書籍――主として紙に文字や絵を筆写・印刷し、糸や糊で製本したもの――の劣化や破損を修復する職業。古い書籍などの紙資料は、経時劣化や虫食いなどで閲覧が困難になってしまっている場合がある。それを修復することで、情報資料としての価値を取り戻し、未来に保存していくことができる。「コンサバター」「ルリユール」とも言う。
著者プロフィール
日野 祐希ひの ゆうき
1988年生まれ。静岡県浜松市出身。現在は愛知県で大学図書館職員をしている。本作で第6回ネット小説大賞を受賞。本にまつわる物語を中心に書いており、著書に『カラフルノート 久我デザイン事務所の春嵐』(三交社)と『秘密の神田堂 本の神様、お直しします。』(スターツ出版)がある。
著者コメント
「『本』という物を、もっと深く知りたい」
本作は、私のそんな思いから生まれた物語です。
学生時代には図書委員として、社会人になってからは図書館員として、そして人生を通してはただの読書好きとして――私はずっと本に触れながら生きてきました。
しかし、この物語を書きながら私が感じたことは、「私は『本』という物のことを、まだまだ何も知らない」ということです。本当に、調べれば調べるほど、知らないことが山のように出てきました。作中において、主人公の菜月は書籍修復という視点から『本』について学んでいきますが、私自身も彼女と一緒に多くのことを学んでおりました。
『本』という物が持つ奥深さ、この物語から少しでも感じていただければ嬉しいです。