クレイン・フォン・アースガルドはどこにでもいる普通の領主だ。平和な領地を何事もなく治めていたのだが、ある日唐突に侯爵家から軍隊を送り込まれて、アースガルド子爵家は滅びることになる。クレイン自身も命を落とした――と思いきや。彼は自宅のベッドで目を覚まして、滅亡の三年前へ戻っていることに気づいた。前世と同じ時期に、同じような事件が起きていることを確認したクレイン。このままでは三年後に滅亡すると確信した彼は、滅びの道を回避するために、決死の生き残り作戦を開始した。――が、死ぬ。何度繰り返しても些細なことで彼は死に、領地は滅びた。死にたくない。領民の皆殺しも避けたい。その思いで彼は、ひたすら人生をやり直す。ハッピーエンドを迎えるその日まで。
平和な領地を何事もなく治めていた領主のクレイン。
ある日、唐突に宣戦布告を受け、領地とともに命を失ってしまう。
しかし、目を覚ますと死んだ日から三年前へと時間が巻き戻っていた。
そんなクレインが三年後に起こる滅亡を回避するために奮闘する物語です。
諦めずに何度も状況を変えるも、思いもよらない変化で訪れる突然の死。
タイムリープものとして、非常に練られた構成力と伏線の数々、
何度読んでも唸らされる作品です。
物語は、聖アウルム王国の王太子・アーサーの婚約破棄から始まった。王国の西の果ての砦(つまりド田舎)で暮らしていたリリィ(13歳)は、まっっったく面識のない王太子の婚約破棄のとばっちりを受ける。両親は東の砦に移動となり、彼女は王都にある母の実家・ティナム伯爵家に身を寄せることになってしまった。従兄のノアは王太子の側近をしていて、リリィはツテで城仕えをすることになったが、なぜか流れで『 聖女候補生 兼 王太子妃候補 』に加えられてしまう。聖女候補生は他にも二人いて、公爵令嬢・オリビアと男爵令嬢・ポピィは熾烈な恋愛バトルを繰り広げているようだ。周囲が何を考えていようが、リリィの目的はただひとつ。目指すは、『王都の仕事で程よい成果をあげたあと、東の砦に行って両親と合流すること』のみ!目的のために手段を選ばず努力したのだが、思うようにいかなくて――泣き虫・巻き込まれ体質・優柔不断なヒロイン・リリィの成長と恋のストーリー!
個性的で魅力的なキャラクターたちに、しっかりとした世界観の設定、
そこで繰り広げられるテンポの良いストーリーが丁寧な文章で語られる完成度の高い作品です。
なかでも魅力的なのは、主人公であるリリィのキャラクターです。
13歳という年齢を等身大で共感のもてるキャラクターとして描いており、“目の前に苦しむ人や悲しむ人がいたら、少しでも楽にしてあげたい”という自分の思いに正直になり、まっすぐ行動する姿は読みながらついつい応援してしまいます。
高いエンターテイメント性のなかに少女の成長と淡い恋が瑞々しく描かれる、コロナ禍で鬱々しがちな今こそとくにお薦めしたい、読後感のさわやかな作品です。
婚約者に浮気された後の令嬢のお話。
魅了の呪いがかかったブレスレットによって起こった、4組の婚約破棄騒動。
本作は、騒動の原因がとある令嬢のブレスレットだと突き止めるられたあとから始まります。
婚約破棄を宣言された被害者のひとり・エリーゼが主人公なのですが、このヒロイン、プラチナブランドの剛毛や高めの身長に悩んでいたり、なかなかへたれ気味だったりと、読んでいて思わず応援したくなるヒロインでした!
被害を受けた他の令嬢たちとの交流(仮面舞踏会やランチ女子会!)を通して少しずつ立ち直り、たくましくなっていく姿が印象深かったです。
エリーゼはもちろんですが、かえる好きの王子や公爵令嬢エリーゼをはじめ、キャラクターもとても魅力的でした!
