INFINITY STORY’S ONLINE
藤花 藤花
あらすじ
物語をこよなく愛する高校生・天城春樹は親友兼幼馴染の東雲陸に最新技術が詰め込まれた次世代VRMMORPG・INFINITY STORY'S ONLINEの製品版を一緒にプレイしないか誘われる。
物語好きが高じて自分でも執筆してみようかと考えていた春樹は陸の「小説のネタにいいんじゃないか?」という言葉に釣られて人生初のVRMMORPGをプレイすることを決める。
これはゲームという幻想の世界で英雄となった少年が一つの物語を書き上げるまでの物語―――(一部抜粋)
コメント
シュンは友人に誘われてVRMMORPGに参加しています。そこで彼独特の感性が大いに活かされていました。小説好きというのも影響しているのか、常識にとらわれないのです。無難からはほど遠いキャラメイクに期待が膨らみました。
選んだのはこれまでダメとされてきたジョブやスキルなのですが、ゲームシステムの深い設計思想が番狂わせを生じさせています。特に便利な感覚補正とモーションアシストについては手枷足枷になる負の一面もあったり。それがシュンの活躍に繋がっていました。
リアルで馴染みなアースやマーレとパーティを組んで、また新たな仲間も増えています。時にチートを疑われたりもしながらも、ポジティブなエピソードに繋がっていました。
シュンはゲーム内に意識の変革をもたらしているように感じられます。彼の小説執筆に役立つかなど、いろいろな意味で先の展開が気になる作品です。
少年ボディガードと妖精姫
てぃえむ
コメント
小学生のリュウが同級生のボディーガードをこなすといった特殊設定が目をひいていました。リュウは元々非合法な裏仕事をしてきた人物であり、年齢とは不釣り合いなほどのプロフェッショナルです。
守るべき少女アヤカの周囲では不思議な現象が発生しています。それは精霊の仕業であり、彼女の生い立ちと強く関わっていました。アヤカを拉致しようとする存在の目的は何なのか。散りばめられた謎によって、魅力的な雰囲気を醸しだしています。
出生の秘密を抱えるアヤカの特異性は、まさに『妖精姫』。世界観の見せ方が絶妙で、また様々な事象が絡み合っています。リュウの過去にも複雑な事情が隠されていて、大きな陰謀が見え隠れしていました。
少年と少女は抗えきれるのか、とても気になる作品です。
花の秘密と思い出の花びらと僕からの手紙〜キスは海の味がした〜
煙夢
あらすじ
僕は君に恋をした。
最初の出会いは、クラスが一緒だったことだったね。本当は違うけど、僕にとってはこれが始まり。
……このままずっと、君といられたらよかったのにね。
さあ、そろそろお別れの時間だ。大丈夫、僕が君を守ってあげるから。たとえ、今の僕が消えることになっても、僕は君を助けたいんだよ……ヒマリ。大丈夫、本当に死ぬって意味じゃないから。
だってこれは、僕と君が幸せになるまでの物語なんだから。(一部抜粋)
コメント
主人公がヒマリと仲良くなったことで、いくつもの事情が語られています。バイトに関してといった他愛ないものや年齢についてなど、それぞれに理由があり、それらが明らかになった際の演出がとてもよかったです。
事情はやがて重たい現実になっていて、ヒマリ以外の者たちにものし掛かっていました。ファンタジーな設定が多分に使われている作品であり、悲しく、また美しくもあります。その上で様々な心情が丁寧に描かれていました。主人公が強く望んだからこそ起きた奇跡が、非常に印象的でした。
彼女が彼女になるための〜とあるヒューマノイドの人生(旧 迷えるインコンプリートガール)
はづき愛依
あらすじ
不完全で生まれたヒューマノイド・コウカ。彼女は将来、人とAIの橋渡しになることを望まれて作られた。世界にはまだ少し、両者の間に深い溝があった。
赤ん坊の姿で生まれたコウカは、知能も身長も人間に同調しながら、時には迷惑をかけ、時には友達を助けたり寄り添われたりして共に成長していく。
けれど、コウカの存在をよく思わない者がいた。その者はやがて、容赦なく彼女に悪意を向ける。
コメント
人と同じような存在がいたら、世の中はどうなるのか。
年齢に合わせて容姿が変化するヒューマノイド『コウカ』は、本人の意志とは関係なく社会そのものを騒がしていました。
地に足が着いた日常を舞台にして、コウカという特異点は際立っています。小学生時代での同級生との衝突であったりと、逃れられない様々な体験が描かれていました。
そうした側面だけでなく、コウカと柊による恋も語られています。告白された際に最初から自身の正体を明かすところがコウカらしいです。
コウカを狙うジャカロという組織は、単なる憎悪の塊に過ぎないのか。そしてコウカは何を考えたのか。迫り来る難題を前にして、コウカはある選択をしています。ぜひ、それを見届けて下さい。
魔法の溢れる世界で君と唄う
海中 昇
あらすじ
魔法――それは、全ての生物が持っている不思議な力。エネルギーを他の力へと変換し、炎や風、水、雷など様々な物を生み出す夢のような力。その不思議な力は人類が繁栄していく上で様々な場面で利用されてきた。
そんな魔法の溢れる世界で生きる少年。とある襲撃により、自分の力だけでは魔法を使えなくなってしまった少年は、ある日美しい歌声を持つ少女と出会うこととなる。
その出会いは偶然か、はたまた必然なのか。この二人は世界の運命を左右する戦いへと巻き込まれていく。
この物語は、そんな二人の少年少女が織り成す、楽しく儚く、そして切ない物語である――――(一部抜粋)
コメント
過去のある出来事で魔法が使えなくなったティルですが、冒険者になりたくて魔法大国【マグニア】へ。幸いにも仲間が見つかり、試験を受けていました。その試験の最中に大きなアクシデントが発生。次々と仲間たちが倒される中、ティルは力の限りを尽くそうとします。
知り合って間もないソフィアには秘密があり、襲ってくる敵は謎めいていました。またティルが心の中で出会ったステラは不思議なことを語っています。
ティルとソフィアは戦いの最中で急速に絆を深めており、手に汗握る展開が繰り広げられていました。熱さが感じられるバトルシーンは必見です。やがてソフィアは特別な歌で大活躍をしています。
命がけになった冒険者の試験は終了。自信を深める者もいれば、諦める者も。ティルとソフィアはスカウトされた上位ギルドに所属して、未来への一歩を進んでいました。
様々な謎を含んでいましたが、特にソフィアの歌については気になるところです。能力については明かされていましたが、それが世界にどのような影響を及ぼすのか。とても楽しみ作品です。
紅月のリンゼータ ~貴人変人天才皇子に仕えるメイドは○○の王女であたしは殺人容疑者で魔獣創るの~
紫羽蘭空
あらすじ
混沌界の大国ヴェスベラン帝国魔導研究所で、次期軍用魔獣「ハズバーン」を魔導大臣に公開した日に、設計した魔獣部第一課長アガベルケスが殺害された。
主人公アリシア・ガディは大した根拠なく、その容疑者にされる。アリシアは容疑を晴らすため、帝国の第三皇子リュース(美少年・非常識)とそのメイドのリンゼータ(美少女・常識人)に助けてもらいながら犯人を探す。(一部抜粋)
コメント
魔導研究所内で第4課はお荷物扱いになっています。父親が上司のアリシアは皇子リュースの世話担当。皇子のメイドであるリンゼータと一緒に、問題児が起こす様々に対処する毎日です。
アリシアの視点で語られることにより、リュースの天災皇子ぷりが際立っていました。普通に遅刻する非常識の塊。周囲の理解があるから、辛うじてリュースの体裁が守られていました。そんなリュースですが、魔獣作りに関しては天災ではなく天才です。その才能は別の機会でも発揮されたりと、様々な形で物語をかき回しています。
アリシアは殺人事件の容疑者にされたり、とてつもない運の悪さです。リュースは疫病神ですが、同時に福の神のような存在といえなくもありません。彼のおかげでいくらかの幸福が舞い降りていました。
リンゼータの身の上は複雑で、それによって陰謀が渦巻いています。元より異世界はいくつか確認されており、そこからの人種によって社会が構成されていました。そんな状況が天才リュースの手にかかると……。顛末についてはご自身で確かめて下さい。とても面白い作品です。
私を思い出して!私は貴方の傍にいる 〜 瑠里と青の不思議な恋物語 〜
美瞳 まゆみ
あらすじ
「 俺は幽霊じゃない。でも今は人間でもない 」彼はそう言ってニヤリと笑った。
ある雨の日、突然現れた不思議な青年と出会った瑠里。冷たく透き通った瞳、乱暴な言葉。
彼は何者?どこから来たの?
