婚約破棄23回の冷血貴公子は田舎のポンコツ令嬢にふりまわされる/イラスト:みつなり都
第10回ネット小説大賞において『婚約破棄23回の冷血貴公子は田舎のポンコツ令嬢にふりまわされる』で
受賞となった玉川玉子先生に独占インタビューを敢行!
前半では『受賞作の見どころ』を、後半では『小説を書くときのコツ』などを伺いました!
ぜひ最後まで読んでみてください♪
侯爵家の一人息子アドニスは、顔よし、頭よし、家柄よしのキラキラ貴公子。
ただ、性格の悪さゆえに23回も婚約を破棄されていた。
もうこれ以上婚約破棄されないようにと、24番目のお相手はあえて貧しい田舎貴族の令嬢が選ばれた。
やってきた令嬢オフィーリアは想像を上回るポンコツさで、数々の失敗を繰り返しつつも皆にとってかけがえのない存在になっていく。
頑ななアドニスの心にもいつの間にか住み着いて……。
ダメっ子令嬢の頑張りが冷血侯爵の息子の心を掴んでいくハッピーエンドロマンス!
Amazon『婚約破棄23回の冷血貴公子は田舎のポンコツ令嬢にふりまわされる』
――――今回、3作品で受賞された玉川玉子先生。3作品の同時受賞というのはコンテスト初の快挙で、運営スタッフもどよめいてました(笑)! 先生自身は、どのようなお気持ちでしたか?
初めて書いた小説で初めて応募したコンテストだったので、とにかくビックリしました。嬉しさよりも戸惑いのほうが大きかったです。
実はライトノベルもほとんど読んだことがなくて、トレンドはおろかレーベルの名前も分からない状態だったので。
表紙のイラストのラフを見た時「本物の本みたい! 綺麗!」とすごく感動し、ようやく実感がわきました。遅ればせながら今、喜びを噛みしめています。
――――小説を書いてみようと思ったきっかけは何だったんですか?
コロナ禍で家にいる時間が増え、漫画をアプリで読み始めたんですが、読んでいるうちに漫画の続きが気になってしまって。それで『小説家になろう』に行き着いたんです。読んでいるうちにふと自分でも書いてみようかと思って。それが、小説を書き始めたきっかけですね。
――――今回、インタビューさせていただく作品は、ツギクルさんで受賞された『婚約破棄23回の冷血貴公子は田舎のポンコツ令嬢にふりまわされる』です。
23回も婚約破棄されている不愛想なヒーロー・アドニスと、ポンコツな田舎貴族の娘ヒロイン・オフィーリア。作品を拝読しながら何度も笑ってしまいました。物語の着想のきっかけなど教えてください。
冷たいヒーローが、ヒロインに「面白い女だな」と言う作品ってよくありますよね。でも、実際にはまっとうなヒロインであることが多いように感じて。
だからそのテンプレを思いっきり誇張して、極端なポンコツヒロインを書いてみたい!と思ったことが、この物語を書き始めたきっかけです。
――――ヒロインのオフィーリアのポンコツなキャラクター、一読者として本当にツボです(笑)!
ありがとうございます。ヒロインは貧乏なうえにお料理も下手くそで、ゲームをしてもズルをするタイプです(笑)。良い人になりすぎないように、そしてドジっ子っぷりがくどくなりすぎないようにさじ加減に気を遣いました。
――――11月10日にツギクルさんから発売が予定されている『婚約破棄23回の冷血貴公子は田舎のポンコツ令嬢にふりまわされる』ですが、1巻の魅力を教えてください!
『小説家になろう』で掲載しているものに大幅に加筆しました。倍くらいのボリュームになる予定です。
「小説家になろう」版では明かされていない、恵まれた環境で育ってきたヒーローが冷たい性格になってしまった原因や、抱えているトラウマなどについても言及しています。他には「もっとラブラブになったところが見たいです!」という感想をいただいたので、ロマンチックなシーンも加えました。
イラストも素晴らしい仕上がりです。とにかくヒロインの表情が可愛らしくて! 自分の書いた文章が絵になった時の感動は想像以上でした。ぜひ楽しみにしていただけると嬉しいです!
――――先生が受賞された3作品は、作品間で共通のキャラクターも出てくるんですよね!
