この度は『第12回ネット小説大賞』にご応募いただき誠にありがとうございました。
今年も応募総数・受賞作品数・協賛企業数ともに過去最高を記録し、盛況のなか最終結果発表を迎えることができました。応募者の皆様、協賛企業の皆様、『小説家になろう』を運営するヒナプロジェクト様、そしてコンテストに関わって頂いたすべての皆様に心より感謝申し上げます。
これからも素敵な作品が、弊コンテストから世に羽ばたいていくことを楽しみにしております。
本コンテストにご参加いただきました編集者の皆様からの様々な声を集めましたので、ご紹介させていただきます。
来年も皆様からのたくさんのご応募を心より楽しみにしております。
・ランキング入りの作品を取り合っていた頃と比べ、最近では各編集部が求めている作品を獲りにいく傾向が強くなったと感じています。PV数や総合ポイントなどの数字も大切ですが、それ以上に編集者の熱量や「面白い」と判断する軸が重要になってきたのかもしれません。だからこそランキングや流行に惑わされず、多くの人に挑戦してほしいと思っております。フィクションの世界が現実をさらに彩り豊かにしてくれる。そんな作品を届けていくために、我々編集者はこれからも愚直に作品と向き合っていきます。
・異世界を舞台にした作品から現代ものまで、非常に魅力的なものが多く獲得作品の吟味に大変迷いました。流行を捉えつつもオリジナリティとなる独特のアイディアが光る作品が沢山ありました。そんな中でもタイトルで読者にまず興味を持ってもらおうと試行錯誤している作品は、しっかりと読み手を意識していて素晴らしいと思いました。
・短い題名に作品の内容を的確に反映させることは、読者が作品に興味を持ちやすくするための重要な要素です。このような作品が増えてきたことを喜ばしく感じています。
・物語の序盤に読者を捉えるフックがしっかりとある作品が増えてきたことが印象的でした。序盤にスピード感があり、読者を物語の世界に引き込むことができる作品は、その先を読み進めたいという意欲を高めます。逆に、序盤にスピード感が欠けていると、読者が離れてしまう可能性が高いため、この点に注力していただけると商業化に繋げやすいと思います。
・キャラクターの数をある程度限定し、深く描写している作品が増加傾向にあります。登場させる順番や書き分けにもよりますが、キャラクターが多すぎると物語が拡散し、読者が混乱しやすくなるケースもございます。主要なキャラクターを丁寧に描くことで、物語の軸がぶれず、読者も感情移入しやすくなると思いますので、好意的に受け止めています。
・タイトルやあらすじ部分部分で「どんな話なんだろう?」と興味を惹くような作品が多く、読み始めの段階でわくわくさせるような作りになっていたのが良かったです。内容についても、主人公の活躍を冒頭で提示することで、序盤から読者の気を惹くことに成功している作品が多かったように思えました。
・内容が面白いにもかかわらず、タグ付けの少なさやタイトルによって読者から見つけられずにいる作品が多いように感じました(造語のタイトル、簡素すぎるタイトル等)。
・今回は応募総数、受賞作品数ともに過去最高の盛り上がりをみせておりますので、男性向け・女性向け・ジャンルを問わず多彩な作品が読者に届くこととなります。各企業の求める作品像に必要以上に拘泥せず、ご自身が表現したい世界を自由に描いていただいても、チャンスは多いものとも思います。
・長編連載作品は登場人物のまとめがあると、より人物の相関関係がわかりやすく把握できて物語に入り込みやすいと思います。
・タイトルとあらすじからストーリーが汲み取れる、売りが明確な作品が多かったです。その中でも短くまとめつつ上記が伝わる作品に魅力を感じました。普段ランキングには上がってこないジャンルの良作にも出会え、マイナージャンルの作品も改めて評価できました。
・「トレンドを押さえつつ、オリジナリティを出す」というテーマ性を感じる作品が全体的に多かった印象です。
・設定や序盤の掴みは良いが、物語が進むにつれて、主人公の行動原理が不明瞭になる等、キャラクター性が弱くなる作品が多い印象だったので意識していただけたらと思います。
・長編でしか描くことができないテーマやキャラクターの成長が描かれている作品をもっと読みたいと思いました。シリーズ化を見込んで書籍化させていただきたい場合も多く、定期的に執筆する力も判断基準に入っています。期間中更新されていない作品も多いと感じたので更新を続けることも強いアピールになると思いました。
■異世界恋愛に向けて
・女性向け作品は文字数が少ないために見送った作品がいくつもあったのが残念でした。企画や内容は魅力的なので、もっとボリュームのある作品が増えてくれると嬉しいです。
・異世界恋愛は少ない文字数で綺麗にまとまりのある作品が増えすぎているので、もう少し風呂敷を広げてもいいのではないかと思いました。
・異世界系の新ジャンルを切りひらけるような、ヒロインに魅力ある作品が出てくることを期待しています!