辺境の山奥で暮らす賢者カイン。彼はたったひとりで魔王を倒した英雄であるにもかかわらず素行不良の『クズ賢者』と恐れられ、追放処分を受けていた。ある日そんなカインのもとに、魔王の娘・フィリオノーラが送られてくる。幼いながらに強大な力を持った彼女を持て余し、カインと潰し合わせようという魂胆だった。 しかしそれを企んだ者たちは、カインの本当の顔を知らなかった。「できたぞ、フィオ!今日の昼飯は俺様特製のオムライスだ!」「おいしそう!ほんとにフィオが食べてもいいの……?」「当たり前だろ。デザートには手作りのプリンも……って、どうした?」「だって、こんなにやさしくしてもらえるなんて、思ってなかったから……うう……」「ちっ、それ以上泣くんじゃねえぞ、フィオ!これを食い終わったら俺様が好きなだけ『高い高い』してやるからよォ!!」「うん……!パパ、だーいすき!」カインは非常に誤解されやすいだけで、本当はめちゃくちゃ善良な男だった。フィオと暮らすうち、誤解が解けてカインは周囲の人々に慕われていく。しかしなぜか悪人たちはますます彼のことを勘違いして「あいつは本物のクズだ……!」と恐れるあまり自滅していく。
とにかく魔王の娘がかわいい!!
そして賢者の父性&母性がちゃんと娘に伝わっていて、しっかり家族をしています。
賢者を陥れようとする悪人たちが勝手に自滅していく姿に爽快感を覚えつつ、この二人には汚い世界を見ないでずっと楽しく暮らしていてほしいです。
脇役たちもいい味出してます。
“人をダメにする”超お人好しでほわほわな主人公に惹かれて本作を選びました。
みんなのお願いに応えて<複製>スキルで過労死寸前まで働いていたのに、理不尽に村を追放されたイコマ。そんな彼が昔から夢だったのんびり一人旅を始めて早々、残念美少女たちに巻き込まれていく流れが秀逸でした。
男子禁制の花園に招かれるばかりか、ぽわぽわな先輩や毒舌の筆頭騎士、
変態生徒会長に慕われて(?)無理難題を頼まれてしまう。そしてそれに挑む彼のお人好しぶりが唯一無二!
戦闘スキルなし、そもそもスローライフしたいだけなのに、女の子のためにギャングウルフにも立ち向かう、
気づけばモンスターと人類の戦争のリーダーに担ぎ上げられてドラゴンとも戦う――という展開には胸が熱くなって応援したくなりました。
彼なら頼まれたらいつか地球まで複製してしまうんじゃないかと期待が膨らむ壮大な英雄譚、堂々の受賞作です!
ある日突然、身に覚えのない罪をSNSで名指しで糾弾される。
どんなに声を上げても、身の潔白を訴えても、誰にも届かず一方的に叩かれ続ける恐ろしさがとてもリアルに描かれていて、読みながら背筋が寒くなりました。
今の時代、一番怖いホラーかもしれません。
人間が一番怖い。
小説に登場する悪役令嬢に転生してしまった主人公が、小説知識を活かして無難に処刑エンドを回避すると思いきや、小説本来のヒロインもまた転生者で、小説知識を持つ両者のバトルが緊張感を伴いスピーディーに展開する作品です。
二人の転生者がどうなのるのか常に目が離せず、一気に読み進めてしまいました。
普通の悪役令嬢主人公の作品に飽き足らない令嬢ファンに、是非読んでほしい作品です。
錬金術師の光道長が、女神の送還すらも弾いてしまう鉄壁の工房で作業をしていたため、おいてけぼりにされてしまうところから始まる物語。
おいてけぼりにされる理由も面白いですが、主人公やその師匠の性格や王族の勘違い、エルフの設定などそれぞれのキャラ設定が非常に面白く魅力的です。
また、伏線が張られつつシリアスな展開もあり、普段の明るい展開ともバランスが良いため、読みごたえがある作品になっています。
女好きの悪徳商人の息子、いわゆる萌え豚に転生した主人公が、癖の強さを発揮しつつ異世界無双する本作。
癖の強いキャラたちが織りなす人間模様や、破天荒な主人公の行動力が魅力です。
ゲーム世界のテンプレ的な異世界に転生してしまった主人公の活躍を存分に楽しんでください。
ハイファンタジージャンルでは定番とも言える、人のために頑張っていた主人公が追放されてしまうことから始まる本作。