天然で人付き合いが苦手な少女は、そんな彼に恋をした。
孤独で分けアリな青年と天然純情娘の不器用な恋が始まる!
コメント
娘に進学してもらいたい、ひとり親の母。そんな母を心配し、早く働いて家計を助けてあげたい娘の瑠里。序盤ではお互いの優しさがすれ違い、それぞれの感情を剥きだしにしてぶつかり合っています。
幽霊のような存在の青は、かなりやさぐれた態度。出会った瑠里と反発し合うと思いきや、二度目の再会時にはいくらかの変化が。特に瑠里は本人が気づいていないうちに、恋に落ちていたように思えます。
切羽詰まった状況から少しずつ希望をつかみ取っていく展開こそ、この物語の見どころです。陸上で頑張る瑠里はとても健気で応援したくなりました。走りに関してアドバイスする青に親しみがわく読者も多いことでしょう。
希望の大学に入学を果たした瑠里は青と会えるのか。入院中だった青の身体はどうなっているのか。そこから先はみなさんの目で確かめてください。
非モテ大賢者は美少女になりたかった ~わたぐるみに転生した結果、美少女にこねくり回される日々がはじまりました~
瘴気領域
あらすじ
大賢者セージは己の命と引換えに邪神を封印する。女性と話すのが苦手で、非モテ人生を歩んでいたセージが死の間際に願ったのは、美少女に生まれ変わること。自分が女の子なら、女の子と話すときも緊張しないだろうと思ったのだ。セージの最期の願いは謎の存在によって叶えられ、病弱な美少女に転生する。しかし、少女の本来の魂が生きていることに気づいたセージは、回復魔法で少女を救い、自身はヒツジのわたぐるみに魂を移すのだった。
――これは、ヒツジさんボディに憑依したかつての大賢者が、美少女パーティを結成してわいわいきゃっきゃの冒険を目指す物語。
コメント
大賢者セージは邪神退治の際に命を落とします。同行の仲間たちに不満を持ちつつ、それでも旅は楽しかったと考えていたセージ。そうした素直じゃない性格は転生にも影響を及ぼしていたのかも知れません。
女性になりたかった願いのおかげか、幼女メリスに転生しています。しかしすぐ後、ヒツジのわたぐるみへと魂を移行したのは優しさ故でしょう。
そこは死んだ世界の未来であり、セージは仲間たちと再会しています。そこで知らなかった過去の真実が明かされたりと、様々なエピソードで盛りあがっていました。
全編に散りばめられた戦隊ネタは物語を鮮やかに彩っています。またセージのことを『ヒツジ先生』と呼ぶメリスは可愛らしくて、エンタテインメント感も満載です。
セージにとっては、わたぐるみになったことで苦手だった女性関係も含めて、人間関係が再構築されていました。とても愉快で、ぜひオススメしたい作品です。
火を見て、日々を観る
幕田卓馬
あらすじ
あの夜、あの寒空の下、二人で見たあの火を、僕は今でも求め続けているのかもしれない。
ひきこもり気味の男と、お節介な幼なじみの女、アラサー二人の初心者キャンプライフ。失敗し、発見し、学んでいく。キャンプとは日々の縮図である。
春夏秋冬、常に移ろいゆく自然。そして幼なじみの二人の関係もまた、少しずつ変化していく。
コメント
よい夢を見ながら眠っていた主人公ですが、勝手に家へと上がり込んだ穂乃果に起こされます。まるで恋人同士のようですが、二人は小学生から続くただの幼馴染みな関係。主人公は嫌々ながらもキャンプへ参加する流れに。
キャンプ場には穂乃果だけでなく、彼女の会社の後輩も一緒です。そこで交わされる会話によって、主人公と穂乃果の腐れ縁な関係が伝わってきました。また後輩の口からは、穂乃果が普段から主人公のことを気に掛けていることが明かされています。
キャンプは二人で繰り返されて、疎遠だった時期もそれぞれから語られていました。穂乃果が過去の恋愛を話すと、主人公は対抗心という名の嫉妬を覚えたりしています。
小学生の頃に焚火した思い出は、二人にとって原風景だったようです。キャンプを通じてかつての自分たちに戻っていく様子がとてもロマンチックでした。二人はどのような決断をするのか、ぜひ読んで確かめてください。
逆行の代償に悪魔と契約してしまった子爵令嬢、悪魔に殴り勝ってハッピーエンドを目指します。 婚約者も親友も救ってみせますとも!
はづも
あらすじ
子爵家の娘、リリィベル・リーシャンは、次期辺境伯のグラジオとの結婚式で、親友のフォルビアに腹を刺された。
自分を庇ったグラジオの片腕は動かない。親友は処刑される。領民は殺せ殺せと騒ぎ立てている。
こんなの、嫌だ。リリィベルはみんなを助けるため、悪魔と契約して時を遡る。
グラジオも、フォルビアも、領民も。みんな守ってみせます!
