©麒麟堂あみだ・栖ゆち/Amazia,inc.
第10回ネット小説大賞において『聖騎士の俺が好きになったヒロインが続々とアイツのハーレムメンバーになってしまうんだけど俺の何がいけないのか誰か教えてくれ!!』で
受賞となった麒麟堂あみだ先生に独占インタビューを敢行!
前半では『受賞作の見どころ』を、後半では『小説を書くときのコツ』などを伺いました!
ぜひ最後まで読んでみてください♪
※この物語はハッピーエンドになるはずです(たぶん)
始業式に行く途中で異世界召喚された俺こと聖騎士ヤマダイチローは、同じタイミングで召喚された勇者リューグーインとともに、十二の迷宮を攻略することに。
すべては世界を救うため。そして、元の世界に帰還できるアイテムを手に入れるため! 勇者という身分を得て、何の努力もせず遊びほうけるリューグーイン。一方、元の世界に帰りたい俺は、ボロボロになりながら迷宮攻略に励んだ。そんな俺を支えてくれたのは、同じパーティーのヒロイン──のはずだった…!!
この話は、好きになった女の子をことごとく勇者にとられた聖騎士が、パーティを飛び出し最愛の人を見つける物語だ。
『聖騎士の俺が好きになったヒロインが続々とアイツのハーレムメンバーになってしまうんだけど
俺の何がいけないのか誰か教えてくれ!!』
――――――――この度は受賞、おめでとうございます! コミカライズされて、初めてキャラクターや原稿のラフを見た時の気持ちを教えてください。
ありがとうございます!
自分の頭にだけあったものが漫画家様の手でイラストになり、実際に目にすることができて感動しました。
小説家になるということは元々頭になかったですし、今回が初めて書いた作品なので……。その作品で賞を頂いて、キャラクターがイラストになって動くだなんて夢にも思っていなかったですね。
――――本作は2万ポイント以上ある『小説家になろう』でも人気の作品ですが、どのタイミングでポイントが増えたのでしょうか?
コミカライズでもすでに掲載された部分なのですが、表面上は仲良くやっていた勇者・竜宮院が率いるパーティーから、主人公が離脱する場面ですね。
――――あの衝撃のコミカライズ第5話ですね! あれはビックリしました(笑) 読者のストレスが一気に解放されるシーンでしたね。王道展開から、先生の独自の世界へ一気に引き込まれた瞬間で。
本作を書き始めた頃、追放系のジャンルで、かつ自分のパーティーメンバーが一人ずつ誰かに奪われていく展開が人気だったんですね。
それを自分ならどう表現しようかな?と思って書き始めたんです。本来だったらあと2~3人くらいは竜宮院に取られる予定だったんですけど、反響を見て今の展開にしました。
―――『小説家になろう』で、1話ずつ最後に気の利いた一文があるのが印象的でした。読者としても、そろそろこの流れが変わるんだなという安心感に繋がりますよね。
最初は「書きたいことを書こう」と思って書き始めたんですけど、感想を見たときに、それだけじゃダメってことが分かって。いただいた感想を見ながら今後どう進めていくのかを考えていったので、良い意味でバランスがとれたんだと思います。
ネット小説は1話につき2000字~3000字ずつ投稿するので、感想を見ながら続きを書けるのが良いところですよね。
―――――ただ、主人公がいきなり竜宮院を○○○○○したのはびっくりですね!(笑) ※伏字はネタばれ防止
小説は本作で初めて書いたのですが、いわゆる「ヘイト管理」についても考えていたので、あの展開になりました。あれはあれでどうかと思いつつ……(笑) でも、あの展開にしてよかったなと思っています。
――――当初からあの展開を考えていたのでしょうか?
そうですね、主人公が最初のパーティーから離脱することが念頭にあったので、ならどのように離脱するかと考えた時にあの展開になりましたね。
――――ところで、コミカライズ描かれている女の子たちは本当にみんな可愛いですよね! キャラクターについてはイメージどおりでしたか?
そうですね、漫画家の栖ゆち先生に描いてもらっていて、キャラクターラフを描いていただいた時から可愛いなぁと思っていました! 小説を書いていても、イメージがより具現化されたところもあって有難いです。
――――初めてコミカライズ原作を担当されてみて、気づきなどはありましたか?