主人公のウェルがとても魅力的に描写されていて、感情移入ができて、応援したくなります。
追放されて流れ着いた先で出会ったナタリアとデリラの母娘とのスローライフも、とても良い雰囲気で描 写されており、読んでいて心温まる作品です。
人畜無害そうな笑みを浮かべる元死刑囚の主人公と、一癖も二癖もあるヒロインたちがとても魅力的で、作品の世界観に一気に入り込むことができました。
自身の「好き」が明確にある主人公の姿は、「好きなことが分からない」場合も多い現代人とは対照的で、読者の興味を強く引くキャラクターになってくれるのではないかと感じています。
捨てられたモノは人でも物でもなんでも拾う、ちょっと天然なヒロイン『拾う女神』と、『拾う女神』に拾われた実直で真面目な主人公、人と会話ができる伝説の武具、炎龍、国を追われたお姫様など、『捨てられしもの』たちが集まり、自分達の国造りに立ち上がる姿は、思わず応援したくなる作品です。
個性的な登場人物たちが、今後どんな活躍をするか、どんな国を造っていくのか、非常に楽しみです。
タイトルの「絶望」という文字にぎょっとしつつ、読んでみるとオムライスが繋ぐ希望の物語でした。
ご飯を軸にしたヒューマンドラマは定番ジャンルですが、作品内のメニューが生まれるまでの背景と登場人物それぞれの人生が複雑に絡み合っており、読み応えがあります。
文字数は少ないですが、ここからどのような物語が広がるのか楽しみです。
明治期の日本。史実として存在する鷹司家の“存在しない末っ子”として生まれた娘・耀子。彼女は「令和時代の高分子化学者」としての記憶を持っていた。ここから始まる、壮大な歴史改編ストーリー。
耀子は化学の知識をふんだんに持っており、4歳にして「66ナイロン」の合成実験をやってのける。
早々に「転生者」であることを打ち明け、華族である鷹司家のバックアップを受け、日本を化学立国にしようと動き始める耀子の行動力がすごい。
プラスチック=合成樹脂の歴史を120年後の知識チートで先取りし、明治期日本の政治・戦争に様々な変化を起こしていく。
この歴史の変化が面白い!
日本人のものづくりが、120年後の未来の知識を持った耀子の存在で大転換を見せ、プラスチックを用いた航空機の開発へと着手していく。
圧倒的な知識量で歴史改編を成し遂げていく、歴史IFに打ちのめされた!
主人公のティントをはじめとした、各登場人物のキャラクター性がとてもユニークで魅力的だと感じました。
レベルが上がらず、神様の敵とまで言われても冒険者として頑張っていたティントは応援したくなりますし、そんな彼のもとにやってきた社畜の女神エステルは神様ながらも親近感の湧くキャラクターです。
そんな二人が出会い、どんな冒険をしていくのか、とても楽しみな作品です。
名前も顔も年齢も性別も知らない、ネットゲームだけで繋がった5年来の知り合いから突如「先輩オフ会しませんか? 実は私、巨乳JK美少女なんすよ」と連絡が。
またいつものくだらない冗談だろう。
どれ、そのツラ拝んでやろうと待ち合わせ場所に行くと、そこには正真正銘の巨乳JK美少女がいた。といういわゆる年の差同棲ものかと思いきや、レールから外れる生き方とはなんなのか? 誰もが信じる正解は本当に正解なのか?と読みすすめるほどにゴリゴリと突きつけられ、気づけばこの二人の世界に強く引き付けられていること必至。
自宅警備員からメイド王へと超絶進化を遂げ自分の居場所を見つけるヒロイン・レナと、綺麗事に中指を立てる自称底辺会社員・タマの生き方は、読む人の琴線に必ずや触れるはずです。
異世界ファンタジー作品が「見てみないふり」をしがちな衣食住の不便さを、コンビニという斬新すぎるスキルで解消していく様は、他の「一見最弱だけど最強スキル」系作品にはない視座で、とてもユニークでした。
ストーリーもただの出落ちではなく、読み進めるほどに、世界の秘密へと物語が広がっていくのが見事で、今後の展開も楽しみな作品です。
階段から、天使が降ってきた。
高校1年生の楢崎颯太は、階段から落ちてきた篠先輩を助けた。
偶然ボーイミーツガールから始まる、心がきゅんきゅんするラブストーリー。
