©kotori・莉茉/comico ©紫陽花
第10回ネット小説大賞において『無愛想な教皇は瑞花の乙女を諦めない』で
受賞となった紫陽花先生に独占インタビューを敢行!
前半では『受賞作の見どころ』、後半では『小説を書くときのコツ』などを伺いました!
ぜひ最後まで読んでみてください♪
――――第10回ネット小説大賞にご応募されたきっかけを教えてください。
ネット小説大賞は、『小説家になろう』のマイページでお知らせを見て知りました。
タグ付けだけで応募できる手軽さや、短編でも長編でも応募できるところ、企業様が多数協賛されていること、感想サービスまであるところが魅力で、これは応募するしかない!と思い、軽率にたくさん応募してしまいました。
――――魅力をいっぱい伝えていただいて本当にありがとうございます! 入賞のお話を聞いた時、どのようなお気持ちでしたか?
「え、え、これはもしかして……!?」と舞い上がりそうになる自分と、「いやまだ分からないよ……」と冷静になろうとする自分が現れました。しばらくは現実味がなかったのですが、だんだん実感と嬉しさがこみ上げてきました。
あと、実はこの年のお正月に近所の神社のおみくじで「1番 大吉」を引いていて、何かいいことありそう〜と思っていたので、受賞を知って「あの神社すごい!」と思いました。後日、御礼参りに行ってお賽銭を奮発してきました。
――――「1番 大吉」って凄い、そんな嬉しい予兆が……! 受賞されて、周囲の方の反応はいかがでしたか?
実はこれまで誰にも言わずに執筆していましたが、受賞が決まってから夫にだけ打ち明けました(ペンネームはまだ秘密にしていますが……)。
私が小説を書いていたことに全然気づいていなかったようで驚いていましたが、すぐにやにやして「先生」とからかってきました(笑)
――――なんて可愛らしいおしどり夫婦エピソード……(笑)! 早速、受賞作についても伺っていきたいと思うのですが、先生から物語の魅力を教えてほしいです!
まず、あらすじからお話しますね。
「瑞花の乙女」は、50年に1人現れ、王国に平和と豊穣をもたらすと言われる存在。ヒロインのアナベルは瑞花の乙女として神殿に召喚されます。
しかし、そこで瑞花の乙女の証である花形のアザを持つ乙女がもう1人現れたことを知ります。今は教皇となった幼馴染のフェリクスは、昔と違ってアナベルに素っ気ない態度で、2人の乙女のうち、どちらが瑞花の乙女に相応しいか見極めると言い放ちます。
瑞花の乙女候補として過ごす中でフェリクスへの恋心を自覚するアナベルと、アナベルを大切に思いながらもなかなか態度に出せないフェリクスのすれ違い。
そこに野心家なもう1人の乙女ベアトリスや、アナベルに親切ながらも裏がありそうな第二王子ヴィクトルが絡んで4人の関係が変化していき、「瑞花の乙女」にまつわる秘密も明らかになっていく……というお話です。
物語の魅力としては、幼馴染の二人の両片想い、いろいろと悪だくみを画策するベアトリスの悪女っぷり、ひねくれていたヴィクトルの変化などの人間模様をお楽しみいただけたらいいなと思います。
――――主人公となる、ヒロインの魅力もぜひご紹介していただけると嬉しいです!
ヒロインのアナベルはとにかく健気で純粋で、一途なところが魅力だと思います。
没落貴族出身のため自分にあまり自信がない一面もありますが、それでもフェリクスを支えたいというブレない気持ちがあり、前向きに頑張ります。
恋愛に疎いので、ヴィクトルのアプローチに全然気づかないのが、ちょっと天然で可愛いなと思います(笑)
――――つい応援したくなる謙虚で可愛いヒロインですよね。ヒーローはいかがでしょうか?
ヒーローのフェリクスは、アナベルへの気持ちを押し隠そうとしているのですが、たまに優しさやら嫉妬やらがポロッと出てしまうところが好きです。
最近、個人的にクーデレが一番好きかもしれないと気づいたのですが、その趣味が反映されていたかもしれません……。
――――ときどき垣間見えるフェリクスのデレに乙女心が揺さぶられました……! そして第二王子・ヴィクトルも沼で、引き込まれるキャラクターですね!