悪魔に身体を乗っ取られた! と思ったけど、暴力でさくっと奪い返したり。
人々に憑いた悪魔を祓ったり。
リリィベルに憑いた悪魔・ミュールが可愛い猫ちゃんの姿で顕現したり。
悪魔を祓ううちに、聖女扱いされたり。
……一部の人に、嫌われたり。
つらいことがあっても、リリィベルは止まらない。大事な人たちを、今度こそ守るために。
コメント
結婚式の当日、リリィベルは親友のフォルビアに腹部を刺されます。結婚相手であるグラジオの片腕はなくなり、領民は怒りに荒れ狂う有様。深く絶望したリリィベルですが、高等悪魔ミュールとの契約により、時を遡ってやり直せる機会を得ていました。
ここまでシリアス一辺倒でしたが、リリィベルは乗っ取られたはずの身体をミュールから、いとも簡単に取り返しています。ここからはコメディシーンも混じりだして、不幸を覆すために邁進していました。
悪魔憑きであるのに他の悪魔を祓うことで、何故か聖女と呼ばれるようになっていくリリィベル。そんな皮肉めいたエピソードもありますが、大切なグラジオやフォルビアを守ろうとする姿は健気でかつ痛快の一言です。
果たしてリリィベルは不幸に塗れた未来を変えられたのか。ぜひご自身で確かめてください。
閻魔様のほっこりご飯~冥土で癒しの料理を作ります~
はな花
あらすじ
――ここは冥土。天国と地獄の間。
そんな場所で閻魔様の裁判を受けている最中、桃花はあろうことか閻魔様のご飯を食べてしまう!
けれど怒られるどころか、なぜか閻魔様に気に入られた上に、彼の宮殿で暮らすことになって……?
記憶のない少女が自分を思い出しつつ、ご飯が食べられないワーカーホリックな閻魔様や家来の小鬼たちを餌付けしていく、ほのぼのグルメラブストーリーです。
コメント
冥土で裁判中の桃花ですが、実は記憶を失っています。そんな状態であの世に旅立つ前の裁きを受けられるはずもなく、またお腹が空いて閻魔のための握り飯を食べてしまう始末です。そんなうっかりな桃花は、閻魔の宮殿でしばらく暮らすことになっていました。
宮殿での日々は料理を作ってはみんなに振る舞う毎日です。その様子がまさに「ほっこり」していて、幸せな空気が醸しだされています。
最初は不満げだった子鬼たちも、桃花の作る料理に夢中になっていきます。また閻魔と桃花の間には、過去に何かがあったようなのですが。
どの料理も美味しそうでしたが、特に食べたくなるのは『カレーライス』に間違いないでしょう。みなさんもその理由を確かめてみては如何でしょうか。
異世界ブッシュクラフト サバイバル×ダークファンタジー×SF
altera-sterra
あらすじ
目覚めるとそこは 未知の植生に囲まれた森の中
光る苔やキノコ、紫色や茶色といった植物や木々の数々
元いた世界からの突然の変化に戸惑いながら
生きるために動き始める
魔法なし、道具なし、記憶なし、仲間なし、神様の加護なし、チートなし
周りには人の気配すらない未開の地
ないもの尽しの異世界サバイバルが始まる
※ブッシュクラフトとは、キャンプよりも少ない手荷物で、山中や森の中でできる限り自然のものを活用しながら自然を楽しむ、キャンプの上級者向けの過ごし方である。
コメント
突然に異世界へと飛ばされた主人公は生き残ろうと必死です。
チート的な能力はありません。頼れるのはいくらか若返った女性の身と、個人的趣味で観たブッシュクラフト動画の知識のみ。見よう見まねで苦労する主人公の姿に、思わず応援したくなることでしょう。
そんな最悪の状況下、声だけの存在としてルブランが登場しています。最初は言動の酷さに塩対応な主人公ですが、やがて感謝する関係性になっていました。
サバイバルなストーリーラインの他に、主人公が異世界に飛ばされた理由等の様々な謎が渦巻いています。ルブランの存在もそんな中の一つですが、果たしてどのような真実が隠されているのか。とても気になる作品です。
ヴァニラな雪女
多部 好香
あらすじ
雪女は初恋の相手と添い遂げ精気を吸い取って生きる存在だが、松雪ほの花は人間でも妖怪でもなく人間界の食べ物に恋をしていた。
そんなほの花に惹かれた鴉天狗・今宮迅は彼女の胃袋を掴み自分に気持ちを向けてもらうべく奮闘する。
コメント
『妖怪ノ国』から『人間界』にやってきている雪女『ほの花』。彼女は食べるのが大好きなこともあって、キッチンカーでの料理提供を生業としています。
鴉天狗の『今宮』はほの花が気になり、キッチンカーへ足繁く通うように。色男の今宮は客寄せとしてとても役に立つようです。しかしそれはよいことばかりではないようで……。
ほんわかとした雰囲気が心地よい作品であり、登場する『ミニほの花ちゃん』たちに癒やされます。ミニほの花ちゃんはほの花の気持ちとリンクしていて、それによって当人の感情が実は露わに。また今宮の幼馴染である永茉が現れた際に、ほの花は『今馴染み』と自らを表しています。今宮に対する彼女の心情が強く伝わってきました。
今宮とほの花の関係がどのような形に収まるのか。ぜひ楽しみにしてください。
新米警官ですが、上司の尻拭いで異世界に派遣されました
藤野
あらすじ
「土大蛇(ワーム)って初心者向けモンスターなの!?」
「そんなわけないでしょう、どこの鬼畜ゲーですか」
中二病上層部の尻拭いで異世界に派遣された新米警官、二階堂悠介。同期のマドンナ佐々木まつりと同じ職場だと浮かれたのも束の間、遭遇したのは毒吐き土大蛇(ワーム)だった。
自宅通勤の高給取り、しかし初任務は土大蛇(ワーム)退治と交番設置。勤務施設くらい用意しといてよ!
無責任上司公認で始めた副業は、ギルド所属の冒険者。
異世界交番、前途多難すぎませんか!?
コメント
警察上層部が起こしたある事件により、悠介とまつりは異世界交番勤務の辞令を受け取る羽目に。やはりといいますか、普通の交番勤務とはなりません。それでもモンスターを倒したことで村人に感謝されて、二人とも異世界生活に溶けこんでいました。
ギルドに登録して冒険者を副業にする二人ですが、面白いのが警察官としての縛りになります。普通の冒険者なら活躍すれば『一攫千金!』ですが、大きな謝礼は立場上躊躇せざるを得ず。逆にもらえる報酬を値切ったりと、そうした変わったシチュエーションが楽しめる作品に仕上がっていました。
二人と深く関わることとなるギルドマスターのランドルフは、何かと世話を焼いてくれる好印象な人物です。他にも愉快な者達が多く、また悠介とまつりは恋仲になるのかどうかも気になるところでした。これからの展開がとても気になる作品です。
拾って猫っかわいがりしてしまったなら、最後までキチンと面倒みるべきなんだろうか?
