、デビュー作って一番濃縮されていて、2作目3作目って濃度が落ちていく方も多いです。1つに100%をつぎ込んでしまって、それでやめちゃった人も見てきました。大切なデビュー作の船が沈没しないように、1発目を大事にしてほしいです。
―――神埼先生、激励のお言葉をありがとうございました! 応募者の皆様、ぜひ『魔王様、リトライ!』に続くような素敵な作品のご応募をお待ちしております。
そして『魔王様、リトライ!R』のアニメ化、心より楽しみにしております! 放送をお楽しみに!
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