例えば、物語のクライマックスで強敵の龍を出しました。当初は首が8本〜10本ある想定でしたが、その箇所がコミカライズがされたら「ページが首だらけになってしまう……」と考えて、3本〜4本に修正しました。
「ハッタリを利かせるためだけに無茶な数字は出さないようにしよう」って思うようになりました(笑)
こういった感じで、絵になったときのことを考えて書くようになりましたね。
――――漫画家さんにも配慮されながら書かれているんですね。素敵な関係性だなと思います。
ありがとうございます。私としましても、漫画家さんはもちろんのこと担当者さんも作品を大事にしてくださっていることを実感してます。
例えば先日、担当者さんから、『漫画家さんからの質問で「技」という言葉を、「奥義」や「極意」か「それ以上に適した単語」に変えたいが、何かいい案はありますか?』との連絡をいただきました。
そのとき、漫画家の栖ゆち先生が細やかなところまで作品を考えてくださっていることと、担当者さんがどんな小さなことでもスルーせずに逐一連絡をくださっているんだと改めて実感を強くしました。
漫画家さんとこうして良い関係で続けていけているのも、担当者さんのそうした配慮があってのことだと思っています。
――――受賞された作家さんが、素敵な環境でお仕事をされていることが伺えて嬉しいです。
そういう意味では、ネット小説大賞さんにも感謝しています。名だたる作家さんと同じ賞で、受賞者として一緒に名を連ねることができる…とまで言っていいのかわからないですが、本当に感動で光栄なことだと思います。
――――先生にそう言っていただけるのは、コンテストとしても本当に光栄です。最後に、読者の皆様にメッセージをお願いできますでしょうか?
辛く厳しい展開の小説ですが、毎回毎回なんとかついてきてくださって本当に感謝しております。これからも辛い展開が続いていくと思いますが、よろしくお願いいたします!
セナちゃん可愛い!やったー!!
麒麟堂あみだ先生、受賞コメントをありがとうございました!
このあとの後編では、麒麟堂あみだ先生に、『小説の書き方』をテーマにインタビューしてみましたのでぜひご覧ください!
――――小説はどんなツールで書かれていますか?
私の場合、基本的には『小説家になろう』様のサイトにスマホで直書きしてます。
これは単純にして強力な執筆活動における私のオススメだったりします。
サイトにスマホで直書きすることで、小説を書くという行為の心理的な負担(?)が軽減されます。これは大きいです。
私の場合は、肩をいからせてしゃちほこばって執筆に取り掛かったときより、気軽にスマホで書いた方がペースを崩さずに淡々と書けることに気づきました。
それ以降、私はなろう様での執筆をほとんどスマホの直書きでやっております。
――――執筆に詰まったことはありますか?
もちろん執筆に詰まることはあります。
私の場合、複雑な場面の描写にとりかかっているときに執筆が詰まりやすいです。
例えば、複数人の思惑が入り乱れる場面でしたり、複数人での戦闘場面でしたり、時系列が行き来したりする場面ですね。
こういったときは、私自身が、作中状況の把握が十分でない場合が多いので、適当な紙に、『その場面の登場人物の思惑』や『◯◯ならどう動くか』や『◯◯のエピソードは絶対に必要』など、思いつくままに箇条書きで書き出します。可視化することで、頭の中も整理されて、執筆がスムーズにいくことが多いです。
――――執筆前に、プロットを作成されていますか?
プロットは作っていますね。
というと、大層なことに思われるかもしれませんが、本当にざっくりとしたものです。
この辺は本当に人によると思います。
また執筆にあたってどのような項目をどのように決めているかという質問ですが、ここではキャラ設定に絞ってお話をしたいと思います。
私がキャラクターを考えるときに意識していることは、無駄なキャラクターを極力出さないということです。
この意識を持つことで必然的に、全てのキャラクターに何らかの役割や作者の思惑が含まれ、「え、今のやりとり何だったの?」という物語のだぶつきが少なくなり物語が引き締まりました。
――――執筆前に、プロットを作成されていますか?
本当に簡単なものになりますが「主人公と周囲の人々の設定」「国と大陸などの設定」「どのような道筋を辿っていくのか」「武器、魔法、文化など」といった項目で作っていきます。プロットに縛られすぎると自縄自縛になるので、本当に間違えてはいけないものだけにしていますね。
――――なるほど……! たしかにモブ的なキャラクターが多いと読者も覚えづらく、物語についていきづらくなりますよね。ほかにもキャラクターを描くうえで、意識されていることはありますか?