雲丹屋
あらすじ
余分な”記憶”のせいで、出世街道をドロップアウトした転生者のおっさんが、
魔が差して拾った仔猫ちゃんをついつい猫っかわいがりしてしまった話。
寂しい独身男が、猫吸って生き返ります。(一部抜粋)
コメント
元騎士の主人公はある記憶のせいで、一般常識が欠けているのだと自覚しています。それが異世界転生によるものだと読み手にはわかるように描かれていました。
主人公がノラ猫を拾って「チビスケ」呼ぶようになってから、物語は本格的に動きだしています。主人公は猫好きの自分自身を恥ずかしがりながらも、「チビスケ」の魅力に抗うことはできません。その姿がとても微笑ましく、同感してしまう方も多いのではないでしょうか。
やがて主人公を好いてくれる女性が登場しています。その際にも「チビスケ」との関係性がうまく盛り込まれていました。二人の成り行きを見守る終盤の流れはドキドキものです。ファンタジーならではの展開がうまく使われていました。
猫好きの主人公が幸せを掴むまで、どうか見守ってあげてください。
春夏秋冬カノジョ
ネイチャー
あらすじ
恋人はおろか、友達すらいないぼっちで不良な主人公、彼方 智輝(おちかた ともき)。
高校生になった智輝は、地味で同じくぼっちな少女、安曇 四季子(あずみ しきこ)に告白をされる。
それからいろいろあり、晴れて恋人同士となった二人。
しかし、四季子はある重大な秘密を抱えていたのである。
それは、四季子が季節ごとに見た目や性格が変化するというものだった。
果たして、智輝はそんな四季子を受け入れられるのか。
さまざまな姿に変化する四季子との激動の恋人生活が今始まる。
コメント
学校の屋上で、智輝は安曇から告白されます。戸惑う智輝は友達から始めたいと告げて、しかし安曇は恋人からと譲りません。二人とも真剣だからこそコメディチックで愉快です。また二人がこれからどうつき合っていくのか、とても気になりました。
そして智輝は安曇の姉、季咲から秘密を打ち明けられています。それは安曇が魔法にかかっているといった、非常にファンタジックな内容です。信じられない智輝ですが、やがて安曇の変わり様に信じざるを得ません。二人の付き合いは魔法によって刺激的に描かれていました。
魔法の切っ掛けや、姉妹の過去が明かされたりと、日々は過ぎていきます。智輝と安曇がどう向き合うのか、ご自身の目で確かめてみてください。
お姫様にふさわしいのは
朱音ゆうひ
あらすじ
わたくしの国では、不老不死の預言者が王を選び、選ばれた王は神となる。
フィロシュネーは、無知になるよう育てられ、恋愛物語ばかり読んでいる美姫。
女性をいじめる男性は許さない。溺愛大好き。陰謀や推理要素のある本も面白いのに、没収されちゃった。
そんなフィロシュネーに、父王の寵愛する傭兵サイラスとの婚約が決まる。
彼は年齢差があるが、格好良い。
「あの男をわたくし好みに染めてあげる」
理想のスパダリ育成を思いついた姫だったが、数日後サイラスにより城の外へとさらわれる。
わたくしの国が他国から暗黒郷と呼ばれているですって?
悪い呪術師がいるですって?
そんなわけないじゃない。
これは、姫が聖女になって自国の真実を暴いたり、
奴隷のように生きてきた男が他国で成り上がりスパダリ化していくお話。
コメント
「傲慢で世間知らずで外面が良いだけのお姫様」がいきなり救国の英雄への褒美として縁談を持ち掛けられたと思ったらあっさりと拒否されたり、隣国の王族に突然の熱烈求愛(?)を受けたりと波乱の日々に翻弄されつつ自身の資質に目覚めたり自分の価値観や自国の在り方と向き合う様になったりして日々成長していくお話なのですが、どこかほのぼのしている感じで厳しくも優しい世界が広がっています。
ユーモアやコミカルさがあって、読んでいると気持ちが和むような物語となっています。
不祥事刑事
緋櫻りゅう
あらすじ
未成年の殺人犯に恋したことで、『不祥事刑事』と揶揄されることとなったキャリア刑事、風間悠。
この不祥事により遺留品保管係に更迭された風間だったが、ある事件を解決したことで捜査一課に復帰することとなった。ある地方都市の市警に配属され、心機一転を図るが。
風間が愛した殺人犯『橘美月』は、現在収容施設に収監されている。類まれな頭脳と美貌の持ち主である彼女と、風間は現在も月イチのペースで面会している。例の事件の解決は、実は美月から授かったヒントのおかげなのだ。
今でも美月のことを本気の風間だが、美月はつれない。事件の解決もしたいけど、彼女の気持ちも掴みたい。贅沢な悩みを抱える不祥事刑事の未来は果たして……。
コメント
教師を殺した美少女の橘美月。その事件に関わることで、惚れてしまった刑事の風間悠。
忘れられない橘美月と会うために、風間悠は毎月のように収容施設へと足を運んでいます。まさに『不祥事刑事』でありますが、あわせて事件解決への糸口も掴んでいました。
刑事としての心構えと恋心に挟まれる風間悠ですが、その行動力は素晴らしいものがあります。そして人間味のあるエピソードを通じて、風間悠と橘美月の関係性が輪郭を帯びていました。
橘美月が過去に起こした殺人事件は、ミステリアスな雰囲気が漂っています。
風間悠の真っ直ぐな気持ちは橘美月に伝わるのか。伝わっているのか、ぜひにご自身で確かめてみてください。
人魚無双~変態だと罵られようと推しの幸せのために私は生きる~
景華
あらすじ
「私が帰る場所は、何があっても、誰がなんと言おうと『ここ』なんです」
早くに両親を亡くしながらも、乙女ゲーム【マーメイドプリンセス】の非攻略キャラ【騎士団長兼魔法学校教師シリル・クロスフォード】の推し活に勤しみながら前向きに生きてきた神崎ヒメ20歳は、ある日目が覚めると身体が10歳の頃の姿に戻っていた。
そして目の前には自分に刃を向ける推しの姿──。
「殺気すらも心地良いです!! 先生!!」
「寄るな変態!!」
何度ゲームをプレイしても死んでしまう【推しの幸せな未来】のために運命を変えていくことを決意するヒメ。
やがて【推しへの推し恋】から【一人の男性への愛】に変わっていき──……。
キャラが死んだり闇落ちしたりという鬱系乙女ゲームの世界で、魅力的なキャラクターたちの悲しい運命を変えていくにつれて、彼女はこの異世界転移の秘密にたどり着く。(一部抜粋)
コメント
主人公の神崎ヒメは、ある日目覚めると体が幼女化したうえ、大好きな鬱系乙女ゲームの世界に転移してしまいます。
しかも推しのモブキャラ、シリル先生の部屋の続き部屋に。
推し活をしながら、キャラクターの悲惨な運命を変えようとヒメちゃんが奮闘するのですが、彼女は実は元々がこの世界の人間だったことも判明したり、たくさんの秘密が散りばめられていて、かなり壮大です。
ヒメちゃんがかなり明るい子なので、ラブコメな部分はきっちり笑えるし、たまに入るシリアスはすごく泣けたり、胸が締め付けられる切なく美しいシーンもたくさんあって、どんどん読めます!