助けてもらったことをきっかけに、ぐいぐいアプローチしてくる篠先輩と、戸惑いつつも先輩の相手をしてかまってあげる颯太。このふたりの関係性がイイ!! 互いが想い合い、いつの間にか心の距離が近づいていく……。
読んでいるこちらまでも幸せな気分にさせてくれる、ほんわかとした恋模様。天使のように純粋で、だからこそ危なっかしい篠先輩と、彼女に振り回されながらも心惹かれていく颯太。
その幸せなラブストーリーに癒やされること間違いなし。
出る杭は打たれる。
問題は打たれたあとの過ごし方ですが、本作の主人公は「これ幸い」と辺境の地で自重しない生き方を選択します。
魔法の才能にあふれる主人公と、そこに引き寄せられる人々。
「チートで俺TUEEE」なのに何故かほのぼのした懐かしさも感じる独特の世界観を味わってみてください。
追放系であり、スローライフものである本作ですが、その本質は「主人公のジークが獣医であり、モンスターの命をも大切にする」ということです。
本作では魔獣と称されるモンスターたちは、一般的なファンタジー作品では人類の敵として一方的に殺されてしまう存在ですが、その命も等しく扱う心優しいジークはとても気持ちのいい主人公です。
内容としては獣人や獣たちに囲まれて幸せに暮らすジークと、その一方でじわじわと破滅への道を進む国王側の視点が交互に綴られ、とてもテンポがよく最初から最後まで楽しめます。
ケモ耳、竜娘、魔族娘、デレ妹と、もふもふ!きゃっきゃっ!とサービス満点の、優しい癒しの作品となっております!
圧倒的な「主人公力」を発揮する竜崎龍馬に、義理の妹・親友・幼なじみの3人の女子を全員まとめてかっさらわれた中山幸太郎。
自分を竜崎の物語の「モブ」だと認識するようになり、メタ視点で彼らに起こる出来事を語るようになっていくのですが、竜崎の幼なじみである霜月しほとひょんなことから急接近し、「絶対に主人公に知られるわけにはいかない」関係が始まります。
絶対ヒロインとモブ男子、交わることのなかった二人の関係が進展するにつれて竜崎中心のはずだった物語は大きく変わっていき……「テンプレラブコメ」という強制力にヒロインとモブが挑む、という図式になっていく非常に意欲的な作品です。
なにより全ての細かい理屈を覆してしまう霜月さんの可愛らしさとヒロイン力が凄まじいです!
自分に好意を持った者の心の声が聞こえる主人公と、本当は主人公のことが好きなのに素直になれない周囲の者達との、心の声をベースとしたやりとりと展開が魅力の作品です。
文章のテンポも良く、専属メイド、父、兄、婚約者など主要キャラクターの、表面上の態度と心の声のギャップに、読んでいて思わず突っ込みたくなる、そんな楽しさが溢れています。
「母親が魔物に殺された方が勇者の動機づけになる」という理由で、召喚早々暗殺されかけた勇者の母が、逆に魔物に助けられ、魔王軍の幹部になり、子供と再会するために奮闘する物語。
魔法もスキルも使えないのに”強い”主人公も魅力的ですし、徐々に明かされていく世界の謎も気になるところ。今後の展開が楽しみな作品です。
この度は、クラウドゲート株式会社が運営する『第9回ネット小説大賞』にご応募・ご参加いただき誠にありがとうございました。
第9回では、前回の応募数を大幅に上回る14,271作品ものご応募をいただき、その中から、23作品が商業作品となる運びとなりました。
昨今のコロナウィルスの影響による『おうち時間』の有効活用や、従来のコンテスト開催期間から半年ほど後ろにずれた影響もあり、過去例の無いほど……
第9回ネット小説大賞
応募数 14271作品
受賞数 23作品
ご参加いただきまして、誠にありがとうございました。
また次回もお楽しみに。
皆さまのお力添えもあり、『第10回ネット小説大賞』の開催が決定いたしました!
12月上旬より応募の受付を開始する予定となっておりますので、ぜひご参加下さいませ。
募集要項、参加企業などの情報は、後日コンテストHPおよび公式Twitterアカウントなどで公表いたしますので、今しばらくお待ちいただけますと幸いです。