応募要項
応募は通常のネット小説大賞と同じく、「ネット小説大賞八」のキーワードを設定していただくだけ。
この度、ネット小説大賞では初となる、メディアミックスを検討する賞が決定いたしました!
今までのネット小説大賞では、小説の書籍化をゴールにした賞構成となっておりましたが第8回では、バンダイナムコアーツ様、バンダイナムコエンターテインメント様、バンダイナムコセブンズ様の協賛により、アニメ化・ゲーム化・遊技機化などを検討する『メディアミックス賞』が設立されます!
プロ・アマ問わず、書籍化を超えたアニメやゲームなどメディアミックスをしたくなるような、素敵な作品をお待ちしております!
メディアミックス賞:賞金30万円 (アニメ化・ゲーム化・遊技機化の可能性を検討)
奨励作品:賞金2万円
株式会社バンダイナムコアーツ
株式会社バンダイナムコエンターテインメント
株式会社バンダイナムコセブンズ
※奨励作品は商品(アニメ・ゲーム・遊技機)化、書籍化も原則されません。
※受賞作品は商品(アニメ・ゲーム・遊技機など)化及び書籍化を保証するものではなく、将来メディアミックス展開の可能性を秘めていると判断した作品に贈られる賞になります。
※メディアミックス賞を受賞し、アニメ化・ゲーム化・遊技機化が実際に行われる場合、設定やキャラクター、シナリオなどの一部が変更となる可能性がございます。(こちらは受賞者様との事前の相談の上で決定いたします)
この度、Amazia様、協賛出版社様のご協力のもと、応募作品の中からコミックの原作を募集いたします!
今までのネット小説大賞では、受賞した作品に「コミカライズ賞」をプラスして、受賞時からコミカライズが確約される賞がございました。
しかし今回のコミックシナリオ賞では、
小説家になろうに投稿されている作品を原作として、小説の書籍化を伴わず、そのままコミック化をおこなう賞となっております!
コミックで人気を博し、ノベライズ化という新たな道も切り開けるかもしれません!
キャラクターや世界観設定が輝く、素敵な作品をお待ちしております。
コミックシナリオ賞:賞金10万円 コミック連載確約
株式会社Amazia
他協賛出版社
※受賞は書籍化を確約するものではありません。(コミックの連載は確約となります)
アンケートなどでも多くのご意見を頂きまして、
今回新たに『短編企画賞』が設立されることとなりました!
短編企画賞では、ネット小説大賞とは別に募集期間を複数回に分けて募集をおこないます。
期間によって募集内容も変更となりますので、自分に合ったジャンルの時にご応募が可能となっております。
長編を書くのが難しく、これまでネット小説大賞への応募をためらっていたユーザー様も、ぜひこの機会にチャレンジしてみてくださいね!
短編企画賞はネット小説大賞の応募要項と内容が異なります。
選考 | ネット小説大賞運営 |
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発表 | ネット小説大賞公式サイト 連携メディア |
第2弾では「年末年始も楽しく書こう!」を目標に、「ネット小説大賞」の運営が審査員となって開催される短編賞となります。
「第2弾短編企画賞の単独応募に限り」出版等の優先権は発生いたしませんので、ぜひこの機会にお祭り感覚でご参加してみてくださいね!
※「ネット小説大賞八」「ネット小説大賞八感想」「ネット小説大賞八短編」 のキーワードが付いている作品は出版等の優先権が発生いたします
小説家になろうに投稿している作品において「ネット小説大賞八短二」のキーワードを設定していただくことでコンテストの応募が完了いたします。
対象となるのは500~20,000文字前後の「冬の季節」をテーマした作品。
「雪」でも「クリスマス」でも「お正月」でも、冬に関係があれば問題ございません!
こちらの企画では出版等の優先権は発生いたしません! 完結済、連載作品のスピンオフ小説でも応募はOKです!
※日本語で書かれていない作品、過度な性描写・残虐描写が描かれている作品は選考から除外いたします。
2019年12月20日~2020年1月10日 午前10:00時まで
グランプリ | 応援イラストプレゼント+一太郎2020 |
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準グランプリ | 応援イラストプレゼント+Fire HD 10タブレット(10インチHDディスプレイ) 32GB – Alexa搭載 |
受賞 | 応援イラストプレゼント |
奨励賞 | 図書カードネットギフト1320円分 |
taskey株式会社
選考 | peep編集部 |
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発表 | ネット小説大賞公式サイト 連携メディア |
オリジナル小説が1000作品以上のチャット小説アプリpeep!
peepでは、ここでしか読めないプロ作家による
ハラハラドキドキのチャット型小説を無料で読めるアプリです。
人気作品の『監禁区域レベルX』はYouTubeでの実況動画が
シリーズ累計1000万再生を超え、コミカライズ作品も多数進行中!
小説家になろうに投稿している作品において「ネット小説大賞八短編」のキーワードを設定していただくことでコンテストの応募が完了いたします。
対象となるのは5,000~15,000文字前後の完結しているオリジナル作品となります。
投稿作品は小説家になろうの規約に即している限り、ジャンルは不問といたします。
日本語で書かれていない作品、過度な性描写・残虐描写が描かれている作品は選考から除外いたします。
2019年10月28日~12月20日 午前10:00
01月中旬 1次審査発表予定
02月中旬 受賞作品発表予定
グランプリ | 賞金10万円+ボイスノベル化(音声コンテンツ) or シネマ小説化確約! |
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準グランプリ | 賞金3万円+peepで連載化! |
peep奨励賞 | 賞金1万円 |
「ネット小説大賞」では、「ネット小説大賞八感想」のキーワードがついた応募作品に対し、合計で約1000~2000作品程、スタッフの感想を提供しております。
どなたでも簡単に応募できる連動企画ですのでぜひご参加くださいませ。
※「ネット小説大賞八感想」=コンテスト応募+感想サービスとなります。
また、今回も応募作品に感想を付けた皆様には豪華な特典を抽選でプレゼントいたします!
ぜひこのコンテストを参加者の皆様で盛り上げていきましょう。
詳細は「ネット小説大賞の概要」をご覧ください。
以下は、これまで感想投稿を行った作品リストです。
一部、ピックアップページでのみスタッフ感想を掲載した作品を含みます。
スタッフが毎週ネット小説大賞応募作品から気になる作品をピックアップいたします。
原則選考とは無関係ですが、より多くの優れた作品を多くの方の目に触れていただくことは、ポイントに関係なく参加できる当コンテストの目的のひとつでもあります。
週1~2回程度の更新をおこなってまいりますので、ぜひご期待ください。
※コンテスト参加作品のユーザーピックアップ作品も募集しております。
ピックアップしていただいた作品は可能な限りコンテストで取り上げさせていただきます。
お勧めの作品がある方は、推薦理由を50~300文字程添えてお問い合わせください。
下記は、これまでピックアップをおこなった作品のリストです。
「幻影獣」と言われる怪物に蹂躙される世界。
平凡な少年・澄空悠斗は、ある日突然「世界最高のBMP能力者」と断定され、ソードウエポンの称号を持つ少女と共に、幻影獣との戦いに身を投じていく。
悪い意味で普通、悪い意味で普通じゃない。
これから出来るようになる主人公とすでになんでもできるヒロイン。そんな対照的なキャラがとても魅力的です。
各章の起承転結がしっかりされていてとても読みやすい作品だと思います。
機械と人間が争う近未来。襲いかかる機械から、人を守る警備隊員になったリスティに危機が迫る。
気を失ったリスティを助けたのは、不思議な服装をした少女だった。国に帰るため、彼女と旅を始めるリスティだったが、機械と戦ううちに少女の正体を目撃してしまう。
その正体は機械仕掛けの巨人のコアであり、少女自身も人間ではなかった。ただし少女は機械でありながらも、人間を守るために旅をしており……
機械の巨人を操るマキナ。マキナに助けられたリスティ。何気ないやり取りの中に伏線が張られていて、物語が二転三転しています。構成が練られているからこその、驚きが詰まっていました。
マキナが起こす様々も凄かったですが、リスティが真実に気づくシーンが一番印象的でした。皮肉が効いているといいますか、見事に世界がひっくり返っています。そこへ至る流れの演出が丁寧で、感心した次第です。
総隊長とのやり取りした後の展開は、爽快感に満ちています。最後の一瞬まで楽しませて頂きました。
両親が八歳の頃に死んでしまった主人公ヲルは、妹のシュリと共に生きてきた。