ヴィクトルを気に入ってくださってありがとうございます! ヴィクトルは序盤と最後でだいぶ印象が変わるキャラクターだと思います。
初めはアナベルにある意図を持って近づきますが、純粋なアナベルとの触れ合いを通して気持ちが変化し、成長していきます。
王家の放蕩息子と呼ばれるくらいの遊び人だったのが、どんどん変わっていく姿は私もとても気に入っていて、ありがたいことに読者様からも「幸せになってほしい」とご感想をいただいたりもしました。
もしかすると、ヒーローのフェリクスより人気が高かった可能性もあります……(笑)
――――今回の受賞はcomico様からということで、WEBTOON化ですね!
もともとWEBTOONが大好きで、TwitterでもWEBTOONの感想をたびたび呟いているくらいだったので、自作品がWEBTOONになるというのが本当に嬉しくて夢のようでした。
――――女性向けの作品だと、WEBTOONになったとき眩しくて素敵な世界観になりますよね……! 実際に原稿を見ていかがでしたか?
キャラデザも一目見て「イメージぴったり!」と思って感激しましたし、ネームや着色データなども素晴らしすぎて何度も見返しては幸せに浸っていました。
フルカラーで背景や効果が本当に豪華ですし、キャラクターの表情なども魅力的に描いていただいていて、日頃WEBTOONを読みまくっている私も大満足の作品になっています。
ぜひ多くの方にご覧いただきたいです!
――――私も今から楽しみにしております! 小説とWEBTOON版におけるストーリー上の違いはありますか?
ストーリーは、小説とWEBTOON版で基本的には同じ流れです。
ただ、ところどころオリジナルのシーンやエピソードが追加されていたり、より深掘りしていただいていたりと、WEBTOON版ならではの見所がたくさんあります。
小説を既読の方にも、新鮮な気持ちでお楽しみいただけると思います!
――――最後にファンの皆さんや、本作が気になっている方に向けてのメッセージがあればお願いします。
小説を読んでくださった皆様、ご注目くださった皆様、どうもありがとうございます!
この度、comico様でWEBTOONとして連載していただけることになりました。
本作の世界をフルカラーで臨場感たっぷりに描いていただいています。本当に素敵なWEBTOONになっていますので、ご覧いただけたら嬉しいです!
――――書籍化するため、なろうで人気連載にするために意識していることはありますか?
基本的にはマイペースに好きな話を好きなように書いていますが、長編を書くときは2つのことを意識しています。
① 中だるみしないようにする
ストーリーの進展がないお話が続くと、読者の方も退屈になってしまい離脱されやすいのかなと思うので気を付けています。書くのも飽きちゃいますし……(笑)!
ほのぼの回を書くときもストーリー上、意味がある内容を入れるようにしています。
② ハッピーエンドにする
私がハッピーエンドが好きというのが一番の理由ですが、読者の方も、読後感がいい作風を好む方が多いのかなと。
ハピエン作品のほうが人気になりやすく、書籍化もされやすいと思います。
――――執筆前に、プロットはどのように作成されていますか?
起承転結を含んだあらすじをざっくりと書いて、それを大体の設計図がわりにしています。
1話はこう、2話はこう……と詳細を加えていく感じです。スマホ執筆なこともあり、Excel表にまとめたりはしていません。
プロットを書く段階でエピソードの内容が膨らんできたり、文章が浮かんできたりすると、そのまま執筆を進めています。
内容や文章があんまり浮かんでこないときは、プロットは4行くらいで簡単に書いておき、あとは未来の自分に任せます。そして未来の自分は大体「もうちょっと細かく書いておいてくれればいいのに」と文句を言います(笑)。
――――できるところから進めていくのって、良い方法ですね! キャラクター設定については、事前にどれくらいまで決められていますか?