もう一つ、私が意識しているのは、自分の欲望に忠実になることです。
どこにでもついてきて子犬の様に甘えてくる後輩や、どんな辛いときでも献身的に支えてくれる恋人や、普段は透明感あるのに曇っている聖女様や、頼りがいあって激ヤバボディでメロメロに甘やかせてくれるのにいたずら好きで神がかった強さを持つ黒髪和服美人だったり、私の作品には様々なヒロインがいます。
これはもう、そういうヒロインが好きだという私の欲望に従った結果だったりします。 読者様の感想を見ていても、己の欲望に忠実に創られたヒロインの方が刺さっているような気がしますし、執筆しているときも、筆のノリ方が全然変わってきます。
――――タイトルをつけるときに、意識していることがあれば教えてください。
これまで見て聞いてきたことですが、『小説家になろう』様で読まれるか否かは、タイトルとあらすじとタグが大きな割合を占めているそうです。特にタイトルは、作品の顔となるものですのでインパクトのある方がいいと思います。
もちろんですが、例えば、美浜ヨシヒコ先生の『煤まみれの騎士』、超法規的カエル先生の『魔女と傭兵』、駄犬先生の『誰が勇者を殺したか』のような短いタイトルの傑作がいくつも存在しますので、一概に短いタイトルが駄目と言ってるわけではありません。
それから、長過ぎたタイトルは「軽薄そう」と思われる場合がありますので、その辺は上手くバランスをとって、ここまでならイケるという見極めが必要です。
本当に、難しいですね。
――――文章を書かれるときに、意識していること、大切にしていることはありますか?
全体的な物語のプロット以上に、極短期的なプロットは必要だと思います。
これも私の経験からですが、『小説家になろう』様で更新する直近1話分(2000〜4000文字)のプロットは、少なくとも頭の中で、煩雑な場合はメモ帳アプリに書くようにしています。
具体的には『今回はこのお話を書く』と定めて、『誰が』『どこで』『誰と』『何をするか』『何が起きるか』をざっくりと箇条書きにして何を書くかを明白にしてから、執筆に移ります。
当初は、プロットは漠然と頭の中だけにありましたが、このように意識するようになってから、以前に比べて詰まることがなくなりました。
――――そのほか、作家志望の方々や、次回のネット小説大賞応募者にアドバイスがあればいただけますと嬉しいです。
元々私は、小説を書くという行為は小説家という職人が机の前に座って「えいやっ」と意気込んで書くものと思っていました。
これまでも多くの方が「小説書いてみようかなぁ」と思うも、私と同じ様に考えて、執筆に取り掛かる前に「やっぱり難しそう」と筆を置いてきたのではないでしょうか。
しかし、【読んで、書いて、その場でネトコンなどの賞に応募できる万能サイトである『小説家になろう』】と【どこにでも持ち運べて手軽に操作できるスマホ】の2つがあれば、小説を書くことに必要な全てが揃います。
驚くことに、ほかには本当に何もいらないのです。あとは書くだけなのです。
通勤通学の暇な時間や、ちょっと手が空いた時間、しんどいなーとゴロゴロしてる時間なんかに気軽に書けばいいのです。
まだ書いたことのない人も、執筆を重々しく考えている人も、長時間集中できない人も、それくらい気軽な気持ちで、サイトにスマホにガシガシと直書きしてみてください。
思ったよりサクサクと筆が進むことに驚きを覚えることでしょう。
ですので、本当に気軽に小説を書いてみてください。一番大事なことは最初に執筆に取り掛かることです。そうして作品が形づくられてきたら、気軽にネトコンのタグをつけましょう(笑)
最後になりましたが、私のこの記事を目にして、一人でも多くの方が筆をとってくださることを願っております。
麒麟堂あみだ先生、この度はロングインタビューと、親身なアドバイスをありがとうございました!
『聖騎士の俺が好きになったヒロインが続々とアイツのハーレムメンバーになってしまうんだけど俺の何がいけないのか誰か教えてくれ!!』、ぜひチェックしてみてくださいね!