生きる為に過酷な環境で生き抜いてきた二人。
やがて成長し、周りの人に助けてもらいながらもやっと手にした日常。恋人と約束した結婚の話。
ヲルはこれまで手に入れられなかった幸せを得るはずだった。
しかし、その全てを魔王を倒すべく召喚された勇者によって壊される。
世界に絶望したヲルは魔王のチカラと共に進み始める。再誕した魔王とその闇に魅せられた者達の進む道は───。
運命に裏切られた、最凶の主人公が送る物語。
転生とか飽きてきたなと思っていた時、たまたま見つけた作品。
最初に読んでみようと思った理由は、題名が短かったからというだけだったんだが、読んでいくうちに「どういう展開になるんだろう」「楽しみ」と自分の中で次話がとても気になる作品になっていた。
正直、文章とか投稿頻度はそこまで良いわけではない。
だけど投稿されるたびに文章力は上達してるし、編が終わるごとに過去の話も読みやすいように改善してる点も好感が持てた。今となっては、そこまで気にならない。
読みにくい部分も少しあるけど物語の設定や構成が面白くて、表現するなら俺の読んでるなろう作品の中でも面白さとしては十位に入っていると思ってる。
特に心情についてこの作者は大事にしているなと思った。これまでの『俺TUEEEE』とか『転生主人公』のなろう作品とは違って、変わっていく現地主人公にどんどんのめり込んでしまう。
色んな人にしっかりと読んで評価をしてほしい作品。
これは電脳世界で巻き起こる事件を解決する物語。
旅する少女アリアとお喋りな腕時計マキナは電脳世界で“透明の魔弾”を追って旅をしていた。
透明の魔弾。それは使用者のどんな願いも叶えるもの。しかし、その代償は大きく、人々の認知さえも歪めてしまう。
望む願いと望まぬ結末。魔弾を取り巻く事件を解決すべく、少女と時計は立ち向かう。
最初は独自な世界観による状況や設定が、進んでいくうちに丁寧な描写によって理解できるようになっています。そうすることで、うまく作品を魅せていました。アリアの行動であったり、周囲の焦りようであったりと、そうした演出が心地よかったです。
第一章ではアリアの故郷の村で起きた何かといった主軸のおかげで、物語が追いやすくなっていました。期待を煽ってくれた分だけ後半では盛りあがっています。面白く読ませて頂きました。
第二章のサスペンス風な展開もいい感じです。続きを楽しみにしています。
近未来の日本で都市部を中心にアウトブレイクが発生。街はまたたく間にゾンビ達に支配されていく。
今まで生きる目標も、守るべき者も無く、ただなんとなく生きてきただけの一人のサラリーマンが、混乱していく世界の中で非力ながらも持ち前の知力を駆使して生き延びようと抗い続ける。
終わりの見えない戦いと避難を繰り返しつつも、道中さまざまな人達と出会い交流し、その経験を糧にして『生きる目的』というものを探し出すサバイバルストーリー。
主人公が自身の置かれた立場に気づくまでの流れ、臨場感がありました。またバスAIによる近未来感が、とてもよかったです。
今とは少し違う社会構造が作品にどのような影響を与えるのかが興味深いです。
普通の人達との対比が丁寧でユニークですね。緊張感が漂う状況下、必死な人々の様子を一歩引いた目で眺められるのはよい演出でした。視点人物への親近感をうまく利用しています。
女学生との出会いによって新たな局面が生まれていて、非常に盛りあがっていました。
続きを楽しみにしています。
不慮の事故で死んでしまった16歳の少女、羅奈は一人孤独に空を浮かんでいた。
「生き返りたくはないのかい?」
突然聞こえた謎の声の主、ラグリスに羅奈は導かれる。
そこは廃墟の入り口だった。
その中で羅奈は大鎌の絶斬《ゼツキ》を見つけ手に取りかける。
「この鎌の呪いを解かないと君は生き返ることはできない」
ラグリスはそう言って羅奈を強引に異世界へと連れていく──そこで知ったのは羅奈が持つ大鎌を我が物にしようと企む『天使』とそれを阻止しようとする『悪魔』だった。
悪魔達と協力して数々の天使を倒していく羅奈だったがレッヒェルンと呼ばれる最強の天使達が出てきてしまい、戦いはさらに激化していく。
この物語は主人公の少女が死んで、生き返るために異世界の案内人に着いていく所から始まります。
ここまではわりとテンプレなのですが。
この作品では異世界に着いた途端、敵に襲われ、主人公が呪われた大鎌を手にしてしまうことで物語が始まります。
よくあるなろう小説と比べると、テンプレを逸脱している作品だといえます。
ある意味、なろう小説に対する挑戦ともとれる世界観であるので、ぜひ読んで楽しんでもらいたいと感じるところです。
バトルファンタジーを主軸にしてはいますが、キャラクターそれぞれの個性や価値観を大事にし、それらを踏まえて、人と人との善悪の違いを大事にしています。
そして、そんな大勢の人々から"悪"と言われてしまった者達がひっそりと集まり、善と言われる人達だけでは解らぬ、解決出来ぬ問題や事件を"影"からひっそりと、なるべく"表"舞台には出ないよう、言ってしまえばこの世界の社会から摘み出されてしまった者同士がひっそりと集まり、自分達には自分達なりの正義がある、と言う事を認識、再確認し、自分達しか気付けない"敵"と戦っていく物語です。
繰り返しになりますが、キャラクターの個性や価値観等には特に拘りを持って書いております。十人十色の価値観を持つ外れ者達がいかにして自分達なりの"正義"を見付けるのか、そして何を以て敵と戦うのか。是非多くの皆様に読んで頂きたいです。
本来あるべきの翼も光輪も姿形の無い天使の青年と、見た目に合わぬ強力な魔法をいとも容易く操る、不思議な雰囲気を纏った魔法使いの少女。
その容姿も性格も、まるで絵に描いたかのような正反対。
そのお陰か口喧嘩も絶えず、だが周りはその2人を"相性が良い"と評価する。表裏一体、正反対とはつまり瓜二つと言う事でもある。
正反対で、しかしどこか瓜二つなその2人が出会った時、表の社会には決して明かされる事の無い、とある"お伽噺"の続きが紡がれようとしていた。
彼らの元に集う仲間達と、明らかになって行く"敵"の正体。
"敵"とは一体"誰"なのか。そして、何もかもが解らない青年は一体"何者"なのか。
"お伽噺"の真実と共に、それもまたゆっくりと、だが確かに、影の中で明かされようとしていた――。
何も特殊な能力を持たない女冒険者クレアは、殺処分寸前の売れ残り女奴隷のミサキを買い取って冒険者に育てる事を決めた。
二人での初仕事は人狼の討伐。しかしいざ現地を訪れてみると人狼は温厚で友好的な種族だった。
人狼に歓迎されるにつれ人狼に情が移る二人であったが、同じ依頼を受けたチート能力持ち異世界転生者が攻め込んでくる。
神に愛されなかった凡人は、癒えない傷を負わされた人生とどう向き合い生きるべきか。
彼らだけの答えがここにある。
とても重厚で、それでいて心情に訴えてくる演出が満載でした。
クレアがミサキを買うエピソードの迫力が凄まじかったです。物語世界へと鷲掴みで、引きずり込まれました。その際の、檻の内と外の大きな違いが印象的でした。
冒険者になってからのミサキの生き様も、丁寧に描かれています。序盤ですでに描かれている残酷な世界ですが、それ以上の苛烈さが心に響いた次第です。
粗野で乱暴な世の中ですがそれでも日常はあり、そうした機微の描写があるからこそ、アクションエピソードが引き立っていたように思えます。最後まで楽しませて頂きました。
死んだ時に、神様に異世界に転生することを告げられた主人公は、異世界で勇者となって善い行いをすることを心に決める。しかし、生まれ変わった体はゴーレムだった……。
転生してすぐに戦闘に駆り出された主人公は、そこで本物の勇者を目の当たりにする。しかし、その姿は主人公が生前思い描いていたような勇者ではなかった。
勇者一行による要塞への攻撃を援軍の到着まで防ぎきった功績により、人型の身体と「リアナ・ヴィルヘム」という名を貰った主人公は、魔王の娘であるベルフェゴール・ヴィルヘムの配下となり、魔王軍の一員として戦うことになる。
-これは、魔族と人間の戦争の中心へと引き込まれていく一人の魔装兵(ゴーレム)の物語である。
一見普通の異世界転生の小説ですが、衝撃的な展開が多く読んでて楽しいです。それも、主人公にとって都合のいい展開ばかり巻き起こるのではないのが面白い点の一つです。
また、主人公がただ強いだけではなく周りの仲間達も活躍するのが面白く感じました。登場する仲間のキャラクターがそれぞれ分かりやすい個性があるのも読んでいて面白いと感じた点です。
主人公だけがとても強いという小説に飽きたという人には特にオススメしたい作品です。
その日、私は不可思議な体験をした
緊張感に満ち満ちた構成となっており、「怖いけど、続きが気になってつい読んでしまう……」という心惹かれる作品でした。
主人公の一人称視点で淡々と情景が描写されていくも、徐々に主人公の周囲の様子がおかしいことが提示され、「まさか……」と思考を巡らせてしまった次第です。