最初はざっくりで、執筆しやすいように名前と、性格や行動原理を大まかに決めます。
執筆しながらキャラクターを掴んでいく感じで、「以前はこういう発言や行動をさせていたけど、やっぱり違うな」と考え直したときには修正したりもします。
――――舞台設定はいかがでしょうか?
舞台設定も、実はそれほど突き詰めて考えてはいません……。私の場合はストーリー先行で、それに矛盾がないように設定を考えています。
逆に、細かい設定を考えた場合も、ストーリー上言及する必要がなければお話から省くこともあります。
――――なるほど……! ストーリー先行にすると、舞台設定も決めやすそうですね。
ただ、これらは私が完結投稿スタイルなのでできることかもしれません。リアルタイム投稿される方は、初めにキャラクターや舞台の設定を細かく決めておかないと後で苦労しそうな気がします……。
――――たしかに『小説家になろう』での連載と考えると一長一短かもしれませんね。
『無愛想な教皇は瑞花の乙女を諦めない』というタイトルは、本当に短くて分かりやすいですよね! 意識したポイントはありますか?
こちらのタイトルは、作品の内容的に長文タイトルが合わないように感じて比較的短めにしたので、そう言っていただけて嬉しいです!
タイトルをつけるのは苦手意識があるのですが、3つのポイントを意識しています。
① 話の内容がなんとなく想像できるようにする
② 少し引っかかる部分を入れるようにする
③ 差別化できるようにする
本作のタイトル『無愛想な教皇は瑞花の乙女を諦めない』でいえば、①は「教皇と特別な乙女のラブストーリーなんだな」と分かると思います。
②は「瑞花の乙女って何?」とか「諦めないってどういうこと?」と思って気にしていただければと思っていました。
③は人気ワードや流行ワードを入れる戦略もあると思いますが、類似タイトルも多くなって他作品に埋もれてしまうリスクもあるので、なるべくオリジナリティがあって印象的なものにしたいという感じです。
①〜③すべてを取り入れられなくても、どれか1つは満たせるようにと頭を振り絞っています……。
――――あえて流行ワードを入れないという方法もあるんですね! 普段、文章を書かれるときに意識していること、注意していることはありますか?
スマホで読みやすいように、こまめに空行を入れるようにしています。
そのほか、文末が単調にならないようにしたり、最近では難しい漢字は開いてひらがなにするか、ルビを振っています。些細なことで読者の方の集中を途切れさせたくないなと思いまして……。
あと、一番大事だなと思うのが、書いたあと日を置いて読み直すことです。そこで誤字が見つかったり、文章や話の流れがいまいちだったことに気づくことが割とあります(気づかないこともよくありますが……)。
――――ルビを振ってもらえると、たしかに読者としてはすごく助かります……! 情景描写などで工夫されているポイントはありますか?
すべてのシーンで情景描写に力を入れていると、WEB小説では逆に読みにくいのかなと思うので、印象的にしたいシーンを細かく書くようにしていますね。
その分だけ、普段のシーンではキャラクターの動作や表情、感情についての説明を多めにしています。
――――そのほか、作家志望の方々や、次回のネット小説大賞応募者にアドバイスがあればいただけますと嬉しいです。
個人的に、ネット小説大賞は、自分が本当に書きたいお話を書いてぶつけるのに最適なコンテストじゃないかと思っています。
というのも、非常に多くの企業様が参加してくださっているので、求められている作品の幅が広く、流行りではない「自分の好きなお話」でも目に止めてもらえる可能性があると思うからです。
ただ、堅実にいくのであれば、ネット小説大賞のWEBサイトに協賛企業様のインタビューが掲載されているので、そこで各企業様が求めているものを把握して執筆するというのが正攻法かもしれません。
私はまた好きなものを書いて、次回のネット小説大賞に応募するつもりです。ぜひ皆さんも応募して、一緒に盛り上がりましょう!
――――素敵な応援コメント、ありがとうございます! 先生のご応募もぜひぜひお待ちしております。
3月13日に公開予定の『無愛想な教皇は瑞花の乙女を諦めない』。ぜひチェックしてくださいね!