しかもヒメちゃんを中心に、キャラが全員個性がしっかりしているので、入り込める!
作者さんがキャラデザもされていたり、かなり細かく設定を練ってらっしゃるので、世界がしっかりしていて素敵です。
是非書籍化していただきたい1作です。
猫不足の王子様にご指名されました
白峰暁
あらすじ
元日本人のミーシャが転生した先は、災厄が断続的に人を襲う国だった。
災厄に襲われたミーシャは、王子のアーサーに命を救われる。
後日、ミーシャはアーサーに王宮に呼び出され、とある依頼をされた。
『自分の猫になってほしい』と――。
コメント
ミーシャは自身を救ってくれたアーサー王子から「俺の猫になって欲しい」と強く願われます。驚くミーシャですが国の存亡にもかかわると説得されて、短い期間ならと引き受けていました。コメディチックな展開ですが、流れには納得感があります。
王宮における日々では様々な出会いが描かれていました。ハイネやリズリーは盛りあげ役として活き活きとしており、さらに獣人のクロードは飛び抜けています。
クロードがもたらした状況は、ミーシャの気持ちを大きく揺り動かしていました。アーサーとも強く関係しており、ファンタジーストーリーだからこその素敵なシチュエーションです。
こちらを読めば、あなたも『もふもふ』で癒やされるのではないでしょうか。
課長にクビと言われた日、部屋の小窓が異世界につながった!~牢獄の王子と共にお食事を~
中西徹
あらすじ
課長にパワハラを受けていた七瀬歩は、ある朝、仕事にいけなくなり電話口でクビを宣告された。
日常的に「働かざる者食うべからず」と言われ、働きを否定されては「穀潰し」とののしられていた歩は、まともな食事ができない体になっていた。
意識を失い、気が付いたら外は夕方。
今更課長に許しを請えないと呆然としていると、キッチンの小窓に魔法陣が浮かびあがり、外から男の声がする。
いぶかしみながらも小窓を開いてみたら、異世界の牢とつながっていた。
牢に投獄され、弱っていた王子であるアーサー・レインと食事を共にしながら、次第に日常への気力を取り戻していく。
コメント
上司からパワハラを受けている七瀬歩はストレスで食が細くなり、やがて出社できない状態に。そんな折に部屋の小窓が異世界に繋がって、牢に幽閉されているアーサー王子と出会っています。
七瀬歩とアーサー、それぞれの社会から見捨てられた二人だからこその交流が、丁寧に紡がれていました。架け橋になるのが食事であり、粥から始まってやがて餃子やオムレツなど、どれも美味しそうに描かれています。
自信を取り戻した七瀬歩が上司に抵抗する展開も面白く、たくさんの元気がもらえました。アーサーもこのままでは終われないと、チャンスをうかがっています。
七瀬歩は会社をクビ寸前であり、アーサーは弟に殺されかかっている状況です。果たして打開できるのか、どうかその目で確かめてみてください。
草むしりと心の木
夏乃
あらすじ
迷宮の浅層で薬草を摘んで細々と暮らす冒険者リナリア。
彼女に突然捧げられたのは、迷宮を単独踏破した稀代の英雄レオヴァルトの心の木だった。
それは彼の命そのもの。リナリアは突然の愛の告白と共に、彼の命綱を渡されてしまったのだ。
心の木は想う相手に捧げ交流を深めると、1年後に想いの結晶を結実する神聖な木。
大変なものを渡された、とおののき怯えるリナリアだったが、彼と交流を深める1年間は優しくてかけがえのないものだった――
おいしいものと小さくて優しい約束をたくさん置いてにこにこと近付いてくるのを待っている英雄と、少しずつ懐きながらそれを大事な宝物にして近付いてくる栗鼠みたいな臆病でちょっとうかつな少女のお話。
コメント
リナリアが受け取った『心の木』を使えば、レオの心を壊すことができます。
あまりの重みに怯えるリナリアですが、思わず吹きだしてしまうほどコメディチックに描かれていました。
仕事にでかけられなくなったりと、普通の生活を送ることさえままならなくなったリナリア。しかし周囲の人々が支えてくれたりと、優しい雰囲気に包まれています。
とはいえ、冒険者稼業は甘くはありません。レオが成し遂げた迷宮の単独踏破は過酷そのもので、過去の大変さがちらりと覗けたりしています。そうした優しさと外連味の案配が絶妙です。
最初は恐怖でしかなかったレオの存在が、リナリアにとってかけがえないものに育っていくのが、とても尊いです。二人の恋を通じて、あなたもひとときの幸せを味わえるかも知れません。
シリコンバレーな王立学園
大森都加沙
あらすじ
「あんた、ゴリマッチョのナカムラなの?」
王子様のようなイケメン男子の中身は、転生前の同級生、筋肉モリモリマッチョの中村だった。
日本の女子高生ハセコだった私は、気がつくと異世界で貴族の令嬢イリスとして王立学園に通っていた。その姿は、理想通りのカンペキな美少女!
私と一緒に雷に打たれて前世の記憶がよみがえった仲間があと3人。
ゴリマッチョの同級生男子ナカムラだった、ヴィクトー。
シリコンバレーのITエンジニア、ハロルド。
フィリピンの人権擁護活動を行う団体に所属していた女性、マノン。
私たち4人は前世の記憶を使って、魔道具でSNSを実現する!
――も頑張るけど、私はせっかく手に入れた美少女アバターを活かして、憧れのアレン先輩と婚約してみせる!
――のはずなのに、転生してまで飼育係として魔獣モグラの世話をし、畑でミミズを捕獲する毎日。私の心は魔獣モグラへの愛で満ち溢れている。
最強美少女アバター、どうやって活用すればいいの?