「くいっ」と服の裾を引っ張られるシーンから、電話が鳴り響くシーンの流れに、まるでジェットコースターの落ちる前のような高揚と恐怖を感じ、そして電話越しに声が聞こえた瞬間、心臓がヒュッとなりました。
物語の終わり方も後味の悪さが感じられて、ホラー作品として非常に魅力的でした。
生まれつき「視える」能力を持つ青年、長南天明(おさなみてんめい)はある一件の相談をきっかけに万屋の魔術師である風宮千鶴(かぜのみやちづる)と知り合い、パートナーとして魔術や妖魔、霊などが関わる事件の調査に乗り出すことになる。
未完ですが一話完結方式。
一話完結の短編ホラー集。
大正、昭和の日本文学を現代風にアレンジしたような独特の情感が魅力。
怖いものからほのぼの日本昔話風まで話の幅も広く(ちょっと出来にばらつきもあるけど)、作者の教養が窺い知れる。
不老不死になったのは、なんと中年になってから。死なないことしか特殊能力のない、普通のお母さんの冒険譚。いつか来るかもしれないお迎えの日を待ちながら、魔女や魔物、吸血鬼、精霊王の横行する世界を生きていきます。
読みやすく軽快な筆致ですが、下敷きになっている世界観が重厚です。不老不死の背後に隠れている事実が明らかになる度に驚かされました。より物語へと引き込まれた次第です。
皮肉屋のモモですが、ドロレスへの思いがわかるエピソード後はがらりと印象が変わりました。そうした一面だけでは語り尽くせない場面が多分にあって面白かったです。
時折でてくるジェイコブとの思い出話がいいですね。不老不死になった原因であり、同時に夫婦愛が強く感じられました。また素晴らしいラストだと思います。よい心持ちで読み終えることができました。
我が家に突然メイドがやってきた。
今年から高校生になる日暮相馬は一人暮らしに慣れ始めていた。そんな相馬のもとに海外出張中の父親から今日からメイドを雇うと告げられる。やって来たのは仕事は完璧、けれども感情表現が乏しい、そんな、同い年の女の子だった。
学校ではクラスメイト、家ではメイド。そんな関係から始まる、ちょっと殻に籠りがちな高校生の成長物語。
メイドがやって来て、その子が同い年のクラスメイトという展開から始まり、登場人物たちの心の距離が縮まっていく様子が丁寧に描かれ、さらにそれぞれが抱える問題を解決する過程もまた、綺麗に描かれている。
読んだ後に胸の中がスッとする感覚が心地良い作品。
これは悲劇か。それとも喜劇なのか。
ヴェストリア国王の重臣の娘にして侯爵家の令嬢でもあるレオノーラは、半年前から王太子エリオットの正式な婚約者だった。ところがある日、エリオットは国王とその廷臣らがそろっている場でレオノーラとの婚約を破棄したいと言ってのける。
その理由はとある子爵令嬢に恋をしたからで、動揺する国王と廷臣らをよそに、エリオットは彼女を自身の伴侶にしたいと主張し出し――。
選ばれなかった女の復讐とその顛末。
裏切られたばかりの状況でも冷静に鑑みて、ことを成していく。そんなレオノーラの姿に惹かれました。素晴らしいキャラ立ちだと感じた次第です。また恋愛に暴走しているエリオットも、強く印象に残りました。
過去の王妃がどうなったのかを、アンジェラに解くシーンがいいですね。活き活きとしたキャラクター達が織りなす貴族社会での様々が印象深かったです。表向きな態度と、裏に隠れた心情のコントラストがくっきりとしていて、目が離せないエピソードに溢れていました。後半もドラマチックで、月並みな言葉ですが面白かったです。
彼女もいない、友だちも少ない、趣味もない、夢も希望もない、何もない27歳の男は、不安、焦りは感じつつも、面白くない生活を送っていた。
生きる気力もなくなってはいたが、彼の元に自分の息子と名乗る光一が現れる。こいつのせいか、男はよく夢を見ることになるが、その夢で起こる出来事は、破天荒で意味不明なものが多い。ただ、これが、男を成長させることに……
どうしようもない、つまらない生活を送っていた男の成長物語。これは、男の物語でもあり、あなたの物語でもある。
一見よく分からない展開が続くのですが、勢いとセンスで一気に読ませていただきました。この作品のジャンルは、コメディなのかホラーなのか、青春小説なのか、純文学なのか、ジャンルが分かりませんでした。ただそれさえもこちらの読者側に判断を委ねているのではないかと思いました。結末で、タイトルの意味が分かります所があるのですが、私としては「えっ、そっち?」と驚きました。口下手ですいませんが勝手ながらに推薦させていただきました
「僕は何人殺しましたか?」
それは初審において死刑が言い渡された後にある大量殺人者が面会する人に問い続けてきた質問。
誰も彼からこれ以上の言葉を引き出すことができずにいた中、
彼にフリージャーナリストと名乗った遠坂正樹はその質問にある答えを返す。
その答えに対して誰も聞き出すことのできなかった秘密を彼から打ち明けられる。
「彼女のことをお願いします。じゃないと……彼女がかわいそうだ」
大量殺人者である里中と、フリージャーナリストである遠坂とのやり取り。何度か行われていますが、どの場面も迫力がありました。それぞれの呼吸が感じられるような演出がとてもよかったです。
タイトルの通り、何人殺したかの質問に答えから広がっていく展開は、見応えがありました。当てずっぽうから見つかった新情報。目的の人物を探しだし、その裏側に潜む謎を解き明かす過程。よく練られていて、感心した次第です。正しさで人を救えるのかどうか、いろいろと考えさせてくれます。最後まで楽しませて頂きました。
街角や駅、空港や商業施設に設置され、誰にでも弾くことができる”ストリートピアノ”
中年のサラリーマン、音楽教師、女子大学生、ユーチューバー、お年寄りに、小さな子供まで様々な人が、今日も町の片隅でストリートピアノを弾く。
そこに居合わせた人の耳に入り、時には一緒に合奏したり、歌ったり……。その人数だけ人生が少しずつ交差し、やがて一つの物語となっていく。
10編の短編からなる心を震わせる群像劇、短編小説集
ピアノ弾きなら、ここに描かれている登場人物の誰かにはきっと該当してしまうリアリティさに、引き込まれる。
街中に置かれているストリートピアノだからこそありえる人と人の繋がりを短編10話で丁寧に書いており、ネット小説を読んでいるのではなく文庫本を読んでいる気持ちになった。
急増しているストリートピアノへの警鐘と共に人情味にあふれ、暖かさが心に残った。
各地のストリートピアノ弾きが文庫化、映像化したいと呟くのにも頷ける作品だ。
空から少女が降ってきた!
飛行艇で賞金を稼いで暮らす少年イリヤムは謎の少女ステラと出会う。
記憶を失った彼女には果たすべき使命があるらしい。
イリヤムはステラが使命を思い出すための手伝いを申し出る。
ステラはイリヤムとともに賞金稼ぎをして、自分の使命と記憶を取り戻す手がかりを追う。
夢を追う少年少女のよき下宿屋『セント・エクスペリー荘』や貴族飛行士たちとの交流。
生活に温かいものを感じるそんなステラに忍び寄る〈敵〉が……。
19世紀末風の魔法世界を舞台にしたノスタルジックな王道ボーイ・ミーツ・ガール。
はじまり、はじまり。
迫力のある空中戦が素晴らしかったです。細かな飛行艇の挙動や操縦における様々に、手に汗握りました。全編に渡っていい感じです。
またイリヤムとステラを始めとしたキャラクター達が、活き活きとしていました。物語を進めるための役者的存在ではなく、血の通った躍動感が感じられます。
一体ステラはどこから来たのか。墜落の様子や食事の仕方すらわからないところから始まっての、謎解きの展開は面白かったです。
また作中に登場する食事シーンが、どれもうまく描かれています。19世紀末風といった世界観とよく合っていました。楽しく胸躍らせながら読み終えた次第です。
新進気鋭のバイオリニストの椎葉伊佐子(22歳)は、凱旋コンサートで志し半ばにして倒れ、乙女ゲーム『この音色を君に捧ぐ』の悪役令嬢・月ヶ瀬真珠(5歳)としてコンクールの舞台に立ち渾身の演奏を繰り広げる。
真珠はこのままでは「主人公」を陥れた罪で放逐没落の未来が待っている。
「主人公」にも攻略対象にも関わらなければよいのでは? と思っても、なぜか攻略者は真珠の身内や幼馴染ばかり。関係を築かない、という最強の選択肢がとれないままに、彼等と関わることになるのだが?
恋愛未経験の彼女に翻弄される男性陣と、彼等からの好意に気づかず、ひたすら音楽に熱を傾ける彼女の恋物語。
悪役令嬢転生ものでありつつ、乙女ゲームの本来のストーリーを忘れてしまうほど、主人公が今を一生懸命生きてて引き込まれます。そしてストーリーに深みを持たせてくれる音楽が素晴らしい。
目の前に浮かんでくるような情景の描き方。そして心の動きが分かりやすい丁寧な物語運び。
内容の大半は音楽にまつわる内容となってます。そこに恋愛的な要素を絡めていくストーリー構成が素晴らしいく、つい惹き込まれてしまいます。
大手出版社・幻泉社の校閲部で働く斎藤ちひろは、いじらしくも数多の校閲の目をかいくぐって世に出てきた誤字脱字を愛でるのが大好きな偏愛の持ち主。
ある日、有名なミステリー賞を十九歳の若さで受賞した作家・早峰カズキの新作の校閲中、明らかに多すぎる誤字脱字を発見して――?
