運営スタッフがネット小説大賞応募作品から、気になる作品をピックアップいたします。
原則選考とは無関係ですが、素敵な作品をたくさんの方の目に触れる機会をつくることを目的としています。
ぜひご期待ください。
作品タイトル『ルール』
著者名 新菜いに
放課後の恒例となった、友達同士でする怪談話。
その日聞いた怪談は、実は高校の近所が舞台となっていた。
主人公の亜美は怖がりだったが、周りの好奇心に押されその場所へと向かうことに。
その怪談は何を伝えようとしていたのか――その意味を知ったときには、もう遅い。
怪談話にハマっている仲良し5人組の女子高生が、ひとつの怪談話を元に地元の旧校舎で起こった実際の事件が絡む不思議な事象に巻き込まれていく、本格的なミステリーホラーです。
まず、5人それぞれの性格がバラバラでありながらも絶妙なバランスで調和している点が印象的です。女子高生特有の空気感や青春らしさが漂う雰囲気も感じられます。
ホラー要素では、描写の繊細さから恐怖感に満ちており、物語に独特の不気味さと緊張感を与えています。特に旧校舎でのかくれんぼのシーンでは何かが忍び寄ってくるような不安感があり、「もういいかい?」というかくれんぼのフレーズが突然後ろから聞こえてくる場面では読者の背筋がゾクッとするような恐怖感をもたらします。
そして、何事もなく無事に終わったと一安心したのも束の間、翌日から次々に明らかになっていく恐ろしい真実に読者も驚きを隠せない展開が繰り広げられます。
さらに、章ごとに時代や登場人物が変わり、それらがすべて繋がっていく構成となっているため、「なるほど、そういうことだったのか」と感嘆します。