菜の花工房の書籍修復家

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2019.3.14

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2019.3.14

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書籍修復家とは

書籍――主として紙に文字や絵を筆写・印刷し、糸や糊で製本したもの――の劣化や破損を修復する職業。古い書籍などの紙資料は、経時劣化や虫食いなどで閲覧が困難になってしまっている場合がある。それを修復することで、情報資料としての価値を取り戻し、未来に保存していくことができる。「コンサバター」「ルリユール」とも言う。

あらすじ

菜の花工房の書籍修復家
イメージ
高校三年生の三峰菜月は、子供の頃に宝物の絵本を直してくれた書籍修復家・豊崎俊彦の工房の門を叩く。弟子入りを拒む俊彦のもとで、菜月は期限付きを条件に書籍修復の基礎を学びはじめる。図書館の本や和装本を扱った初めての書籍修復、子供たちに向けた和装本作りの体験会などを通して、菜月が大切な本に託された想いに気づいていく。

本に寄り添う人々と、書籍修復家を目指す見習い・菜月のお仕事青春ストーリー。

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登場人物

キャラクター紹介
三峰 菜月(ミツミネ ナツキ)
浜名南高校三年生。活動的な性格で興味を持ったことにはとことんのめり込むタイプ。小学生の頃に宝物の絵本を直してくれた俊彦との再会をきっかけに、書籍修復家を目指す。
豊崎 俊彦(トヨサキ トシヒコ)
書籍修復の権威。和装本など文化財の修復経験が豊富で、宮内庁書陵部に勤めていたこともある。職人気質で、頑固。
石田 葵(イシダ アオイ)
菜月の憧れで、高校時代の部活の先輩。現在は、浜名文化芸術大学で、図書館職員として働いている。
植田 和人(ウエダ カズト)
俊彦の孫。かつて俊彦のもとで書籍修復技術を学んでいたが、現在は浜名文化芸術大学附属図書館で、古文書を扱う研究員として働いている。
豊崎 紗栄子(トヨサキ サエコ)
俊彦の妻で、俊彦にとって一番の理解者。突然俊彦に弟子入りを志願してきた菜月のことを、応援している。

著者プロフィール

日野 祐希ひの ゆうき
1988年生まれ。静岡県浜松市出身。現在は愛知県で大学図書館職員をしている。本作で第6回ネット小説大賞を受賞。本にまつわる物語を中心に書いており、著書に『カラフルノート 久我デザイン事務所の春嵐』(三交社)と『秘密の神田堂 本の神様、お直しします。』(スターツ出版)がある。

著者コメント

「『本』という物を、もっと深く知りたい」
本作は、私のそんな思いから生まれた物語です。
学生時代には図書委員として、社会人になってからは図書館員として、そして人生を通してはただの読書好きとして――私はずっと本に触れながら生きてきました。
しかし、この物語を書きながら私が感じたことは、「私は『本』という物のことを、まだまだ何も知らない」ということです。本当に、調べれば調べるほど、知らないことが山のように出てきました。作中において、主人公の菜月は書籍修復という視点から『本』について学んでいきますが、私自身も彼女と一緒に多くのことを学んでおりました。
『本』という物が持つ奥深さ、この物語から少しでも感じていただければ嬉しいです。