お騒がせ編集×〝あるもの〟に目がない校閲×作家、ときどき部長がくれる美味しいもの。
今日も校閲部は静かに騒がしいようです。
誤字脱字から始まる作家カズキへのアプローチ、とても面白かったです。主人公ちひろの人見知りな性格の描き方もよかったです。うまく演出に填まっていて、読み手を飽きさせない工夫が随所に凝らされていました。
ミステリー作家そのものがミステリーというアイデア。校閲に対しての様々なアプローチに感心した次第です。読み進めている最中。どのような真意が隠されているのか非常に気になりました。
ちひろと櫻田の関係性の変化が楽しかったです。よい心持ちで読み終えることができました。
未来が見える魔術師の少年、桐生織はある日、探偵である両親を何者かに殺されてしまう未来を見た。それは数十分後の未来。それを変えるために家まで急ぐも、しかし織の見た未来は変わらずに両親は死体となり、自身も命の危機に瀕してしまう。
そんな織を助けたのは、『殺人姫』桐原愛美と、『魔女』桃瀬桃。
二人に命を助けられ、桐原家に住まわせてもらうことになった織は、魔術師の総本山である魔術学院に入り、愛美や桃と共に両親が殺された真相を探るために奔走することとなる。
しかし、多くの戦いや出会いの先に待っていたのは、遠くない未来に待ち受ける思わぬ真実で……
その未来を変えるために、家族の絆が試される!
現代を舞台に、未来が見える魔術師の少年が、いずれ滅んでしまう世界を救うためのお話。
両親を吸血鬼に殺されて、自分の弱さを突きつけられながらもその弱さを抱えて進む主人公、桐生織と、『殺人姫』と呼ばれて、常に強く正しくあらねばならない、そのために弱さを隠して必死に強く生きるヒロイン、桐原愛美。その二人のラブコメも見所。
また、未来からやってきた二人の娘との、家族の絆の物語。
魔術と異能の二種類の力があり、そのふたつの違いやそれらを駆使したバトル描写も丁寧で熱くなれる。
主人公の「自分の弱さを認めて、それを抱えたまま前に進む」という性格が序盤から一貫していて、そのための努力や、ヒロインを始めとした支えてくれる周りのキャラとの関係性、その末の結末は、「友情・努力・勝利」の王道展開とも言える。
そしてなにより、ヒロインがひたすらにカッコよく、可愛い。とても可愛い。
──結ばれないと分かっているのに、それでもあなたに恋をしました。
ルックスは平均点。営業成績は落第点。全てが凡庸なサラリーマン秋葉悟。彼の元にクリスマスを控えたある夜、葛見千花と名乗る女子高生が現れる。
彼女は秋葉に、「私は未来からやって来たあなたの娘です。一週間だけ、ここに泊めて下さい」と告げた。
25歳の青年と、18歳の女子高生。時を超えて巡り会った親子は、不思議な共同生活を送ることになる。
けれども二人の関係は、一週間限定。
次第に心惹かれ合う中、予定通りに訪れる別れの日。千花がやって来たことにより、秋葉に生じた心境の変化とは? 出逢いと別れの先で辿り着いた、其々の未来とは──?
これは、定められた運命と予定調和の中で揺れ動く、決して結ばれる事のない二人の恋の物語。
切なくも沁み込んでくるお話でした。
惹かれてはならない、知ってはならない、離れなければならない。どれもわかっていることですが、やっぱり惹かれてしまう、知りたくなってしまう、離れたくなくなってしまう。二人が家族愛と男女愛の間で揺れ動く様に引き込まれました。
そんな二人の関係をヨコ糸にしつつも、タテ糸としてのストーリーもきちんと描かれ、真相が明らかになっていく過程は胸に迫ります。それが1週間という短い期間の中できちんと織り込まれ、ラストは読者としてもわかっていたことのにやはり切なく、独特の読後感が残りました。
千年にも及ぶ戦乱が続く中原世界。その間、中立を保ってきた魔道師たちの都エイサも、ついに東方のガルマニア帝国によって戦火に巻き込まれてしまう。そのさなか、老魔道師ケロニウスは、古代バロード聖王国から伝わる【アルゴドラスの聖剣】をある人物に託す。
その頃、新バロード王国の王子ウルスと従者タロスは、ガルマニア帝国に寝返った家臣によって、遥か西の辺境近くまで追い詰められていた。謎の超戦士ゾイアに助けられたウルスだったが、運命の悪戯で離ればなれとなってしまう。流浪の王子ウルスは、やがて中原全体を覆う陰謀の渦に巻き込まれて行く。
一方、ウルスを探して放浪の旅に出たゾイアは、超絶的な剣の技で次々と敵を斃していくが、その本当の力は人知を超えたものだった。ゾイアとは、果たして何者なのか。中原の命運を握る存在なのか。
だが、本当の危機は、北方の人外の魔境から、密かに迫って来ていたのである。
壮大な世界の中で繰り広げられる戦いを描いた本格ファンタジー。
重厚感たっぷりの文章で読み応え抜群です。
深みのあるファンタジー作品が好き、という方には、ぜひとも読んでいただきたい一作になっております。
連続猟奇殺人の犯人である少女、甘莉憂依。
彼女を捕まえるべく奔走する警察官、烏羽嗣夜。
正義と悪。
追う者と追われる者。
歩み寄ることができないはずの二人が歩み寄り、
分かり合うことができないはずの二人が分かり合う。
異なるようで同じだった、それぞれが抱く信念の先には……
猟奇殺人犯の甘莉の言葉を否定する警察官の烏羽。狂気の直中に漂う甘莉に気に入られて、また無意識のうちに惹かれていく。その心情の機微がとても丁寧に描かれています。また構成もよく練られていました。
殺人が軸になっているものの、主題は甘莉と烏羽の交流です。特に印象的だったのは烏羽の家に甘莉がいたエピソード。陰鬱さよりも、心の触れあいと葛藤が強く伝わってきた次第です。よい演出でした。
誕生日云々でまとめたのは、いいアイデアですね。考えさせる、ある意味で納得のラストが面白かったです。
「ねえ、小沼くんの曲、一曲だけ、くれないかな?」
歌声の出ない元天才美少女の、最後の願い――
小沼拓人は、中学生の頃に偶然ライブを見た同い年の天才美少女シンガーソングライター"amane"に強く憧れ、自分も作曲を始める。
だがその半年後、amaneはデビューシングルたった2曲だけを残して活動休止をしてしまう。
意気消沈しながらも、周りには秘密で一人バンド(宅録)をしながら高校生になった時、そこには同級生としてamane(市川天音)が入学していた。
高校二年生のある日、ひょんなことから拓人はamaneのゴーストライターになることになり……?
ぼっち男子×リア充女子のバンドもの青春学園ラブコメ、開幕!
まず、タイトルからいわゆる「ぼっちなのになぜか美少女からモテモテでハーレムを築く学園ラブコメ」を想像されると思います。
おそらく、表層的にはそれは間違っていないのですが、それでも、普段こういったラノベを嫌悪している方も楽しめると自信を持ってオススメできます。
その理由は、この物語の肝は、あくまでも「ウォーターボーイズ」のような「青春」にあるからです。
大まかな流れは、誰にも言わず一人で作曲活動をしていた主人公・小沼拓人が、自身が作曲を始めるきっかけになった幻の天才美少女シンガーソングライター・市川天音に楽曲を提供する、という秘密の関係を中心としたバンドものの青春ストーリーです。
ミステリーのように伏線を解き明かしていく物語の展開、リアルなバックグラウンドを感じさせるキャラクターの魅力、読みやすいにも関わらずところどころに出てくる本気の情景描写。
あまりの青春とあまりのエモさに、自分も高校生になったような感覚で登場人物と同じように感動します。
後半はそれぞれのキャラクターの色々な思いが結実し、涙がぼろぼろ出てきます。
書籍化、そして映像化をしてほしいと心から思うような、人生に刻まれる名作です。
俺は今……とても困惑している。
本当に困惑している。
ピンポーン
寂しい独り身の部屋に鳴り響くインターホン。
ガチャッ
玄関を開けると、そこには1匹のカワウソがいた。
???