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異世界に転生したハセコは、完璧な美少女。
ナカムラはゴリマッチョだったが、転生後は王子様のようなイケメン。
外見こそ変わったものの、魂的な二人の中身は変わらず。ハセコが転生後の姿を「アバター」と呼んでいることからも、伺い知れました。おかげで二人の学園生活からは、前世の雰囲気が溢れだしています。
小学生からの縁であるハセコとナカムラは友人な関係。しかしそれは表向き。ナカムラの恋心に気づかないハセコですが、かといって近くにはいたい様子。サンドイッチに釣られて他の女子避けを引き受ける約束を交わしたのは、そうした無意識が働いたのでしょう。
同じく前世を持つハロルドやマノンとの魔道具スマホの開発展開も、この物語の面白さの一つです。
新素材を得るため、せっせと魔獣モグラを育てるエピソードはユーモアに溢れているだけでなく、小学生時代のハセコとナカムラの思い出と重なっています。
他にもナカムラが婚約破棄した令嬢が絡んできたり、ハセコはアレン先輩に憧れていたりと、恋愛事情では様々なベクトルが飛び交っていました。
恋の行く末は、そして魔道具スマホは完成に至るのか。みなさんもご自身で確かめてみてください。
ブーケのようなご褒美を
津々井サクラ
あらすじ
人に気づかれない小さな気遣いを出来る人が本当に『優しい人』だよ
コメント
王道シンデレラストーリー。
つらい過去を持つ女の子が優しいくも力強いアイドルの男の人にやさしく包み込まれて恋の楽しさを思い出すストーリーです。
女の子が怖い思いをしている時に駆けつけてくれる等女の子がキュンキュンするようなシチュエーションが多くあります。
アイドルと一般人、普段なら交じり合うことがないけどきっと交じり合いたい人は多くいると思います。
けど交じり合うならこんな出会い方が良いと思ってしまう作品です。
負け犬と噛ませ犬
シュリ
あらすじ
「負けヒロインは幸せになったらあかんのか?」
高校生活にトラウマを抱えた黒鉄辰也(くろがね たつや)は、超ド級の田舎、山の中腹にある全寮制の学園に転校する。
六人しかいないクラスで隣の席になった幸薄そうな少女、城戸ユキに一目ぼれをした辰也だったが、彼女には好きな人がいた。なんとか彼女を振り向かせたい辰也だったが……
コメント
物語全体を通して隠したかった恋心、そして一途な想いが綴られていました。
ユキのことが好きな純。汐里はそんな純の恋を応援しながらも、実は彼を愛しています。その熱中度は凄まじく、傍から眺めた限りはストーカーそのもの。主人公の辰也に突っこまれても言い返せないほどの執着ぶりでした。
どうしてユキはそうなったのかについても、作中ではきちんと触れられています。
そして登場人物たちの恋心のベクトルはあちらこちらに向かっていて、複雑な恋愛模様を織りなしていました。
ユキのノートによって起こる友情の亀裂。辰也のギター演奏に込められた気持ち。もめ事やイベントを通じ、それらがかき回されて、やがて少しずつ形を整えています。
最後に登場人物たちがどのような答えを見つけたのか。ドキドキしながら、楽しんでみてはいかがでしょうか。
英雄? 魔王?どっちも関係ありません。わが社が儲かればそれでOK
下川 颯
あらすじ
毎日毎日、残業徹夜の繰り返しの日々。
休みの日も家に仕事を持ち帰るのが当たり前の生活になっていた歩く社畜こと林は、ある日、後輩の運転する社用車で営業先に向かう途中、事故にあい死んでしまった。
死んでしまったことを悔やむ間もなく、気が付けば自称神様を名乗る爺が目の前に現れる。
神様がいうには別の世界に転生させられるとのこと、そんなの望んでないのに……有無を言わさず飛ばされてしまう。
これからどうなってしまうか……社畜だった林は、転生先の世界で神様に授かった妙なスキルを手に、新たな一歩、そして社畜から社長への転職を目指していくのだった。
コメント
商社勤めの林と後輩の佐久間は、事故で異世界へと飛ばされます。神がいうには『社畜という言葉がない世界』に転生させるとのこと。
頭がよい林は行動が伴わず、佐久間はサバイバルな状況下でも卓越した生活力を兼ね備えていました。そんな関係性であっても、佐久間は林をとても頼りにしています。またその評価が後に正しいとわかる、巧みな構成になっていました。
異世界で商売を始めるにあたって、スキル『人材召喚ガチャ』で有能な社員を集めていますが、ここに罠が潜んでいます。
転生前は使われる側だった林と佐久間ですが、これからは使う側。つまりは経営者側です。社員たちのためにホワイトな環境を整えなければなりません。コメディな雰囲気に包まれながら、四苦八苦する姿が面白く描かれていました。
林と佐久間が設立した㈲異世界商事は果たして、大会社になれるのか。是非に見守ってもらえたらと思います。
銀の皇太子と漆黒の聖女
都崎みをか
あらすじ
生きることですら魔力を必要とする世界。
無魔力者のミルリミナ=ウォーレンは、魔力がないことで何度も死線をさまようほどの病弱な体に生まれついてしまった。
そんな中、無魔力者のミルリミナが何故か魔力至上主義国家であるフェリシアーナ皇国皇太子ユーリシアの婚約者に選ばれる。
だが顔合わせでミルリミナの良くない噂が本当のことだと知り、皇太子と不仲に。
婚約破棄されるだろうと思っていたが、なぜかそのまま5年の歳月が流れついに婚姻の儀が執り行われることになった。(一部抜粋)
コメント
最初はただの恋愛物だと思ったのですが、読み進めるとファンタジー要素が強くなり、独特な世界観と魅力的なキャラ達にすっかり魅了されました。
文章が長いのですが意外に一度読み始めるとスラスラ読めて苦にならず、キャラの心情や心の機微を細かに表現しているので感情移入しやすく余韻の残る読後感も好きです。
ゆっくりと話が進むストーリーのせいか、あまり読者がいないのがとても勿体ないと思い、こちらに応募させていただきました。
読者仲間を増やしたいと思っているので、ぜひピックアップお願いします!
少年魔女
七願 朧
あらすじ
あるきっかけで呪いにかかってしまったJK・泉は、
命の共有相手であり魔女の末裔である男子高校生・千田と「互いの命を守るため」共に過ごさなくてはいけなくなる。
魔女狩りに命を狙われ続ける日々の中、千田は彼女のことが気になり始め……?
人間、魔女、悪魔、吸血鬼に魔法使い、そして魔女狩りという敵。
彼等の争いの先は未来か、はたまた滅びか。
泉が見た運命とは――?
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体の一部の感覚が、とある呪いで繋がってしまった普通の女子高校生(表情筋死滅)と、魔女の末裔である男子高校生(目つきも口も悪い)が織りなす恋愛✕現代ファンタジーです。
ピックアップした理由は「友人以上恋人未満すぎるもどかしいやり取りが最高だから」です!
