今回のピックアップ作品
趣味が渋い銀髪美少女同級生と気が合うのは、多趣味な俺だけらしい件
(著:乃中カノン)
【ジャンル】
現実世界〔恋愛〕
【あらすじ】
司総司(つかさ そうじ)が所属するクラスには、人気はあるが男の噂を聞かない恋愛鉄壁の銀髪の美少女、極夜真白(きょくや ましろ)がいる。
陽キャでも陰キャでもなく、ちょっと多趣味なくらいの普通の学生である総司は、彼女とは同級生であること以外はそれほど関わることなく生活していた。
だが、ある日たまたま呼ばれた食事会で、ポツンと座っていた真白に話しかけるも、たいしたことは何も起こらなかったが、それが一つのきっかけになった。
翌日、何気なく趣味であるボードゲームを物色しに専門店に訪れると、そこには真白がいて…………
彼女と話してみれば、真白は少々女子高生らしくない趣味のせいで、趣味の合う人がおらず悩んでいた。
けれども、総司は彼女の趣味の殆どに理解があり、初めて真白は自分と趣味が合う人を見つける。
そうして、始まる美少女同級生との関係。
一緒にボードゲームをしたり、スポーツ観戦、温泉巡り、釣りなどをするようになる。
ただの気が合う友人だと認識していた総司は徐々に真白に惹かれるようになり、真白も総司に対して心を開いていく。
趣味を通して、いつしかお互いを好きになっていく――そんなお話です。
【登場人物】
☆司総司(つかさそうじ)
本作の主人公。
相手の立場になって考えたりと、場の空気が読める高校一年生。様々な物事に興味があるようで、多趣味に通じている。
偶然に見かけた雑誌への言及を切っ掛けにして、美少女クラスメイトである極夜真白と知り合うこととなる。
好きなゲームや日々の自炊などを通じて、総司と真白の距離は縮まっていく。しかし総司は周囲の視線を気にするところがあり、二人の関係は果たして……。
☆極夜真白(きょくやましろ)
ヒロイン
整った顔立ちや白磁のような肌を持つ、文句なしの美少女。特に輝くような長い銀髪に魅了されている男子生徒は多い。
『恋愛鉄壁』との噂が立つほどに非常にもてて、それでいて誰にも靡かない模様。女子生徒にも人気があり、周囲には常に人だかりができているほどである。
ふとしたことで総司に趣味の将棋を知られてしまう。他にも渋い趣味を持つ真白は、ゲームの遊び相手として総司と一緒に過ごすように。
怪我した総司に責任を感じたりと、優しい一面も持つ。
☆馬竜飛角(うまだつとかく)
関西弁を喋り、野次馬な性格なのか総司のことが放っておけない友人。
からかわれるので総司はいろいろと隠したがるようだが、越えてはいけない常識はわきまえている模様。人間関係を分析したりと、チャラさとは別に侮れない面を持つ。
雪菜は恋人同士であり、総司や真白を含めた四人で遊びにでかけることも。
☆五十嵐雪菜(いがらしゆきな)
飛角の恋人。
総司もよく知った人物であり、軽口を交わすほどの親しい仲。何かとヤンチャな飛角の手綱を握る、真白とは別のタイプの美少女。
飛角とは似合いの、お互いに口が達者なカップル。総司としては雪菜や飛角に真白との仲を知られたくなかったようだが、無駄骨に終わる。雪菜が加わることで、ゲームのメンバー集めとしても大きな進展が。
人間関係は時として投げられたサイコロのようで、稀に奇跡的な目がでることもあります。司総司と極夜真白がお互いを意識したのも、鞄から転げ落ちた一冊の雑誌が切っ掛け。そこから始まる二人はとても自然体で、それでいてとっても甘いです。
真白はスマホのソシャゲもやりますが、他に自ら渋いと評するボードゲーム類も大好き。将棋やリバーシ、そして麻雀にも興味津々。総司の趣味と重なっていて、一緒に興じるようになる日々は、高校生の総司は誰にも知られたくない秘密。なぜなら真白はクラスで人気者の美少女であり、総司は目立たない『普通』の生徒だからです。
こっそりと真白との仲を深めていく総司ですが、悪友と言うべきか親友と言うべきか迷う馬竜飛角にはお見通しです。大阪弁によるツッコミに辟易しつつ、まんざらでもなさそうなところが、等身大の高校生に感じられます。
飛角の恋人である雪菜にも知られてしまう大失態は、やがてよい方向へと傾いていました。例えば麻雀は普通、四人でやるもの。ボードゲーム好きにとってメンバーが増えるのは、とても幸せなことなのです。
渋い趣味はインドアのみあらず。真白は釣りにも興味津々だったりと、アウトドアな遊びに興じるエピソードも。高校生なので、もちろん夏にはプールにも出かけます。飛角と真白も一緒なので、自然とカップル成立なのですが、果たしてどうなることか。
プラモデルやボトルシップ作りでは、精神力と器用さが求められます。そういうのが大好きな総司と真白が共同で組み立てたりしたのなら、どうなってしまうのか。のめり込んで折角のチャンスに気づかなかったりするのが、二人らしくとてもいい感じです。
料理に関するいろいろも、今作の面白いところです。総司の酷い自炊生活を見かけて、力を貸す真白。二人で一緒に買い物へ出かけたり、一緒にキッチンに立ったりする姿はまるで夫婦のよう。美味しい料理に男は弱いもの。同じ食材を使ってもまるで違う料理を作ってしまう真白が、総司には輝いて見えたことでしょう。気づかぬ間に、こっそりと胃袋を掴まれたのかも知れません。
自室のエアコンが壊れたことで、総司が迷いこむこととなる真白の娯楽部屋には誘惑がいっぱいです。漫画やゲーム機などの他にも、男子高校生にとっては刺激的な展開も。
どうやら真白の渋い趣味は、彼女の父親からの影響が大のようです。
総司の将来を決めかねないフラグがいくつも立っているように思えるのですが、今後の楽しみとして知らなかったことにしておきましょう。
総司にとって内緒にしておきたかった真白との仲ですが、次々とばれています。
注意力散漫なのか、それとも運命のなせるわざなのか。ついには『とある人物』にも……といった展開には大いに笑わせてもらいました。しかも見られたくない姿であり、総司は笑いの神にも愛されているようです。
おそらくですが、真白が傍らにいるようになってからの総司を、『普通』だと評する者はいないのではないでしょうか。彼がどこまで幸せな主人公なのか。それはご自身が読んで確かめてください。
・将棋や釣り等の渋いな趣味が好きな人
・高校生たちのボーイ・ミーツ・ガールが読みたい人
・軽めなラブコメの雰囲気が好きな人