俺は今……とても困惑している。
ある日、扉を開けたらカワウソが……という斬新な設定でしたが、出オチで終わることはなく、その後の同棲(?)生活がホンワカなコメディでとても面白かったです。
カワウソのさくらさんはカワウソながら、お弁当まで作ってくれる良妻で、そのかわいらしさは天下一品ですね。
キュッキュとかわいらしく鳴いてお出迎えをしてくれるなんて、毎日が癒しに満ち溢れています。
さくらさんのキュートな癒しにあふれた作品で、一話一話の文字数もちょうどよく、お手軽に読み進めることができました。
【大人が全て化け物となった日本で、平凡な高校生が国を興し、やがて『国父』と呼ばれるまでのお話し】
絶望のネバーランドの中で、少年は自分の学園を『国家』へと変革し、歴史に名を刻む。
食糧不足、水・電気の供給停止、資源不足、秩序の乱れ…あらゆる問題を抱えながら、人喰いの化け物と戦い、学園は極限のサバイバルを強いられる。
繰り返される仲間の死や、化け物以外の敵…。
絶望の中で、少年は壊れていく。
大人は全て化け物となった。
残された少年少女は、愛し合い、奪い合い、殺し合いながら、荒廃したネバーランドで生きていくことになる。
──そしてやがて、学園は国家になる…
「なろうは異世界ものだけじゃない!」と主張するような作品。
「大人がゾンビになった日本で学校が『国』となり、生徒会長だった主人公が『国父』となる」というあらすじに男心がくすぐられた。学校という特徴を活かすために、風紀委員会などが警察の代わりになるなど、世界観に惹き込まれる要素も多い。
自分のいた学校が崩壊した世界に取り残されたら…自分がそのリーダーになったら…と想像を掻き立てられる。
チートなんて存在しない、食糧なし水なし電気なし武器なしのコツコツ系の作品だったがちゃんと「異世界ものでチートが炸裂したような」スッキリ感を途中に与えてくれたのも良い。
文章に凄さはないが、一人称の等身大な視点でさっぱりとしているので読みやすく、ある種の没入感があった。
「異世界」や「チート」などと言った昨今の流行に一石を投じるリアル思考な現代ファンタジーだった。
両親の自殺によるショックで葬儀の当日、投身自殺を図った高校生エマは五歳以降の記憶がすっぽり無くなってしまう。
緩和ケア病棟の医師である叔父を始めとした親戚たちに支えられて少しずつ成長していくお話。
長きにわたる治療とそれに伴うエマの周囲の人々の想いに心を打たれました。
エマが記憶を取り戻して元の人格となり再び自殺を試みるシーンなど涙ぐまずにはいられなかったです。
蕪木をはじめとする親戚の人たちや小学校時代の友人とそれぞれが皆、自分なりにエマを想って時にすれ違いながらも行動する姿や、しのぶとの交流もとても温かくて、記憶を取り戻すことがエマの幸せに繋がるのか読みつつ悩みました。
冒頭では描かれなかった両親が亡くなっている様子を目の当たりにするシーンも衝撃的で、エマが周りの人に想われていると気付いた時には心の底からホッとしました。
ディアは、家族を喪い王宮で育てられた公爵令嬢だ。
婚約者である第一王子から婚約破棄を伝えられたディアは、愛する人が、数日後に迫った舞踏会で自分を殺そうとしていることを知っていた。
これは、長い夜の国の王宮で、何不自由なく一人ぼっちで生きてきたディアが、自分の心をずたずたにした者達を、せめて最後にくしゃくしゃにしようと頑張るお話。
そして、そんなディアを見ていた、美しくて残忍な夜の国の王様が、なぜだかとても振り回されるお話です。
一読者として推薦します。
概要としましては、異世界のお城に住む公爵令嬢が復讐のために戦うお話になっています。王子に婚約破棄をされてしまいますが、その後、こっそりと自分の元に訪れてくれる神様のような美しい男性との恋が発展していきます。
主人公の毒殺が計画されている舞踏会の日までに少しずつ明らかになる、すれ違いラブや主人公一家を襲った陰謀、主人公だけが受け継いだ国のおとぎ話に世界のルールなど、いくつもの出来事が一つに織り上げられてラストへ繋がっていく様子は、圧巻です。ぜひ、たくさんの人にオススメしたいですし、個人としてはあまりにも高いクオリティに感動して全力で課金したいです…。
しっかりと王道でありながら、今まで触れてきた婚約破棄のもので、一番作り込まれていて納得できる人間模様と政治でした。歴史の全てにドラマがあり、登場人物の行動全ての理由があるのだなぁと感じるところも素敵だと思います。
二〇年前に天城を襲った、<滅>と呼ばれる超常的現象。
それを引き起こしたとされる、一五年前に行方不明となった刀の行方。
南区に現れた「しゃべる鬼」――
不思議な少女・あとりの出現に、第七課の人間、成敗師たちの日常がゆっくりと崩壊していく。
近未来系和風アクション・ローファンタジー。
近未来的な舞台で繰り広げられる和を練り込まれた物語、一話目からとても引き込まれました。
しっかりとした物語設計、興味をそそられるキャラクターの立ち位置や名前の響きもそれぞれにとても印象深く、一人一人がきちんと立っているのが素晴らしいです。
挿絵もとても素敵で、読者のイメージをより深く広げられていると思います。
あとりちゃんが何者なのか、彼女の持つ刀はなんであるのか、まさぎさんの真の力や鵺さんの体の不調など…全体的な真相はまだ先の話であるのが、ワクワク感を駆り立てられました。
これは、人と妖怪が心通わせる物語。
時は平安。越後の山村に住む童女ヒナの前に、翼を失った天狗が落ちてきました。
天狗の名はフェノエレーゼ。
人間嫌いで数々の悪行を重ねたため、えらい妖怪に翼封じの呪いをかけられてしまいました。
呪いを解くため、フェノエレーゼは旅に出ます。ヒナもその旅に同行することにしました。
フェノエレーゼは呪いを解き、翼を取り戻すことができるでしょうか。
とにかく最後が気になる作品。
主人公は上級の妖、天狗。そして人間の少女。
ジャンルは歴史となっているが、ヒューマンドラマの側面も強い。
サブキャラクターも主人公級に魅力的である。
作者は作品は必ず完結させる人なので旅の行方を見守りたい。
ラストにはきっと類稀なる感動を覚えるだろう。だから今読んで欲しい。
「時代と世界が変わっても、現実は変わらない」
いつものように眠り、いつものように起きる。
しかしそこは既にいつもの場所ではなかった。
右も左も分からず閉じ込められ、隣のエルフに助けられるも、向かった先に安住の地は存在しない。
この世界でも私はただの異物でしかなかった。
世界が変わっても現実は変わらない。
自分という人間もまた、そう簡単に変わらない。
だったらいつものように生きていくしかない。
十人十色でも、私のやり方は今も昔も一つだけだ。
――足掻いて、もがけ。
それだけが今を生きる人間の逝き方だ。
読み進めていくうちに、すっかり世界観に没頭してしまいました。アユムさんの葛藤や悲しみや怒り…感情が動くたびに、こちらもひどく心を揺さぶられたように思います。特に処刑のシーンでは歯を食いしばり、涙をこらえて読んでました…。
エルフの子たちもそれぞれに個性的で魅力があって、とても惹かれました。フォレストさんを始めとする神さまたちも、掘り下げていくときちんとした感情があり、その描写も興味深く感じました。
作品タイトルに深い意味がある、とても考えさせられる作品でした。続きも楽しみです。
些細なことから異世界に転生してしまった斑鳩 翔太郎(いかるが しょうたろう)は田舎の領主の三男であるラムゼイとして生を受ける。
彼は三男として悠々自適な生活を送る気でいたのだが、周囲の状況がそれを許さないでいた。
王に力は無く貴族が下克上を狙う中、虎視眈々と狙う周辺諸国。
国が乱れる中、家族からも見放されてしまうラムゼイ。
前世の常識が通じず、何度も挫折し躓く。
それでも頼れる仲間とともに一から領を興し、待ち受ける困難を乗り越えていく。
これは、一人の人間が苦難を乗り越えて成長していく物語。
中身の充実した戦記物。魔法やチートの概念はなく、自分の身一つで勝負することになるのが良かった。
ストーリーも普通に面白く、文も読みやすい。
「やぁ、それボクの林檎。拾ってくれてありがとー」
魔王を倒して世界に平和をもたらした勇者は、神聖スカイアーク王国の初代巫女王になった。
五百年後──魔物が復活し始めた世界で、サフィアはおかしな格好の青年トトと出会う。
言ってることも行動もひょうきんでメチャクチャ。
だけど、どこか憎めない道化師トトの話を信じて、少女は魔物にさらわれた子どもを捜しに、悪魔の森に向かうが──?
