この度は、株式会社ヒナプロジェクト様の協力のもと、クラウドゲート株式会社が運営する『第9回ネット小説大賞』にご応募・ご参加いただき誠にありがとうございました。
第9回では、前回の応募数を大幅に上回る14,271作品ものご応募をいただき、その中から、23作品が商業作品となる運びとなりました。
昨今のコロナウィルスの影響による『おうち時間』の有効活用や、従来のコンテスト開催期間から半年ほど後ろにずれた影響もあり、過去例の無いほど多数かつ多様な作品が集まった、魅力的なコンテストだったと思います。
『小説家になろう』の中核となるジャンルだけに、前回までと比べても、より一層、創意工夫が見られる作品が多く見られました。
どうすれば他の作品との差別化ができて、なおかつ面白くできるかを真剣に考えた結果かと思います。
その中で、著作の強み・他作品への差別化をしっかりと理解して、作品自体への面白さへ昇華させた作品が目立った印象です。
また、『小説家になろう』原作のアニメ化作品やコミカライズ等の人気の後押しもあり、全体的に絵映えを意識した展開や演出が増えてきたように感じます。
その反面、取り入れる演出や要素を意識するあまり、文章のバランスが崩れてしまい、読み物としてのクオリティが下がってしまっている作品なども見受けられました。
他作品との差別化や作品の長所を伸ばす構成などは引き続き検討いただきつつ、推敲などの小説としての質の底上げを行うことで、さらに面白い作品となるかと思います。
過去コンテストと比較して、『現実恋愛』『異世界恋愛』ともに大きく作品数が増え、それに比例して良作も多く見られました。
その傾向も後押しし、第9回コンテストでは全体の3割近くが恋愛ジャンルからの受賞となります。
異世界恋愛ジャンルの王道となる『令嬢』ですが、今回は異なる立場の女性主人公が多く、飽和しつつあるジャンルの中での差別化や工夫を感じました。
また、前回までと大きく違う点としては、『異世界恋愛ジャンルの短編作品』に非常に高いポイントを獲得していた作品が数多く見られたことがあげられます。
今回は残念ながら受賞に至りませんでしたが、企画性が高く評価された作品も複数ありました。
今後も恋愛ジャンルの盛り上がりは増していくかと思いますので、コンテストとしましても、優れた作品がより多く日の目を浴びることができるよう、努力してまいります。
すっかり一つのジャンルとして定着した『キャラクター文芸』ジャンルの影響により、応募作品の割合も文芸作品の比率が上がってきています。
様々なジャンルからのご応募の中、今回は『歴史』『推理』『ヒューマンドラマ』から受賞作が選ばれました。
文芸作品については作品のクオリティに加え、様々な要素から受賞作が選ばれるため、『こういう作品が受賞になりやすい』といった傾向はほとんどありません。
逆に言えば、作風やポイントの如何に左右されずに受賞のチャンスがあるジャンルでもありますので、今後も多くのエントリーをお待ちしております。
第8回ネット小説大賞より設立された本賞ですが、今回は3作品が受賞となりました。
レーベルやジャンルにもよりますが、ファンタジーのコミカライズで言えば、スキルや知識による無双やざまぁ展開よりも強敵との闘い、仲間のピンチといったバトルマンガとしての王道が求められる傾向があり、応募総数から考えるとそういった作品が少なかったように感じます。
今回はファンタジー系の作品が受賞となりましたが、検討の俎上にあがっていた作品の中には、現実恋愛ジャンルや日常コメディ作品などもあり、今後の展開を予感させる選考となりました。
過去最大の応募数が示す通り、誰も読んだことのない新しい物語を届けたいという意欲的な作品が多く、選考を進める上でも作品の熱意が強く伝わってきました。
エントリー作品の半分近くがハイ・ローファンタジー作品という傾向は変わりませんが、異世界恋愛が13%、現実恋愛が12%と、恋愛ジャンルの割合が年々多くなっていることを感じた次第です。
受賞には至らなかったものの、連載開始、または完結から時間が経った作品が再評価されるケースが散見されたのも印象的でした。
ジャンルや要素の流行は一定のサイクルで巡ること、良作は時間に関係なく評価されることを改めて感じるコンテストとなりました。
なお、受賞作以外に検討の俎上に上がりつつも、『設定が面白いが、序盤~中盤で一定期間更新が止まっていた』といった理由から選出を見送られるケースがありました。
文字数の関係のないコンテストではありますが、商業作品化を前提としていることから、『作品の発展性』や『定期的に更新されるか(連載を続ける意思があるか)』といったものも評価の一要素となります。
ネット小説大賞は、応募締め切り後の更新の制限はなく、作品のクオリティアップや作品のファンが増える行為を推奨しております。
作品が続いていることを見せることが選考の際のアピールになりますので、少しずつでも更新を継続していただければと思います。
昨今のコミカライズ需要の隆盛を受け、コミカライズ原作として優れた作品を探すコミックシナリオ賞についても、前回を超える3作品が受賞となり、小説を土台としたさまざまな展開への可能性を感じました。
近年盛り上がりを見せるWEBTOON(縦読みコミック)をはじめ、マンガ制作も分業制を前提とする制作環境が増えてきており、それに伴い小説の『原作としての価値』が日に日に高まってきています。
メディアが変われば求められるものが変わることもあり、今後さらに多彩なジャンルから受賞作が生まれることになるかと思います。
コンテストとしましても、そういった需要を拾い上げ、様々な場所から受賞作が生まれるよう努めて参ります。
まずは、今回受賞となりましたタイトルの作者の皆様、過去最大の応募数、過去最大の倍率の中からの受賞、誠におめでとうございます。
前回に引き続き、コロナ禍での開催となったわけですが、ウィルス蔓延の初期とは異なり企業の販売方針やプロモーションなどが、現在の環境に最適化されつつあります。
コンテストとしましても、引き続き受賞作品がより愛されるよう、また、受賞された方がこれからも新しい作品を世に出せるよう、販売促進やメディア化の提案など、できる限りのサポートをしていきたいと考えております。
また、最終結果発表ページの最下部に書かれている通り、『第10回ネット小説大賞』を12月より開催させていただく運びとなりました。
第9回の開催につきましては、従来の開催時期から5か月ほどずれての開催となりましたが、第10回の開催につきましては従来通りの開催時期を予定しております。その為、2か月後という短い間隔での開催となりますが、10回という節目の回を素晴らしいものとすべく、今まで以上の施策を準備しております。
皆様のご応募をお待ちしておりますので、今後ともネット小説大賞をよろしくお願いいたします。
※「小説家になろう」は株式会社ヒナプロジェクトの登録商標です