Noy/『魔王スローライフを満喫する〜勇者から「攻略無理」と言われたけど、
そこはダンジョンじゃない。トマト畑だ〜』
第10回ネット小説大賞において『魔王スローライフを満喫する〜勇者から「攻略無理」と言われたけど、そこはダンジョンじゃない。トマト畑だ〜 』で
受賞となった一路傍先生に独占インタビューを敢行!
前半では『受賞作の見どころ』、後半では『小説を書くときのコツ』などを伺いました!
ぜひ最後まで読んでみてください♪
第六魔王の呪いから勇者を庇い魔族に転じた光の司祭セロは、勇者パーティーから追放、強制転送させられる。
転送先で出会った第六魔王の娘ルーシーに魔王の素質を見出されたセロは、配下の魔族たちと共に領地を発展させていく。
そんな折セロの討伐にやってきた勇者パーティー一行。
彼らが城下にあるトマト畑に入っていくとそこにはセロのスキルで強化された魔物が潜んでいて……?
Amazon『魔王スローライフを満喫する』
――――この度は受賞、おめでとうございます! 第10回ネット小説大賞にご応募されたきっかけを教えてください。
ネット小説大賞は有名なので「なろうコン」の頃から知っていました。
蝉川夏哉先生の『異世界居酒屋のぶ』、ぶんころり先生の『田中のアトリエ』、ブロッコリーライオン先生の『聖者無双』などが受賞されていて、それら作品を読んだのが知ったきっかけになります。
『小説家になろう』にてタグ付けするだけで簡単に応募できるということで、とりあえず「参加することに意義がある」といった程度の軽い気持ちで出してみました。
――――魔王討伐をしたときに呪いを受けてしまった主人公・セロが、勇者に追放され、魔王になってしまうところから物語が始まりますね。この物語の着想のきっかけを教えてください!
これを書き始めた当時、「追放ざまあ」と、いわゆる「あらすじタイトル」が流行っていまして。
『小説家になろう』で活動を始めて半年ほど経って、あまり作品も読まれずに孤軍奮闘……せっかくだからランキングに挑戦してみようかと、「勇者に追放される孤独な主人公の物語を書きたいな」と思ったんです。
また、追放されるのもただ普通のパーティー仲間ではなく、そのなかに紛れ込んでいるのが魔王だったらユニークな物語になるんじゃないか――というのが着想のきっかけです。
――――先生と主人公の重なる部分がテーマになっているのですね……! 改めて、主人公のセロと、主人公の右腕ともなる吸血鬼・ルーシーちゃんの魅力を先生から伺いたいです!
主人公・セロは、勇者パーティーから追放されたことで孤独になります。
しかし、そこから足掻いて立ち上がり、新たに出会った仲間たちを導いていくために最強へと至る決意をします。追放されて魔族として生きていくことへの葛藤と、魔王としての矜持がセロの魅力です。
そして、吸血鬼のヒロイン・ルーシーは、絶望していたセロに道を示してくれた人物です。一方で、真祖の長女として箱入り娘だったこともあってまだよく世間を知らず、他者との距離の詰め方も分かっていません。
そんな無防備さと、たまに見せるつっけんどんなところが魅力的な女の子です。
――――ルーシーちゃん本当に可愛らしいですよね! 書籍の表紙イラスト、ヒロインオーラが凄くて最高でした……!
ルーシーの可愛さを褒めてくださってありがとうございます!
イラストレーターのNoy先生が私の想像を遥かに超えた可愛らしさで仕上げてくださって、ルーシー以外のキャラクターの魅力も色んなものマシマシで描かれています。
――――それでは、発売される第1巻の魅力を教えてください!
WEB版との大きな違いとして、ルーシーの可愛らしさとセロとの恋愛要素を大きく加筆しています!
また、人族とは一風変わった考えを持つ魔族たちによる勘違いコメディもポイントです。
――――WEB版よりも恋愛要素が! それは楽しみです……! 全体の話の流れについて、WEB版からの変化はありますか?
1巻の範囲ではいわゆる「追放ざまあ」がストーリーの主軸になりますが、その後は旧題からタイトルを変更した通り、「スローライフ」が中心となってWEB版とは大幅に異なる展開です。
その伏線を加筆にて1巻のそこかしこに散りばめていますので、噛めば噛むほどトマト汁が甘く広がっていく新たな作品に仕上がっています!