──過去の後悔にさいなまされる少女と、心をなくした孤独な青年が繰り広げる、癒しと再生の勇者奇譚。
まず文章が美しい。
テンプレなファンタジーとは一線を画す重いスケール感のある雰囲気。
心を無くした道化師というクセのあるはずのキャラがどこかリアルです。
読み進めていくうちに、登場人物の抱えている思いだったり、信念だったりが少しずつ違っていて、そこが単純な勧善懲悪ではない、胸にくる物語になってます。
「きっと見つかるよ。お願い事を叶えるのがわたしのお仕事だもん」
星の魔女――それは願いを叶えるもの。
‘蒼星’――彼女たちがそう呼ぶ太陽系に輝く青き惑星、地球。
そこに配属された一人の新人『星の魔女』シホ。
人々の願いを叶え、輝石を集める――その使命を果たすべく、彼女は仲間と共に願いを喰らう獣‘クーヴァ’と戦いながら任務をこなしていく。
そんなある日、シホは謎の獣人と遭遇する。シホの母の名を知る‘それ’は意味深な言葉を残し闇の中へと消えていった。
やがて――この出会いは星の魔女たちの運命を大きく変える事態へと発展する。
彼女たちが願いの先に見るものは希望か、あるいは――
星の魔女と言う響きに惹かれて拝見しました。最初に想像していた内容とは全然違いましたが、良い意味で裏切られたなと感じました。
主人公のシホの可愛らしい失敗から始まり、挫折と悲しみと成長と…色んな素敵な場面を見させてもらいました。ヴィエラを始めとした、個性豊かな魔女たちもきちんとキャラが立っていて良かったです。
一番最初のセリフがステラのものだったと解った時には、言いようのない感動を味わいました。映画を見ているかのようでした。
タイトルイラストにも意味があり、最後に美しい背景が入っていた選出もとても良かったです。素敵な物語でした。
エレオノーレは魔王軍唯一の女幹部である。
実力も高く、容姿端麗で文武両道、性格も冷静沈着かつクールとあり、周囲からは尊敬の眼差しで見られていた彼女は地球侵略を命じられる。
しかし、そこで彼女はある本と出会ってしまった。
それが彼女の運命を大きく変えてしまうこととなるとも知らず。
クールな女幹部の一人相撲をにやにやしながら読ませていただきました。
冒頭の怖そうなヒロイン像からは想像もできない日常的な展開がほほえましいですね。
クールで色恋とは正反対の彼女だからこそ、エッチなものを見つけてしまったときの驚きや好奇心が尋常でないことが伝わってきます。そんな彼女がエッチな本を手に取った瞬間、読者としては「食いついた!」と嬉しくなってしまいます。
そして終盤、こっそり持ち帰った本を気にしながらも突っ張る姿は可愛らしく、もっといろいろな本を与えて反応を見たくなるようないけない気持ちになってしまいました。
笹瀬佐々菜は、普通の女子高生だった。その日も学校に向かうために電車に乗っていたのだが、気付いたら知らない女の子の部屋にいた。
女の子は神様で、自分が創った世界――アイピアを救ってほしいと、佐々菜に頼むのだった。
普通ではなくなってしまった佐々菜が、衰退する人類のために新たな一歩を踏み出す。
世界は救われる。女神の導きによって。
主人公は神様に大きな力を授かって、魔物に虐げられている人類を救う旅に出ます。
その力は、その世界で一番の強者とされた魔王の数十倍でした。
しかし主人公は、手当たり次第にその力を使わずに、できるだけ魔物と人類の共存の道を模索していきます。
一風変わったチート物だと思います。
新年が明け、男子高校生の森園実は幼なじみで同級生の木賀枝穂と近所の古びた神社に初詣に訪れていた。
ある夜、実の前にニニと名乗る着物姿の小さな女の子が現れる。彼女は神様を自称し、願いを叶えにきてやったと主張する。しかしその願いは実は枝穂が祈ったものであった。しかも、願い叶えることで力を使い果たしたせいで、叶えた相手である実のそばを離れられなくなってしまったニニ。1つ屋根の下、男子高校生とのじゃロリ神様の凸凹共同生活が始まってーーーー。
神様である幼女ニニがとても可愛らしく描けています。主人公である実のところに押しかけるエピソードがとても面白く、詳しい事情が判明するにつれて、より親しみが湧いてきました。心情を吐露するエピソードは心に染み入りました。
実にしかニニが見えない設定は使い勝手がよさそうですね。演出次第で素晴らしいエピソードが期待出来そうです。
枝穂の願いは適度な謎になっていて、物語を引っ張っていました。メインキャラ三人の関係性がしっかりと練られていて、安心して読んでいられます。続きが楽しみです。
時は江戸時代。 外様の雲居藩(くもいはん)に仕える武士・花菱伊織(はなびし いおり)の元に一人の女中・すゞ(すず)が現れる。
彼女との出会いから、いつしか伊織は妖怪に関わっていくようになる。
江戸時代を舞台にした妖怪和風ファンタジー、ここに開幕。
昔によく見ていた時代劇を思い出しました。
一話ごとが読みやすく、キャラクター一人一人もしっかりしているので、混乱もなくどんどん読み進めることが出来ました。何より主人公の伊織さんの人に対する接し方や優しさなどが読んでいてとても好印象でした。すゞさんはかわいらしく、佐吉さんには和まされます。
章タイトルが謎かけになっているのも、読み終わって「ああ、なるほど!」と知ることが出来て楽しかったです。
妖怪たちもそれぞれにキャラが立っていて、豆さんや翁さんは愛嬌があって好きだなぁと思いました。
お話のほうはまだまだこれからと言ったところでしょうか。続きがとても気になりました。
「生きたい」
そんなごくごく普通の願いを許されない場所、保健所に2匹の犬が居た。
目の前に確実に迫ってくる〝死〟に2匹はどう立ち向かうのか。
お互いを相棒と呼び信用し合っている2匹は、殺処分を免れる事が出来るのか。
これは、今実際に起こっている犬達の命を巡った物語。
この作品は、犬の殺処分が行われる保健所のお話でした。保健所のお話で、ただ「殺処分を無くそう」と訴える作品は多くあると思います。しかし、この作品は違います。殺されてしまう、処分対象の〝犬〟が主人公なのです。
犬が必死に生きたいともがいている姿はとても悲しく、涙無しでは読めない作品です。
嘘つきは泥棒の始まりとよく言われているがそれは本当だった。
軽い気持ちからちょっとした嘘をついた金森龍介(カナモリリュウスケ)は日当たりのいい丘の上で眠ってしまう。
目を覚ましたそこには黒服の集団がいて、なぜか囲まれている。
ああ、これはどうしようもない。
俺は学生から泥棒にジョブチェンジした。
強制的に泥棒の片棒を担がされた金森龍介は別動隊として単身館に潜入することになる。
ゆっくりサボるはずの一日がとんでもない一日へと変わっていく。
何を盗み、何を盗まれたのか。
やっぱ嘘はつくもんじゃないな
作品名がキャッチーで、全話通して作品名を意識し、泥棒という点を一貫して考慮した作りになっていました。嘘をつくことはよくないぞという教訓であることわざを現代風に小説にしたような感じでした。
主人公は嘘をついたことをきっかけに半ば強制される形で泥棒に加担するのですが、味方のはずの執事長に一杯食わされるなど碌な目に遭いません。
内容自体は変哲のないドタバタアクションのようですが、テンポよく進んで行き、全話も短いためダレることがなく読むことができました。
嘘で始まり嘘で終わる、小さくよくまとまった作品だと思い、推薦いたします。
人類は絶滅した。ひとりの女子高生を除いて。
人類絶滅後の誰もいない世界で、たったひとりのスローライフが始まる。
人類がいなくなり、荒廃した現代日本で、唯一生き残った女子高生がキャンプしながら旅をするストーリー。
明るく生きようとした主人公がいいですね。カブに乗っての一人旅。立ち寄ったコンビニで食料を得て、ガソリンを探しに彷徨い続ける。その過程の細かな描写が心に刺さりました。
メインストーリーとは別に、食事に関してのエピソードが楽しかったです。コンビニに残っている食材でのサバイバルな生活にはひかれました。また人類絶滅学会での発表に関するくだりが、強く印象に残っています。
悲観の言葉ではなく、疑問の言葉や肉親との思い出という形で主人公の心情が語られていました。生きた証を残したいという意思が物語全体から感じられた次第です。
四十二歳のフリーライター江戸川剛(えどがわつよし)は突然異世界に迷い込む。
そして、最初に見たものは漆黒の巨大な竜。
彼が迷い込んだのは迷宮の最深部、ラスボスである古代竜、エンシェントドラゴンの前だった。
しかし、竜は彼に襲い掛かることなく、静かにこう言った。
「我を倒せ。最大限の支援をする」と。
竜は剛がただの人間だと気づき、あらゆる手段を使って最強の戦士に作り上げていった。
一年の時を経て、剛の魔改造は完了する。
そして、竜は倒され、悲願が達成された。
ラスボスを倒した剛だったが、日本に帰るすべもなく、異世界での生活を余儀なくされる。
地上に出たものの、単調な食生活が一年間も続いたことから、彼は異常なまでに食に執着するようになっていた。その美酒と美食への飽くなき追及心は異世界人を呆れさせる。
魔王ですら土下座で命乞いするほどの力を手に入れた彼は、その力を持て余しながらも異世界生活を満喫する……
理不尽な状況に置かれても冷静なゴウですが、食事に関しては別。ミノタウロスの肉を前にして一歩も退かなかったところが面白かったです。
日本に帰れないことがわかってから、より食への渇望が増したように感じられました。ゴウの心情が伝ってきた次第です。
管理者にエンシェントドラゴンの復活を願うシーンが印象に残っています。信頼を築き上げてきたからこその、よいシーンでした。
地上にあがってからの最初の食事もいいですね。タイトルにある『美食探訪』が始まる予感を大いに漂わせていました。
両親を幼くして亡くした高校二年のアモウ・リュウ。
幼い頃から施設で暮らす彼は、イジメや孤立を経験し、友達など不要だと思っていた。
そんな彼が初めて友達になりたいと思ったのは、ひょんな事から出会った一匹の小さな竜だった。
1匹の小竜と少年が出会って始まるSFファンタジー。展開が気になってどんどん読み進めてしまう面白い作品です。出だしのSF要素たっぷりな所からは想像できないくらい出てくるキャラクター達がとてもかわいいです!そのキャラクター達の心情も丁寧に描かれているのでつい感情移入してしまい、各章にそれぞれ山場があるのですがこれは涙なしでは読めません。現在3章の途中ですが、1章からの伏線回収もあるので是非3章まで読んでほしいです!3章が1番泣けたなぁ…。キャラクター達の成長も垣間見えるので、これからどうなっていくのかとても楽しみな作品です。そして願わくは、このかわいいキャラクター達の挿し絵が見てみたいです!