男子主人公の方が先に惚れたのですが一歩前に進めず、そのうえ女子主人公は何があっても無表情なのでタジタジ。そこが推しポイントです!
想ひ出のアヂサヰ亭
七海美桜
あらすじ
令和の大学生、平塚恭志は突然明治時代の少年の蕗谷恭介となってしまう。彼の双子の妹柊乃と母のそよを、何よりも自分の身を護る為この知らぬ明治時代の地で暮らす事になる。
歴史を変えないように、動き始める恭介。生活のため、アルバイトをしていた洋食屋の経験を生かして店を開こうと、先祖代々語られていた『宝の場所』を捜索すると、そこには――
近所の陸軍駐屯地にいる、華族の薬研尊とその取り巻き達や常連たちとの、『アヂサヰ亭』での日々。恭介になった恭志は、現代に戻れるのか。その日を願いながら、恭介は柊乃と共に明治時代と大正時代に生きて『アヂサヰ亭』で料理を作る。
どこか懐かしく、愛おしい日々。思い出の、あの料理を――
コメント
令和の大学生であった主人公が不思議なことに、大正時代の少年になっています。
芸者の母や可愛い妹との長屋暮らしであり、生活は豊かとはいえない状態。それでも持ち前の料理の腕を発揮していくうちに、周囲から認められていきました。
その過程に作られる料理の数々がどれも美味しそうです。当時のレシピだけでなく、現代風のアレンジが加えられた料理に多くの人々が喜んでいました。
大会社の社長親子に見込まれたおかげで小さな食堂を開くことになりますが、その展開以降はさらに勢いが増していきます。客たちの食事シーンが素晴らしく、読んでいてお腹がいつの間にか空いてくるほどです。
当時の世相を交えつつ、時に困難もありますが、心温まるエピソードがたくさん詰まっていました。特に主人公を一生懸命に手伝う妹のしのが可愛らしいです。どうして主人公が大正時代に迷いこんだのか、といった展開も興味深く感じられました。
料理に夢中な主人公を通して、大正の雰囲気に包まれてみては如何でしょうか。
ワケあり無職ニートの俺んちに地味めの女子高生が週三で入り浸ってるんだけど、彼女は別に俺が好きなワケではないらしい。
みやこのじょう
あらすじ
とある理由から高校卒業後に進学就職もせず親のスネをかじってる青年、あだ名は『プーさん』。ダラダラと無駄に時間を消費するだけだったプーさん宅に地味系女子高生のミノリが遊びに来るようになった。ミノリはプーさんの部屋で漫画を読むか宿題をするだけ。
一緒に過ごすうちにミノリに惹かれていくプーさん。しかし、彼女には彼の家に滞在する理由があった。
友人との関係。働けない理由。身体の事情。親との確執。色んな問題を抱えながら見て見ぬフリをしてきたミノリとの出会いをきっかけに、停滞していたプーさんが少しずつ前を向き始める。
ハッピーエンドです。
コメント
独り暮らしのプーさんの家に、ミノリは古い漫画を読むために入り浸っています。それとは別にもう一つの本命な理由があり、それはストーカーの追跡から逃れたいから。
自宅に引きこもり気味のノンビリとした時間が流れる中で、二人の心の交流が描かれていました。
プーさんとミノリの間に恋が芽生えるのかどうかとても気になりますが、他にも見所はたくさんあります。
プーさんが普通の人よりも暑さに弱い理由。引きこもりになった理由。ミノリとは違う女性とつき合うようになった理由。他にも気になる謎や秘密が散りばめられていて、読んでいて続きが気になって仕方ありません。
恋愛体質のリエや、陽キャなショウゴであったりと、他の登場人物たちも個性豊かに作品を彩っていました。
若さ溢れる人間模様をぜひに味わって頂けたらと思います。
公爵令嬢カタリナの計略
琥珀
あらすじ
舞踏会の最中にクズ男との婚約破棄を堂々と宣言したことで名高い破天荒令嬢カタリナ25歳。結婚しろと迫る父やら求婚者を華麗に回避しつつ、今日も元気に高笑い。だが「三十年前、悪事を働いて婚約破棄されそうになった伯爵令嬢が、腹いせに婚約者の姉や共犯者だった幼馴染達を毒殺した」とかいう金食い虫の超事故物件をうっかり相続してしまい、大ピンチ。こうなったら伯爵令嬢の冤罪を晴らすしか…!と、王太子の秘書官ノアルスイユ(別名チョロ眼鏡)を巻き込んで、金髪縦ロールの公爵令嬢カタリナの推理が炸裂する──
コメント
うっかりかつて殺人事件が起こったとされる事故物件を引き継いでしまったカタリナ嬢が事件の真相を探ります。
カタリナ嬢の行動が痛快!性格は奔放で傲慢さを滲ませながらも憎めないカタリナ嬢が見せる義侠心が最高です!
霊士(Aura X Travelers) 【新たな物語に登場するキャラクターや事象の図鑑が追加されました】 [10年間連載できる長編作品!] [革新的な小説の形式!」
KKs
あらすじ
少年ホヨは、伝説の「金の木」を求めて長年住んでいた小さな島を出発し、冒険の途中でカオツとフィルという二人の仲間が加わりました。
こうして、三人の冒険物語が始まりました……
コメント
間違いなく、少年の精神と独特なイラストのスタイルが融合したファンタジー小説です。冒険と熱血のテーマの下で、物語は緊密につながっており、キャラクターの個性が鮮明です。イラストが文章と組み合わされて、物語がよりビジュアル的になっています。
物語の始まりから、筆者のキャラクター描写の繊細さと真心が感じられ、読者はすぐに主人公と強い共感を築くことができます。各キャラクターは独自の成長と変化があり、勇敢に挑戦に立ち向かいます。
特筆すべきは、この作品の戦闘シーンが豊かでカラフルで、刺激的であることです。
要するに、これは活力と創造力に満ちたファンタジー小説であり、物語の筋立て、キャラクター描写、イラストのスタイルが新鮮で、周りの友達にこの小説をお勧めするでしょう。
僕はロマンス小説のヒロインかッ!?~婚約破棄されたモブ令息は辺境伯家に婿入りする~
砂臥 環
あらすじ
ダニエル・ブラック伯爵令息は、訳ありの王女殿下・シエルローズと婚約破棄となる。
それはともかく、すぐに辺境伯家に婿入りすることになってしまったのはどうなんだ……そう思いながらも、馬車に揺られて辺境伯家へ。
結婚相手は『アマゾネス』という噂の令嬢アデレード。結局のところ格上への突然の婿入りである。婿入り先で虐げられやしないだろうか……と徐々に不安になっていく中、ようやく入った辺境伯領。
案内役として現れたのは物凄いイケメン。
「僕はロマンス小説のヒロインか!?」
それは、ウッカリあらすじでタイトル回収してしまうほど。
襲い掛かる魔獣に、なかなか会えない未来の妻。次々浴びせられる辺境の洗礼に、か弱い都会っ子のダニエルはどう立ち向かうのか?!(※文章量の関係から、一部コンテスト側で省略しています)
コメント
元婚約者からロマンス小説を散々読まされ毒されている、ブラック伯爵家三男のダニエル。ロマンス小説の如く婚約破棄されたのもつかの間──すぐに辺境伯家に婿入りが決まった彼は、自分はまるでヒロインのようだと勘付き、婿入り先で虐げられやしないか不安が過ぎる。
未来の妻・アデレード嬢の詳細は何故か絵姿すらも見せてもらえず…
あらゆる不安(※妄想)が募る中、案内役に連れられ命からがら辺境伯邸に辿り着くも、アデレードの姿は見当たらない…
──それもそのはず、彼女にはダニエルにだけ隠しておきたい秘密があった……!