・女性向けでは異世界・恋愛・短編が隆盛を誇っていますが、長期連載や書籍化を意識した骨太なストーリーにも意欲的にチャレンジしてほしいです。
・展開の早さや世界観の複雑さ、キャラの魅力の多様さそれぞれをとってみても作品毎に色々なバリエーションがあり、それぞれの魅力を感じられました。引き続き多様な魅力的な作品と出会えると嬉しいなと思います。
・WEBTOON部門が創設されたおかげか、連載を前提としたテンポの良さやキャラ立ちを意識した作品が増え、コミカライズのイメージが湧く作品が多かったです。また、和風や中華風のロマンスファンタジーで、ドラマティックな作品が増えてきたように思います。
・ラスト前で息切れしてしまう作品が目立ち、ネタが良い分もったいないと感じました。読者が「読んでよかった!」と思えるようなラストまでしっかり書き切れる作品が集まることを期待します。
・異世界恋愛作品の躍進が目立っていました。差別化が難しいジャンルゆえ突出する工夫が必要ですが、一方で物語力のある作品が増え選考は悩ましかったです。昨今はコミックにとどまらずメディアミックスの原作としての需要も増加しているので、大喜利的な設定・キャラを出落ちに終わらせず調理する工夫が求められていると思います。
・今回のネット小説大賞では婚約破棄や離縁といった女性向けの異世界恋愛作品がポイントを獲得しており、ランキングの上位で目にすることが多くみられました。書き手が市場を敏感に読みとって研究を重ねた結果として表れているのではないかと感じます。
その反面、女性向け作品に寄り過ぎてしまっている印象もありましたので、レーベルの狙う読者層に合うかどうかの境界線はシビアに選定させて頂きました。
■ハイファンタジーに向けて
・ファンタジージャンルも、高ポイントを獲得している作品はもちろんですが、たとえポイントが伸びていなくても、設定が個性的で面白い作品や、しっかりと書き切る筆力のある作品には常に注目しています。ぜひ、自分が面白いと思う物語を書き切って頂けたらと思います。
・異世界恋愛が増えた影響により、純粋な異世界ファンタジーが減ってしまったように思えます。やはり異世界ファンタジーはライトノベル読者に根強い人気がありますので、たくさんのご応募があると嬉しいです。またどんなに面白くとも短編で文字数が少ないとなると、書籍化が難しい場合もございます。シリーズとして長く続けられるような物語が増えてほしいという気持ちもございました。
・ウェブ小説市場全体ではダンジョン・配信が顕著に見えますが、本コンテストではジャンルを問わずよい作品に出会えました。
・異世界系は男性向け女性向けを問わず、ジャンル自体が熟成してきた感があり、どの作品も読者の期待するストーリーが展開し満足度も高くなっている気がします。今後はその期待感を維持しながらも、読者の意表を突くオリジナリティあるエピソードを組み入れられる作品が増える事を期待しています。
・来年度以降、新しいトレンドを作っていくような独創性に溢れるお話をさらに期待しています。目の肥えた異世界作品ファンをあっと言わせるような作品との出会いを楽しみにしております。
■来年に期待されるジャンル
・「現実世界でのリアルな恋愛や人間関係(ドロドロ含めた)を描く作品」といったジャンルの作品は少なかったという印象です。ぜひこのあたりのジャンルにおいてもノベルならではの表現の緻密さや繊細さを感じられる作品が増えると、コミックにおいては人気のジャンルであるので、コミカライズ候補として考えやすくなるかなと思いました。
・スローライフや子ども主人公ものはもっと増えてほしかったです。
・例年より文芸作品の応募が少ないように感じられました。もちろん文芸にもテーマ・ジャンルの流行・売れ筋はありますが、設定の妙・文章力などが秀でている作品であればぜひと思っておりますので、エントリーしてみてください。
・BLは応募数が少ないながらも受賞作が出たこともあって、来年度以降も作品が増えることに期待しております。
・男女ともに楽しめるような幅広い読者層を有す作品を中心に選定させていただきました。
・女性読者が共感しやすく、多様な視点から物語を楽しめるよう、女性主人公の作品を中心に選考しました。物語を彩るキャラクター描写が豊かで、特に主人公の成長丁寧に描かれている作品を高く評価しています。
・コミカライズしたときに展開が区切りやすい構成になっているかを選定の基準の一つとしていました。
・ポイントが取れているか、流行のジャンルを抑えているか、序盤から物語の展開がしっかりあるか、上記を基準に選定しました。タイトル、あらすじの時点でこの作品を読むとどういう気持ちが味わえるのかを明示してもらえると、読者も読みやすくなり、出版社としても書籍化をしたくなります。読者が好きな物語の形はある程度決まっているので、そのテンプレにしっかり乗りつつも、パッと見たときに、既視感のない新鮮味がある作品を期待しています。
・ランキング特性として、流行のジャンル・物語の方向性のポイントが偏ってしまう傾向はありますが、そこから外れた作品も依然として求めております。
・作品評価としては、キャラクターの魅力を第一に、なろうの流行だけでなく独自の設定などが作り込まれているものや、ストーリー展開が秀逸で決め場でしっかりと魅せる作品の評価がより高かったです。