同級生の女子と異世界に転移してしまった主人公・佐倉礼人は、「竜の巫女」とちやほやされる彼女とは真反対の待遇にあった。異世界の王子が彼女と恋に落ち、礼人に嫉妬したせいだった。挙句の果てに、礼人は王子の手によって騎士候補の養成施設に叩き込まれてしまう。
養成施設とは名ばかりの刑務所のような場所で、礼人は身を以て痛感する──この世界では強くなければ生きてもいけない、と。
そうして次第に騎士を目指すようになったある日、一人の女性と出会う。実は彼女こそが王子の婚約者であり公爵家のご令嬢であるのだが、そうと知らぬまま心は惹かれていき……。
こちらの作品は、人気ジャンルである異世界転移ものです。
けれど無双とはほど遠く、主人公である少年は転移先の世界でわけもわからず冷遇され、戸惑い打ちのめされます。
そのなかで叶えてはいけない恋をし、大事な友ができ、希望を見た矢先に友を亡くしてしまう。
これらのストーリーのなかで、主人公の気持ちが丁寧にかつ強い力を持って読者に伝わってきて、毎回のようにハラハラドキドキ目が離せない展開が続きます。
物語は友の死を機に立ち上がった主人公が、元の世界での名字を捨てかたい決意とともに敵に立ち向かっていくところです。この先にも、まだまだたくさんの見どころがあることと期待が高まっております。
流行の要素を取り入れながら、確実に読者の心を揺さぶる力を持っていることから、こちらの作品を推薦させていただきます。
田舎町カーター・タウンのよろず屋魔術師アミュウ。
義姉ナタリアの縁談相手であるうさんくさい性悪牧師、聖輝と出会ってアミュウの運命は動き始める。
見合いの日、牧師聖輝は義姉ナタリアをかどわかそうとする。
義姉を取り戻そうと奮闘するアミュウ。
「わが四方に五芒星は燃えて、柱の上に六芒星は輝けり。因縁を断ち切れ!」
二人に縁切りのまじないをかけたら、思わぬ副作用で二人の記憶の一部が失われた。
さらにアミュウは不思議な夢を見るようになって……?
王道ファンタジー。まさにその通りだなと最初に思いました。しっかりとした世界設定、各キャラクター達のバランス感も個々にきちんとあって、ハーブや魔法、儀式などのアミュウの術も含めて、情景がすべて見えるような気がします。とても懐かしくて大切な書物を読んでいる気分になりました。一話ごとに入っている挿絵も暖かく、読者の想像力を掻き立てているのではと思います。個人的には1-18『柘榴』の後半部分で胸を締め付けられました…。
とても素敵な物語でした。続きも頑張ってください。
獣人の父親とエルフの母親を持つハーフエルフの少女ルーリアは、人里離れた森の中の蜂蜜屋の看板娘。
ルーリアの作る蜂蜜は人族の作る物とは違い、体力・魔力・病気・ケガ・毒……それらを瞬く間に回復してしまう特別な効果を持つ高価な蜂蜜でした。
ルーリアは幼い頃に先代魔王の邪竜からある呪いを掛けられてしまいます。
それはいずれ必ず魔王の元へと至るもので……。
果たして、ルーリアの運命は……?
この作品は、主人公のハーフエルフの少女が訳あって森に隠れ住んでいる所から始まります。
世の中の事を何も知らなかった少女が、そこから飛び出して色んな人達と出会い、成長して行く物語です。
ファンタジーだけど時に切なく、少女が悩んで成長して行く姿は共感が持てると思います。家族との絆、友達との友情、そして出会った様々な人達との思いが重なり、物語は進んで行きます。
もちろん都合の良い話だけではなく、少女自身が幼い頃に掛けられた呪いを解くために、思い切って広い世界に飛び込んで行きます。
魔法、調合、魔術具、魔物討伐、学園、そしてやがて魔王の元へ。
一つのファンタジーの世界にどっぷり浸かってみたい方に、是非とも読んで頂きたい作品です。
常識をくつがえすほどの、尖った雅感覚を身に着けた、我らがぼっちゃん。しかもその切れ長の目にみつめられれば落ちない女はいない! というほどのイケメンなのです。
私ども舎人の拙い文章ではありますが、平安の時代の日々の出来事を、現代の読者である皆様にお伝えすることができればいいなと思っております。
舞台の隅に座った舎人が地の文そのままにぼっちゃんのエピソードを語り、ライトアップされた中央では業平や彼と関わりのある人々が寸劇を披露する光景が目に浮かぶ、とても趣のある作品だったと思います。
それでいて、未来に生きる人々に向けたお話という形になっている為、題材である伊勢物語や平安時代についての知識が浅くとも分かり易く、興味をそそる語り口に、もっと読みたいと次へのリンクを押しているうちに最後まで読み切るほど夢中になっていました。
無理やり高子と引き離されてからの最期に蛍となって彼女に会いに行くシーンが印象的です。
「フットサル部、一緒に作ろっ!」
史上最高の逸材と謳われた天才サッカー少年、ハルト。
とあるきっかけで表舞台から姿を消した彼は、ひょんなことから学校一の美少女と名高い長瀬愛莉(ナガセアイリ)に目を付けられ、半ば強引にフットサル部の一員となってしまう。
何故か集まったメンバーは、ハルトを除いて女の子ばかり。かと思ったら、練習場所を賭けていきなりサッカー部と対決することに。未来を掴み損ねた少年の日常は、少女たちとの出会いを機に少しずつ変わり始める。
恋も部活も。生きることさえ、いつだって全力。ハーフタイム無しの人生を突っ走れ。部活モノ系甘々青春ラブコメ、人知れずキックオフ。
スポ根、ラブコメ、人間ドラマ……様々な顔を持った物語です。キャラクター一人ひとりが本当に存在しているような躍動感と人間くささに溢れていて、小説というよりドキュメンタリーを見ているような、なんとも不思議な気分になります。現実と創作の区別が良い意味で付かなくなる、そんな作品です。
ロウきゅーぶという作品が好きなんですが、それに続くスポーツ×ライトノベルになれるだけのポテンシャルがあると思います。試合シーンも文章とは思えないほど鮮明で、アニメ化されたらどうなるんだろうと妄想が止まりません。更新が一番楽しみな小説です!
「なあ、あたしら、姉弟にならないか」そう言った夜の片隅で、ふたりの幼い奴隷は姉弟となった。人から家畜に成り下がり、外れない首輪を巻いたナツとシノは、小さな手を繋ぎ合い、命を求めて逃亡を企てる。男勝りな少女と、言葉を話せない少年。傷つき、奪われ、自由を求め裸足で駆け、そうして、ふたりが最後に見つけた美しいもの。涙が溢れるほどに煌く輝き。幸福を求め歩き続ける彼らの道程を、ここに語る。
現実世界で不良予備軍だった。
喧嘩は強し。
頭も良い。
人気もある。同時に疎まれた存在。
そして色々とお人好しだった彼は、自転車で転倒した少女を車から守り、死亡した。
そして目覚めれば、黒髪赤目の美少年になると予想される、赤ん坊へと転生している。
すくすくと成長し、実績を残していき、気がつけば四歳のある時。今まで引っかかっていた記憶がはっきりと蘇る。
_そう、ここは乙女ゲームの中の世界。
そして自分は、乙女ゲームの中で攻略される対象_
作品は王道的ですが、主要人物の抱える闇等の一筋縄ではいかない所が読み応えがあると思います。
また、話も先を考えて作っている事で考察して読む事も出来ました。
何処にでも居る平凡なオタクサラリーマン。
暴走トラックに巻き込まれて即死からの中世ファンタジー異世界に転生するの巻。
二度目の人生とか正直しんどい彼は、平穏で穏やかな人生を送る為に、見るからに邪悪な神様にお願いして、特殊能力も何も無い平凡な村娘へと転生する。
しかし、そんな彼女が何の因果か、伝説の勇者に恋心を抱かれてしまう。
「勇者のヒロインとか絶対しんどい奴じゃん!何としても回避せねば!」
こうして、モブ村娘による勇者のヒロインルート回避バトルが幕を開けるのだった………!
突如世界の中心に現れた巨大な闇の柱。徐々にその世界を蝕んでいく。夜になると世界は『闇』と呼ばれる現象に覆われる。
そして突如その世界に現れた主人公カイト。記憶をなくし、何故この世界にいるのか、何故戦うのか、何故記憶がないのか、何故、何故、何故、、、
そんな絶望的な状況のなか、腰まである大きな三つ編みをしたかわいい女の子ヒカリに出会う。全てを包むような優しさ、笑顔がカイトの心を癒していく。
二人を中心に運命は動き出す。
出会ってはいけないことを知らずに
まずタイトルがとても魅力的でした。そのタイトル通り三つ編みの女の子が登場するのですが、イラストもとても可愛くてイメージがしやすかったです。
またそのトレードマークである三つ編みが作中で感情を表して動き回る様子も好きです。物語の伏線も多く見られるのでこれからのストーリーを期待している作品です。
ぜひオススメなので一度見てください!!