そうですね、『領地を立て直したい嫌われ者のお色気令嬢は女ったらしの成り上がり貴族に愛される』のヒーローであるロバートが、本作では当て馬のポジションで登場しています。
両方の作品のヒーローを、それぞれの作品で別視点から楽しめる感じにしてあるので、両方を読んで楽しんでいただけると嬉しいです。
――――最後にファンの皆さんや、本作が気になっている方に向けてのメッセージがあればお願いします。
『小説家になろう』でたくさんの皆さんにコメントをいただき、自分が書いたものを読んでもらう喜びを知りました。
皆様からの反応が書き続けるモチベーションになり、その結果書籍化にまでこぎつけることができ本当に感謝しています。
初心を忘れずに頑張ってまいりますので、応援をどうぞよろしくお願いいたします。
――――小説はどんなツールで書かれていますか? また、小説を書くときに便利なもの、集中するための環境づくりなどで、オススメがあれば教えてください。
SCRIVENERというソフトがあって、Youtubeで外国人作家さんが使っているのを見てから愛用しています。
コルクボードみたいな画面にカードを留めていくことができるソフトで、そのカードの順番を入れ替えながら物語を組み立てています。画面が凄く可愛いのでモチベーションにもなりますね。ただ同期の際に不具合が生じるという口コミもあるので、(私は今の所はトラブルはありませんが)使うときは注意してください。
SCRIVENERで執筆した後、Wordで体裁を整えています。
――――そのツールは初めて聞きました! ほかに執筆時に工夫されていることはありますか?
執筆をしている和室の襖4枚に、DIYでシートを貼って巨大ホワイトボードにしています。
作品間で登場人物が共通しているので、連動して修正しないといけないことを忘れないようにこのボードにメモしたり、とても便利です。
あと、ネタ帳はアナログ派で、普段からノートにアイデアを書き留めています。愛用しているのは無印良品リフィルノートです。
――――執筆前に、プロットを作成されていますか? 作成されているとしたら、執筆前にどのような項目を決めていますか?
プロットはかなり作りこんでいますね。ネタ帳に思いつくままバーッと書いてみて、オチが決まり、全体の構成が見えてきたら、起承転結に分け、肉付けしていきます。
ヒーローやヒロインの気持ちの変遷も何段階かに分けて書いていて、この気持ちの変化に付随するエピソードはこれ、というかたちで決めていきます。
例えば【変わったやつだなあ】→【一緒にいると楽しいな】→【可愛いな】という感情の変遷があるとしたら、それぞれに具体的な出来事をリンクさせ、さらにモブ、小道具、笑えるセリフなどで味付けをして一つのシーンが完成する感じです。
――――登場人物の気持ちの変遷を書いて、出来事にリンクさせるというのは面白い手法ですね! 物語の設定などにこだわりのポイントはありますか?
タイトルにはこだわりはないんですけど、主人公の名前にはこだわっています。
舞台がなんちゃってヨーロッパなので、「明らかにその名前はフランスにしかないだろ」みたいな名前にならないように気を付けています。
あと、王族に百姓っぽい名前をつけないように、農作物に関連しそうな名前などは避けていますね。
語源がキャラクターに合っている名前が理想なので、意識して選んでいます。例えば、ヒロインのオフィーリアは『助けになる』という意味で、本作でもみんなの救いになるようなキャラクターなんです。
――――そのほか、作家志望の方々や、次回のネット小説大賞応募者にアドバイスがあればいただけますと嬉しいです。
まだ書き始めて日が浅いので偉そうなことを言える立場ではないのですが、書籍化作業が始まり、初めてキャラクター設定表というものを書きまして。
キャラクターの作り込みが大事だと言うことは知識としては知っていたのですが、これまで実際にやったことはなかったんですね。
で、実際にやってみたらこれが思いのほか有効で。キャラクターの嗜好などストーリーと関係ないところまで作り込んでいくと……なぜか自然とストーリーがわいてくるんです。なので、ストーリーが浮かばなくてお困りの方がいたら是非キャラ設定表をおすすめしたいです。
玉川玉子先生、ロングインタビューをありがとうございました! 11月10日に出される『婚約破棄23回の冷血貴公子は田舎のポンコツ令嬢にふりまわされる』。発売を心より楽しみにしております!