©Clappers/comico ©悠井すみれ
第10回ネット小説大賞において『狼将軍の生贄の花嫁』で
受賞となった悠井すみれ先生に独占インタビューを敢行!
前半では『受賞作の見どころ』や『WEBTOONの魅力』、後半では『小説を書くときのコツ』などを伺いました!
ぜひ最後まで読んでみてください♪
私生児の生まれゆえに冷遇されて育ったエリーゼは、婚約者を亡くしたばかりの心痛の中、残虐な野心家と評判のヴォルフリート将軍と強引に結婚させられる。戦勝の褒美として不遜にも王女との結婚を望んだ将軍を牽制するための、生贄のような立場の花嫁だった。彼女の婚約者を戦場に散らせたのは、その将軍だというのに。
将軍にとっても彼女は押し付けられた妻ということになる。どんな仕打ちを受けるのかと震えるエリーゼに、けれどヴォルフリート将軍は穏やかに告げる。婚約者の復讐を望むなら叶えよう、と。噂される残虐な姿との乖離に驚いたエリーゼは、将軍の素顔を知りたいと思うようになる。
――――悠井すみれ先生、この度は受賞おめでとうございます! ネット小説大賞にはいつ頃からご参加いただいていたのでしょうか?
ありがとうございます! 小説家になろうでの活動は長くて、実はエリュシオンノベルコンテストっていう名前の頃から知っています。第2回~第3回あたりからタグをつけていましたね。
――――主人公であるエリーゼは、婚約者が戦死したことをきっかけに人々から恐れられている戦争の英雄『狼将軍』に嫁ぐことになりますね。物語の着想のきっかけは何だったのでしょうか?
恋愛感情だけでなく、お互いに支えあう理由があるヒーローとヒロインの関係性が好きだったことがきっかけです。
本作のヒーローはたくさんの人を死なせてしまい、ヒロインは婚約者の死を願ってしまったことにそれぞれ罪の意識を持っています。
罪の意識を解消できるのがお互いだけ……という関係性があるからこそ、ドラマティックな物語になるのかな、と。
――――WEBTOONの連載が始まりましたが、結果発表からかなり早いスタートですね!
そうですね、線画も思っていたよりずいぶんと早く届きました……!
WEBTOONは線画、着色など分業制になっているそうで、だからこそ通常の漫画よりもスピード感をもって制作できるのかな、と思いました。
漫画家さんとのやりとりは編集者さんを通してさせていただいてましたが、私のところで停滞しないように、お返事はできるだけ早くするように意識していましたね。
――――インタビューに先駆けて、原稿を見せていただいたのですが……WEBTOON映えする作品と言いますか、本当に素敵に仕上がっていますね! 先生は原稿をご覧になってみて、いかがでしたか?
WEBTOONだとオールカラーなので、戦争で炎の描写や、血の描写にもより臨場感がありました。「私はこういうシーンや、こういう人物を書いていたんだな」と改めて感動しました。
――――本当に、原作の世界観をそのままで、でも漫画として1シーン1シーンの迫力にすごく惹きつけられますね。
そうですね、その点はすごく嬉しかったです。また、原作は全体的にシリアスですが、コミカライズではところどころデフォルメされていて、癒しの要素などを入れていただいていました。そこもぜひ楽しんでいただけると嬉しいです!
――――最後に、作品が気になっている皆さんに向けてメッセージをお願いします!
虐げられていたか弱いヒロインが、誰かを愛することによって強くなる物語です。何も言えず何もできなかった彼女が、愛の力で成長していく過程を描いております。ぜひとも応援していただけますように!
悠井すみれ先生、受賞コメントをありがとうございました!
このあとの後編では『小説の書き方』を伺っていきます!
――――本作は『小説家になろう』の作品のなかでも地の文が多く、心理描写や情景描写が非常に丁寧な印象でした……!
ありがとうございます。三人称でありつつも、語り手の視点に近いところで物語を書いていますね。
映画を撮るときのカメラワークのようなイメージを意識していて……その場面を書くときに、どこに注目してほしいのか、どうカメラを動かしていくのかを意識しています。例えば、ヒロインのエリーゼが、目を伏せているから床の模様が目に映るといったことですね。
――――手探りで距離を近づけていくエリーゼとヴォルフを、大きな事件へと巻き込んでいく王子と王女。登場人物全員がキーパーソンのような、欠かせない人物という印象がありました。キャラクターを描くとき、大切にしていることはありますか?
キャラクターは、作品のコンセプトから逆算で決めています。
主人公に敵対する人、友達といった役割にあわせてキャラクターを作っていきつつ、ただ「悪い人」という設定だから悪い人として描くのではなく、その人にも考えがあってそう人になっているという背景を意識しています。
主人公目線の話を書いているときに物語が詰まってしまったときにも、「敵は何を考えているのかな」「味方は何を考えているのかな」ということを考えてみると、そこから物語に動きが出ることもありますね。
――――『小説家になろう』で掲載されている歴史ものなども本格的でしたね! 受賞作と作風がまったく違ったので驚きました。大変ではなかったですか?
言葉遣いなどについては、ライトノベルに偏らず一般文芸で読んだり、宝塚などのミュージカルなども好きなこともあって、いろんな言葉遣いに触れてきた蓄積が作品に活きていると思います。
――――最後に、作家志望の方々や、次回のネット小説大賞応募者にアドバイスがあればいただけますと嬉しいです。
今回の狼将軍は、出版社の公募では落ちてしまった作品でした。その講評では「ヒロインが消極的なので……」と言われてしまって。
それでも「面白いはずだ!」と信じて『小説家になろう』に掲載したからこそ、こうして受賞することができました。
これまで執筆してみて埋もれてしまった作品、落ちてしまった作品でも、タイミングや出版社次第で選ばれることもあると思うので、チャレンジしたり書き続けることを大切にしてほしいです。
悠井すみれ先生、この度はロングインタビューをありがとうございました!
12月2日に連載が開始される『狼将軍の生贄の花嫁』。連載をぜひチェックしてくださいね!