――――タイトルにあるトマトも、物語の重要なキーワードですよね(笑)!
それは間違いないですね! おそらくこれまで出版されたありとあらゆる小説のなかで、最もトマト畑について多くの紙幅をかけて描かれているはずです。
トマト好きな方にはぐっと刺さるのではないかな、と(笑)。
――――それでは1月30日の第1巻発売に向けて、皆様にメッセージをお願いします!
主人公・セロと、ヒロインの吸血鬼・ルーシーの二人がトマトと共にすくすくと成長していく物語です。
書籍版ではスローライフ要素を大きく打ち出して、二人の成長と国造りを色濃く描いていきます!
また、WEB版から4万字ほど加筆修正して、キャラクター造形が一新している者もいます!
Noy先生の美麗なイラストや、新しいエピソードもいくつかありますので、ぜひともお手に取っていただけましたら幸いです。
――――書籍化の準備を進めてきて、作家という仕事に対してイメージが変わったことはありますか?
書籍化作業がこれほど大変だとは微塵も考えていませんでした。
すでにWEB版という原稿ができていたこともあって、それを右から左に流して「はい、おしまい! あとは校正くらいかな」という程度に思っていて。
――――たしかに、『小説家になろう』から書籍化されるとき、大変だとおっしゃっている先生方をよく目にしますよね!
いや本当にヤバいです、想像以上でした(笑)。それこそわんこそばのように毎日メールが来て、本業よりも大変だったくらいです。
何本もシリーズを抱えている作家さんや兼業作家さんは、体力オバケなんだなと。やはり何事においてもプロというのは凄いものですね。
――――そ、そんなに大変なのですね……! 『小説家になろう』の連載にあたって、書籍化するために意識していたことはありますか?
マーケティングの「マーケット・イン」と「プロダクト・アウト」の話になりますが……。
マーケット・イン:消費者のニーズを満たしたものを生産して市場に出すこと
プロダクト・アウト:消費者のニーズではなく作り手が良いと判断したものを市場に出すこと
「マーケット・イン」を意識して、現在のランキングで流行っているもの、キャラクター、ストーリーを抽出して、シナリオを打ち出しています。
ただ、それだけだと二番煎じにしかなりませんので、そこから「プロダクト・アウト」を想定して、自分の描きたいものとすり合わせをしていきます。
――――「マーケット・イン」だけでも難しそうなのに、二つを掛け合わせるのが難しそうです……。
そうですね、「マーケット・イン」を得意として、流行のものをどんどん生み出していく商業作家さんも多いですが、それこそ体力オバケでないとやっていけない世界でもあります。
そんななかで書籍化を目指して、編集者さんの目に留まるには自分の描きたいもの――いわゆるユニークな要素が重要となるので、こちらもやはり大切なんですね。
拙作の場合は「勇者パーティーから追放された魔王」や「トマト畑」だと思うのですが、トマトように突拍子のないモノを入れ込むと、編集者さんや読者さんの喰いつきが違うのかもしれません。
――――作家志望の方々や、次回のネット小説大賞応募者にアドバイスをいただけますと嬉しいです!
書籍化を目指すのであれば、ポイントを稼げる作品のほうが良いと思います。
それには現在の『小説家になろう』のランキングを見て、きちんとマーケット・インした作品を意識すること。商業ベースでやっていくことを目指すわけですから、市場で売れるものを考えていくことが大切になります。
その上で、最終選考で編集さんの目に留まるには、プロダクト・アウト――つまり、作家としての個性が必要です。この作家と仕事をしたいと、編集さんに思ってもらえるように作品の個性を磨くことが大切です。
――――個性を磨くには、どうしたら良いでしょうか?
まずはご自身が好きな作家、作品――それは小説に限らず、漫画にしろ、映画にしろ、音楽にしろ、徹底的に突き詰めて、「自分ならこうする」もしくは「こうした方が絶対に面白い」と着想するところから始まるものだと思います。
あとは、本当に縁に恵まれるかどうか……。最後まできたら最早、運頼みです。日頃の行いは大切にしましょう(自戒)。
何にせよ、書き続ける努力こそ、いつか必ず実を結びます。応援しています!
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一路傍先生先生、この度はロングインタビューをありがとうございました!
1月30日に発売される『魔王スローライフを満喫する〜勇者から「攻略無理」と言われたけど、そこはダンジョンじゃない。トマト畑だ〜 』。ぜひチェックしてくださいね!