ネタバレになりますので詳細は控えさせて頂きますが、自分を人畜無害でモブと自負し想像力があり過ぎるダニエルと、秘密を抱えたアデレード(と、舞台裏)の様子が面白おかしく、とても楽しい気持ちになるラブコメ作品でした。
お話的にはまだまだ始まったばかりの印象もありますが、読者の関心を引く効果的なフックが散りばめられていて、軽快な語り口と個性の強いキャラクター達も大変魅力的でした。
これからどんな物語が紡がれて行くのか期待せずにはいられません( …と、言ってしまうと作者様にはプレッシャーに感じてしまうかもしれませんが、そう思わずにはいられない程に最初から最後まで楽しく拝読させて頂きました)!
2人のロマンスも微笑ましく、特にアデレードの初々しさがギャップ萌え的にとても可愛らしくてニヤニヤが止まりませんでした。
アデレードだけでは無く、全体を通してニヤニヤしてしまうストーリー展開に思えますので、読む時は周囲への注意が必要かもしれませんね(笑)。
剣と魔法の要素もあり、辺境伯領では魔獣が現れるようですのでファンタジーがお好きな方も、ラブコメ・ロマンス小説がお好きな方にも、そして、これからラブコメ作品を書いてみたい方にも!是非、ご覧頂きたい素敵な作品です。
暁の星がまたたく前
三屋城衣智子
あらすじ
少女は今日も街をかけずり回っていた。
リーファンという街に住む十一歳の少女、エメル。
少女には、この街の、石畳続く家の近くが世界の全てであり。また彼女は、それで良い、と思っているらしかった。
これは少女が巻き込まれていく歴史、それがまだやってきていない頃合いの、日常である。
コメント
リーファンという街に住む十一歳の少女、エメルの物語――の前日譚。
彼女の日常は、その日を生きていくことで埋め尽くされている。食べ物、長患いの母親の為の薬、その為に必死で得たお金を奪われないように。
だが、必死に生きていても、理不尽な暴力と略奪に、幼い彼女は敵わない。
目が覚めて、見上げた空には数多の星。
少女の頬に伝うのは一筋の涙。
彼女の知る世界は、その理不尽な狭い世界のみ。
それでも、彼女は立ち上がる――。
その姿に心を強く打たれました。この先、彼女に待ち受ける未来が、幸せな未来であることを願ってやまない。読んだら、心に絶対残る。オススメさせていただく理由です。
評価ポイントの後押しで下剋上を目指し燃え尽きた素人作家のおれは、再び評価ポイントの後押しで立ち上がり最強となる!
バインボインたわわん
あらすじ
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。
真夜中のおかしなテンションの中、一夜漬けの設定とプロットで、勢いだけで『小説家になったろう』に小説を書き始めた。ある日、知人の連絡で、その作品がランキングの意外と上位に入っていることを知る。
続きを書くつもりはあまりなかったのだが、ランキング入りとともにたくさんもらえた評価ポイントに後押しされて、続きを書こうと決意する。
仕事と両立して書くのは大変だが、ランキングがかなり上位に入ってしまい、どうせなら、『小説家になったろう』の表紙を目指そうと、必死に書き続ける。
しかし、その結果として、完結まで書き終えた後、燃え尽きてしまうことに……。
燃え尽きた作者は復活できるのだろうか……。
コメント
小説投稿サイトで奮闘する主人公に感情移入しながら、楽しく拝読させていただきました。主人公に作家としての才覚がありそうだと物語の節々でうかがえるので、最後はどのように着地するのかが気になって最後まで読み進めることができました。
感想やポイントに後押しされたり、ランキングで上位に入るために奮闘したあとで燃え尽きるところなど、なろうで長く活動している方なら『あるある』として楽しめるのではないでしょうか。また、「書きたいものを書く」という基本に立ち返った主人公の想いにも、共感できる作家さんは多いかもしれません。悩みを抱えて、七転び八起きする主人公を応援したくなりました。小説のオチとしては読後感の良い後日談がほしくなりましたが、これがこの小説のコンセプトによる終わり方といったところでしょうか。
『なったろう小説コンテスト』に応募した主人公が、ピックアップや感想サービスでモチベーションが上がる様子は(なぜだか)嬉しく拝読いたしました。気づけば促されるようにピックアップをしていました。今後の執筆活動を応援しております。※作中でも登場したこちらの文言、もちろんお祈りではありません(笑)!
テルミヌス〜訳アリ者の僕は世界を知っていく〜
天野 海星
あらすじ
「また理不尽を与えられるなら……僕を転生させた張本人を1発ぶん殴ってやる……!」
現代を俯いたまま生きる15歳の少年『阿嘉月 颯』は、ある日胸の激痛と共に倒れてしまう。
そうして死を確信する中、突如として悲鳴や怒声を耳にするが……。
――『世界に、希望を』――
その中で唯一自分に対して明確に向けられていた声の主も分からぬ『言葉』を聞いて意識を失う。
後にララート村という場所に流れ着き、そこで出会った真紅の目の少女『ユリィ』と旅に出る約束を交わす。
なぜ僕は転生をしたのか?
『あの言葉』は何を意味するのか?
そもそも『僕の生きる意味』とは……?
コメント
いわゆる転生物のストーリーですが、よく見かける作品とは違い主人公が「転生した理由や生きている意味を知りたい」と明確な意志を持って旅に出ようとしている点が、中々見かけないタイプの作品だと思いました。
作風も王道ファンタジーをベースに独特な要素が見られる、良い意味でなろう感が出ていないように思えます。
それに加えて、物語を読み進めていくと伏線らしきものが序盤にも関わらずよく出てきます。
ここは私の深読みかもしれませんが、綿密な設定のもと作品を描かれているのではないかと推測しています。
最後の理由は、タイトルが長すぎず、同時に最近流行りの出オチタイトルでない点も個人的な好印象でした。