【一次選考通過候補作品総評】

　ご応募いただいた10,156作品の中から、受賞候補作の一次発表として残った596作品を発表いたします。
　これまでコンテストから書籍化された数多くの作品の影響や、読者様の応援もあり、今回のコンテストは国内小説賞の中でも最多の応募をいただくことができました。
　イラストや感想をお付けするサービスにもたくさんの反響をいただき、『受賞だけがコンテストじゃない』というコンセプトを皆様にお伝えできてきたのではないかと実感しております。

　作品の傾向としては、例年通り『異世界・転生・VRMMO・悪役令嬢』ジャンルが多く応募されていました。
しかし応募作品数の増加や、近年受賞作の中で一般文芸ジャンルでも人気を博す作品が生まれてきた影響でしょうか、『恋愛』や『日常ミステリー』といったジャンルも盛り上がりを見せていました。

　そんな中、一次選考では、基礎的な文章力に加えて、『キャラクターや世界観の設定のおもしろさ』『文章の読みやすさ』『先を読みたくなるか』を重視して選考いたしました。

　『キャラクターや世界観の設定のおもしろさ』については、エンターテイメント作品の刊行を目的とするコンテストである以上、避けては通れないテーマであると考えています。これは何もこれまで誰も考えたことがないような斬新な設定を盛り込まなくてはならないわけではありません。もちろんそのような作品も大歓迎ですが、なじみのある設定であっても、選考者が手に取って、おもしろく感じる設定かどうかを重視しました。
　そして興味を持たせるタイミングは、早いにこしたことはないでしょう。作品も半ばを過ぎてようやく面白くなるのでは、実際に書店で作品を手に取ろうとしている読者には届きにくいように思います。
　書籍化を前提としたコンテストである以上、やはり作品の魅力をできるだけ早い段階で読者に伝えることが、重要です。

　『文章の読みやすさ』に関して、複雑な文章技法と読みやすさは分けて考えるべきだと思っています。
　選考を通して感じたのは、高い文章技術は保持しているものの、若干読者に伝わりにくい文章表現を使った作品が増加していることです。これはＷｅｂ小説作家の技巧が高まったことや、経験を積んだ作家が増えたことが大きいと考えます。一方でそれが読みやすいかといわれると、それはまた別の問題です。あまり効果のない表現に文字数を割いてしまったり、複雑な文章スキルを多用するあまり、かえって理解しづらくなってしまったりというようなことも増えている印象を受けました。
　もちろん平易な表現が常により優れていると言いたいわけではありませんが、ターゲットを意識した文章というのはやはり重要です。『書いている文章が誰のためのものか』と意識することは、創作をする上で欠かせないことでしょう。小説の世界では処女作がデビュー作となり、そのまま大きな人気作となるケースがあります。その要因に著者の才覚はもちろんあるでしょう。加えて、発想にしろ文章にしろ、読者に近い視点を作者が新鮮に持っていた時期に書かれたことも要因のひとつに数えられるのではないでしょうか。
　自分の文章を読者視点で添削する作業は長く執筆されている方ほど大変なことだと思います。しかし書き慣れてきた時期にはそういった『書いた小説を読者視点で見直してみる』といったことも必要だと考えます。

　『先を読みたくなるか』は『キャラクターや世界観の設定のおもしろさ』と『文章の読みやすさ』が高い水準で融合した時に起こるものだと考えます。皆さまも作品を読む際に、同じ文字数でも休憩なしには読めない本もあれば、時間すら忘れて読みふける本もあったかと思います。エンターテイメント作品として、こうした読み続けられる作品を目指したいものです。
　序盤で読者をひきつけたうえで、最後まで一気に楽しませるような作品を目指すことが、書籍化する際には必要となるでしょう。

　次回発表は4月下旬を予定しております。（日程は変更される可能性がございます） 　現在二次選考にあがった作品は出版へと進む可能性がございます。残り期間中、推敲や改稿など作品の磨き上げにぜひ励んでください。

　コンテストでは各賞の発表や発売予定作品のプロモーションなど、作品をより多くの方に知っていただけるように今後もつとめてまいります。

また、5月19日に小説家になろう公開生放送で受賞発表を行います！　会場で一緒に、受賞の瞬間を見届けましょう！
詳細は、下記のバナーをクリックしてください。
●受賞作発表！　『小説家になろう公式生放送公開収録』公開収録参加チケットはこちら



※今回残っている作品に関して、運営側で選考をおこなった作品となっており、
優先権を主張させていただいております。キーワードの取り外し等おこなわず、他社様から連絡が到着した場合には迅速に運営にご連絡をよろしくお願いいたします。ご理解の程よろしくお願いいたします。

※想定以上のご希望をいただき、御待たせしております感想付けに関しましても、当コンテスト終了まで（6月下旬まで）継続させていただきます。
今回惜しくも落選してしまった方も、総評をもとにぜひ作品を書く・読むことを続けてください。

また、中間アンケートを取っておりますので、もしよろしければご協力ください。
アンケートフォーム

通過作品一覧（タイトル五十音順）