主人公の小鳥遊幸人(たかなし ゆきと)は、小学校にて大好きだった幼馴染みの天野沙耶(あまの さや)と付き合っていた。
……が、彼女の持ち前の口の悪さから、自分は彼女と釣り合っていないと思い、別れてしまう。
そして彼は自分が弱いせいで悪く言われたのだと思い、自分を変え、強くなったときにまた告白すると決意する。
また、彼女も自分の口の悪さに彼が傷ついて別れてしまったのだと思い、後悔し、大好きなのに素直になれない自分を変えようとする。
そしてそのまま五年という時間が経ち、彼らは高校二年生となった。
幸人は身長も伸び、成績もほどほどに良くなり、見た目も男らしくなった。
それでも彼女にはまだまだ釣り合わないとまだまだ自分を変えようと努力し続けていた。
そして沙耶も5年越しにまだ謝れず、話しかけることさえままならない小さい自分を悔やみ、自己嫌悪に陥っている。
大好きなのに、喋りたいのに、足が一歩出ない。そうして残酷にも日々は過ぎていった。
そうして迎えた二年生のクラス替えにて、ついに彼らは同じクラスになる。
果たして彼は彼女に告白できるのか。
彼女は素直になれるのか。
すれ違いを極めた2人の恋がようやく幕を開ける。
素直になれない幼馴染みのヒロインとそんな彼女に見合うため強くなりたい主人公のすれ違いじれじれ両片思いラブコメ。
ちょっぴり切ない恋愛が読みたい方、じれじれの両片思いのラブコメが読みたい方におすすめしたい作品!
埼玉では普通の高校生をしていたわたし、橘杏奈は、東京の大学に入ってクラスメート達がお洒落で垢抜けていることに驚きます。そして、急いで彼女達に追いつかなきゃと決意した所で、今度は間違って異世界へ飛んでしまってまた驚きます。
ちょっとした判断の差で人生ってこんなにも展開が変わるんだと痛感させられた、わたしの大学入学式当日とその翌日の2日間を紹介させてください。
多くのドワーフが暮らす地下王国に住む、ドワーフの石工兼彫刻家ガルド。彼は困っている者を見ると放っておくことができない"苦労性"としてあたりでも有名な男だ。
そんな彼が街に帰る途中、どう見ても訳ありそうな只人(ヒューム)を保護したところから奇妙な同居生活が始まった。 身元不明、言葉すら分からない様子の男と見捨てることができずに苦労するドワーフの日常。
「b;q^@o;jrt?」
「大人しくしとらんか、小童!」
解体屋。
俺にとって、それが生きる術でしかない。
だからこそ、その屋敷で見つけた「鬼兵」を見つけて歓喜した。
ただ、俺はどうかしていたみたいだ。
「寂しいのか」
こともあろうか、こいつに向かって話しかけていた。
まったく、どうかしている。
一時の気の迷いに呆れながら、解体作業に戻ろうとしたとき、
『ねぇ、あなたは、誰?』
どこからともなく、女の声がした。
廃墟屋敷の中庭という閉じられた世界。鬼兵という兵器を通して語りかけてくる少女霞の不思議さ。解体屋を生業とした螺閃の葛藤。どれもが印象深かったです。感情の機微が繊細に描写されていました。
修理の様子、霞と螺閃のやり取り、どれも巧みでリアリティに溢れています。特に霞の感情に溢れる言葉の一つ一つが、素晴らしかったです。彼女に心を揺らしてしまう螺閃の純情さも心に染み入りました。
やがて明白になっていく真実。それを突きつけられた二人のやり取りがとても盛りあがっています。先の展開を楽しみにしながら読ませて頂きました。
俺には同い年の幼馴染みがいて名前を千夏という。幼稚園からの仲で家が近所だったからよく遊んでいた。しかしその子は小学校5年の頃に転校で遠く離れてしまいそれっきり。だと思ってたら入試の合格発表日に彼女の姿があった!
これが運命というやつなのか?と一見寒い考えをしているおれ、感動の再会!!と思いきや最近悩みが出てきてさ。
隣にいるだけなのに心臓がバクバクする想いを耐えられないんだよな。そんな俺に気が付かずに千夏は俺に構ってくる。弁当一緒に食べたり部活は一緒のに入ろうと誘ってきたり休日はデートみたいな?ことしたり一緒に帰ったり、これは幼馴染みだから当然なのか?それともただの友達ごっこなのか?高校生の青春なんてこんなものなのか?
友達ごっこを極めた千夏さんを高校生らしく解決する俺の話。
小学校でとある未練を残して離れ離れになった幼馴染との高校でまさかの再会して高校生活を過ごす王道ラブコメ!一緒に朝投稿したり教室でお喋りしたりご飯を食べたり、一緒にキャンプに出かけたり……!年頃の主人公の気持ちを全く無視したヒロイン、千夏さんの恋人なのか幼馴染なのか良く分からないごっこ遊びのような青春が幕を開ける!
魔物が少なく、人間同士の小競り合いが繰り返されていたのも過去の話――今や冒険者の仕事の大半が、定期的に発生する魔物退治となった時代。
偉大な大賢者を曾祖父に持つ若き冒険者の少女クーナは、かつて曾祖父の仲間だったエルフの精霊使いサークと共に旅をしていた。
内心ではお互いを意識しながらもハッキリとは口に出せずにいる二人だが、そんな二人の行く手には数々の事件が待ち受ける事になる。
そしてそれらの事件は、やがて世界を揺るがす大きな陰謀へと繋がって――。
果たして二人は世界を救えるのか? そして二人の恋の行方や如何に?
――新たな英雄の物語が、今始まる。
本来は魔法使いなのに物理で殴るヒロインのクーナさん、新鮮でそれでいて少女らしい恋心に揺れている様はとても可愛らしいです。つい『頑張れ!』と応援したくなりました。
サークはある意味エルフらしくない青年で、それでも好印象を与える人物像だと思います。二人とも想い合っているのに告げないままでいるのも、モヤモヤしつつも期待値がどんどん上がっていく印象がありました。閑話で視点が変わるのも面白いですね。
物語はまだこれからという所でしょうか。続きが楽しみです。
今後の活動を応援しております。
現代に生きる女子高生の小雪は、最近噂の怪談『アンケートさん』に取り憑かれている。
そんな彼女の前に現れたのは、不思議な薬を売るお店だった。
機械か奇怪か怪奇か開基か奇々怪々。
なんでもござれのゆるふわ奇譚がやってくる。
不気味で怖そうな雰囲気と、柔らかい雰囲気が同居しています。この二つの切り替えがうまくできていました。おかげで心が揺さぶられた次第です。
主人公の勇気のある行動によって変化する様々。特に友人との、優しさ故のすれ違いのエピソードが印象に残っています。
『アンケートさん』だけでなく小さな店主の存在も、とてもユニークです。主人公を含めて、キャラが立っていました。また怪奇の一つ一つが、よく考えられています。
物語はまだまだ続くようですね。続きを楽しみにしています。
今後の活動を応援しております。
十二年前に体験した皆既月食と、ひとりの少女との奇跡の物語。
十二年間、いつまで経っても変わらない世の中に奮闘する主人公の天手月渚(あまてるな)は、久しぶりの月食を友人の佐野央樹(さのおうき)と共に、公園でぼんやりと眺めていた。そうして眺めていると十二年前、中学二年の頃に出会った少女、月弓花月(つきゆみかづき)と幼馴染である影入一磨(かげいりかずま)を思い出す。
その頃、病気を抱えた一磨に寄り添いながら学校生活を送る月渚は、ある皆既月食の日を境に、いつもと違う一磨に翻弄されるようになった。それを花月と央樹に支えられ、この世界の真実を求め、前向きに生きていく。
その作品は悪者と戦うわけではなく、日常の中の出来事が、ある時を境に主人公にとって少し特別になります。自分が思ってきた世界の変化は、望む事でなされます。その中で主人公は、自分が考えてきた、自分を形成した者との違いを受け入れた上で、葛藤の後、欲しかった世界ではなく元の自分の世界を選びます。
その心の葛藤や出来事をリアルに描き出していて、とても惹かれました。
これは序の口で、作者の方はこの作品以外に書いている別の話との連動もあり、二作共に読むとスケール感が広がります。
是非読んでみてください。
AI(エーアイ)新書店別館は、本屋だが書棚がない。見た目は、純喫茶の店舗。
ここで客が自分の好みを指定して注文すると、AI――人工知能――がその場で新作の小説を電子書籍の形式で書いてくれて、コーヒーを飲んでいる間に出来上がる。
この店に入り浸る大学生のシオリは、訪れる客と仲良くなって楽しいひとときを過ごしていたが、あるとき店内で、憧れだったマサキ先輩と再会する。しかし、彼は容姿も性格もすっかり変わっていて、怪しい勧誘などで彼女の読書を邪魔しに来るのだった。
愛想を尽かしたシオリがマサキと喧嘩別れしたとき、AI新書店に事件が起こる――。
昨今話題のAIを取り入れた作風がいいですね。設定も細かく練られており、まるで月九のドラマ番組を見ているような雰囲気が感じられました。ちょっとSFに片足を突っ込んだ、でも現実世界に変わりはないというのが物語にワクワク感を与えてくれます。
またAIの設定だけに終始するのでなく、登場する人々にもちゃんとドラマが描かれているのも良かったと思います。
お気に入りの席を巡って心が揺れ動いたり、書店のためにサークル仲間と対立したりなどなど、AI新書店別館を舞台とした人間模様もこういった小説の醍醐味だと思います。読んでいて楽しめました。
今後の活動を応援しております。
第7回でもご好評いただいた「応援イラストプレゼント」を今回も実施します!
2019年10月~2020年5月まで、毎月1名様に応援イラストをプレゼントいたします。
※参加イラストレーター様の詳細は、後日掲載いたします。
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